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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
339/406

全とミスティ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 ミスティ視線。 (カナタ達の去った後位~)


 ワタクシは目が覚めると元の体に戻ると思っていたんですの。 でも、甘かったみたいですわ。

 根の部分だけは今までと同じなんですけど、幹や枝が貧相で貧相でワタクシじゃないみたいですの。

 まぁ、生き返れたんですし全様にお声をかけていただいたんですから良いとしますわ。


 それにしても、あのワタクシを助けた人間達は何ですの? あれが勇者ですの? 内包している力の大きさは聞いていた勇者よりも強い気がしますわ。

 特にあの無口だったメシベ・・・あら? 人間は女と言うんですたかしら? どっちでも良いですわね。

 あれは、全盛期のワタクシよりも内包している力が大きかったですわ。 勇者は別枠で力を与えられていると言うのは本当だったのですわね。

 あんなのが私の管理する場所にいたとすると、恐ろしくもあり便利でもありそうですわね。


 それよりもこの肥料! 白い粉! これは素晴らしいですわ。 もっと欲しいですわ。

 これを量産しようにも素材自体がこの星に不足してますの。

 他の星に行けば何とか手に入りそうですけど、他の星に行ける体を作れるほど力が無いですし、補助する道具を作り出すことも難しくて今は出来ないですの。 はぁ・・・

 勇者であったとしても、人間は一瞬で死んでしまいますのよね。 何とか生きている間に他の星へ行く方法を作り出し、生きている間に箱庭に行きたいものですわ。

 そんなことを考えていると、ワタクシは霧のような物に包まれる。


「霧? ですの? いえ、只の霧では無いですわ。 こんな一瞬で、まさか!」


 周りを見渡すと霧がすっと晴れ、ワタクシの理想の巨木。 いえ、理想とする姿の方が現れた。


「ミスティルテイン。 ミスティルテイン」


「ゼゼゼ、全様。 ワタクシに御用があるなら伺いましたのに」

 ワタクシは片膝を着き頭を下げる。


「ミスティルテイン、頭を上げて頂戴。 今日はミスティルテインにお願いがあってここに来たの」


「ワタクシにお願いでございますの? 全様ならばすべて思いのままになると・・・」


「前にも言ったと思うけど、私が思い通りになることの方が少ないわ。 すべては偶然の積み重ねで出来ているの。

 簡単に言うと、そうね。 育て方によってどんな果物も成る未知の種を育てたら、欲しい果物が成るか解らないという感じかしら。

 私は欲しい実を成らせるために、肥料を調整したり日光を調整したり水をあげたりあげなかったりするだけなの。 だから、貴女に頼みに来たの」


「はい、ワタクシに出来ることなら何なりと」


「ありがとう、ミスティルテイン。 あら、今はミスティだったわね。 うっかりしてしまったわ」


「いえ、全様に名前を読んでいただき光栄に思いますわ」


「頼みごとは、少し前に来た人間? を手伝ってあげて欲しいのよ」


「人間? ですか?」


「そう。 彼らは、外界から閉ざされた空間の中にいるのはわかっていると思うわ。 ミスティには、そこにいって欲しいの」


「それは願っても無いことですわ。 しかし、体を作り出すことが出来るのはワタクシの根が届く範囲までしかないですの」


「それは大丈夫よ。 昔に貴方が使っていたゴーレムを回収し作り変えた物があるから」


「作り変えた? と言うことは、作っていただいたと言うことですわね! ありがとうございますですわ」

 ワタクシは平伏さんばかりに頭を下げましたわ。


「頭を上げて、ミスティ。 全部を作り変えたわけじゃないのよ。 だから、人間? 達に言って改良してもらうと良いと思う。 それで良いかしら?」


「はい、もちろん異論はありませんわ」


 全様が取り出したワタクシの体は、前使っていたものと見た目はほとんど変わっていなかったですの。

 しかし、中に入ると異常さが良くわかりましたわ。 人間が言っていた感覚というものなんでしょうね。

 でも、ワタクシの現在の力だと体を動かすだけで精一杯ですわね。 生まれたて何ですもの、前のように動かせないのは仕方ないですわ。


「体は大丈夫のようね。 移動手段は、亜空間移動になるわ」


「亜空間移動? ですの?」


「ええ、私が作っている亜空間は場所や時間などが入り組んでいることは知っているわね?」


「はい、ある程度までなら」


「それで構わないわ。 もう少ししたら人間? 達が、貴方の前の体を使って転移門と言うのが作り出されるの。 それに割り込んで移動してもらえるかしら?」


「はい、解りましたわ。 その位なら私の今の力でも問題ないと思いますの」


「そう、それは良かったわ。 あちらに着いたら、貴女の知識を自分で教えても良いと思うところまで教えても良いわよ。 もちろん私のことも含めてね」


「よろしいですの? ワタクシが人には教えてはいけない知識も全部言ってしまうかもしれませんのよ?」


「ええ、全てミスティに任せるわ」


「解りましたですの。 出来る限り安全な知識を選んで教えますの」


「ええ、私はミスティを信じているわ。 あと、この星の管理はある程度で良いから」


「ある程度? ですの?」


「ええ、管理神で居てもらうのだけど前のように保護するとか進化させるとかはいいの。 ただ見守るようにすれば良いわ。 もちろん、前のように勝手に他星の人を招いても構わないわ。 そうじゃないと精神体を何人も出さなきゃいけなくなってしまうものね」


「はい、畏まりましたですの」


「あ! 体に使っている魔晶石はドラゴンの魔石を複数使用したものだから代えは無いの。 無理をしないようにね」


 そういうと全様は帰られた。 やっぱりあんな風になりたいですわ。 あのように大きく枝葉を広げて・・・はっ、今は準備をした方が良いわね。

 それにしても、ドラゴンってどんなものだったか思い出せませんわ。 箱庭に居たトカゲのようなやつでしたかしら?




 その後にミスティはカナタたちの元に来ることになり、タダシさんとヨシさんの2人と契約し従魔となる。

 五感を貰ったこととカナタたちの出会いによって今までの生活が一変し、考えられないほど色鮮やかなものになっていく。



 カナタたちは、ミスティが自分に生っているサクランボの果実を食べて、共食いじゃないのか? と疑問に思っているのは余談である。

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