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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第289話 ミスティ完成

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます

「魔武器生成法をするってことですの?」

 ミスティは首をかしげながら言う。


「うん、そんなところかな。 防具を魔武器化と同じようにするって感じなんだけどね」


「それなら、たぶん出来ますわ。 私のナノマシンを入れれば良いだけなのでしょう?」


「あぁ、なるほど! 体内にあるナノマシンが武器や防具の生成に影響していたのか! そうなると、血中に1番ナノマシンがあるってことになるけど、当たってる?」


「ワタクシは知りませんわ。 人間について詳しくないんですもの」


「そっか。 まぁできるなら良いか。 で、カーボンナノチューブを組み込んで体を作る? それともやめておく?」


「全様からもらったこの色が良いですの。 変わってしまうなら遠慮させていただきますわ」


「色を変えないことも出来るよ? ただ、色を変えると少しだけ弱くなるみたいなんだよね。 同じ素材でほぼ同じ作り方なのに、何で弱くなってしまうのかは解からないけど」


「見た目が大きく変わらないんだとしたら、お願いしますわ」


「了解。 じゃあ、そのゴーレムに入ってもらって良い?」


「あ! 1つ付けて欲しい機能がありますわ」


「ん? 何が欲しいの? 味覚センサーとかなら作れないよ?」


「センサーは十分ついてますから特に欲しい物はないですわ。 コノミ様から聞いたんですけど、ロケットパンチを付けて欲しいんですの。

 人造人間やロボットにはお馴染みの装備で、貴方様方の出身地だと絶対付けていないといけないものだと説明されましたわ。

 絶対付けなくちゃいけいない物があるなんて、知らなかったんですわ。 このままだと貴方様方にも恥をかかせてしまいますの。

 しかも、手が飛び遠距離直接攻撃なんて、見たことも聞いたこともありませんわ。 思いついた方はさぞ高名な奇才・天才なのだと感嘆の言葉しか出ませんわ。 どうかワタクシにつけてくださいまし」

 ミスティは、手を組みキラキラした顔で俺に言う。


 ロケットパンチは確かにお馴染みなんだが、ミスティはロボットじゃないだろ! ゴーレムのお馴染みと言ったら、遅いが強烈な1発だよなぁ。

 でも、作ってみるのは面白いかもしれない。 空気圧縮砲で腕を飛ばして、カーボンナノチューブで巻取りとか。


「出来ないことも無いと思うけど、ゴーレムで作れるかどうか実験をしてからになるから、今回は無理かな」


「そうですの。 解りましたわ。 今回はあきらめますわ」


 俺は本気でがっかりしているミスティを見て苦笑するしかなかった。



 俺が作ったゴーレムに入ってもらって、ミスティゴーレムのサイズを測る。 やはり服が邪魔で大事な部分は測れない。

 仕方ないか。 そう思い、外皮を切り剥がし骨格を取り出す。 服の形に添った骨格をしているので出っ張りなどは削り整え、指や膝、肘などの関節を作り変えていく。

 球体関節は、タクミ君が詳しく知っていたので教えてもらった。 俺が作った球体関節ってガンプラそのものだったしね。

 関節の紐の部分はもちろんカーボンナノチューブが見えないところなので黒い物にした。

 他にも擦れて削れてしないそうなところには厚めに布状のカーボンナノチューブを貼り付ける。 形状記憶再生があるので何かがあってもこれで何とかなるはずだ。

 腰や胸、首も動かせるように加工していく。 


 よし、ある程度完成。 関節の引っ掛かりなどが無いかどうかなどを確認する。 よし、ほぼ人間と同じ場所が動くようになった。 さぁ、ここからが問題だ。

 精霊と言うことで、顔の造形は黄金率と言えるほど整っているのでいじる必要が無い。 俺が迷っているところは胸、腰回り、お尻、太ももだ。 外皮である程度はいじれるかもしれないが、骨格を何とかしておかなければ綺麗なスタイルにならないだろう。

 服の上から測った物を参考にして、ある程度で妥協し作っても良いだろうか。 いや、作るんだったら完璧な状態にしたいと思うのが人情だ。

 どうすりゃいい!? ここまでほぼ理想どおり完璧に出来たのにスタイルだけ妥協する訳にはいかない!  仕方が無い、こうなれば最終手段をとるしかないか。

 そう思い、あわてるミスティを置いて部屋から出て行く。



「それで、こんなド深夜に私を起こしたんですか?」


「はい、大変申し訳なく思っていますが助けてもらえませんか?」


「はぁ・・・ミスティちゃんに助けてもらってますから良いですよ。 ただ山車に乗ったときの貸しは無くなりますからね」


「了解いたしました。 コノミ様」


「貸しがなくなったんですから良いです。 着替えていきますので待っててください」


 そう最終手段とは、助けを求める! である。 芸術の真理を持っているコノミちゃんならば理想のプロポーションを作れるはずだ。

 俺の学習は何故か知らないが、芸術関係のスキルやギフトを取ることが出来ていない。 取ろうと必死になって魔力の流れを確認し、同じ所に魔力を流したのに取れなかったのだ。

 最初から俺には芸術のセンスや才能が無いとわかっていたから仕方ないとは思うけど、せめて成長が遅いとかそういう風になって欲しかった。


 コノミちゃんのアドバイスを受けてスタイルを決めた。  もう少し大きくしたかったのだが、そうするとバランスが悪くなり駄目だと冷めた目で言われてしまっては言い返せなかった。

 ミスティゴーレムの頭の中の魔晶石をコノミちゃんにも調べてもらう。 俺だと大体の性能しか解らないが、コノミちゃんとアカネちゃんのペアなら詳しくわかるかもしれない。


「カナタさん、これ凄過ぎます。 私達だと作り出せると思いません」

 コノミちゃんが魔晶石を見ながら言う。


「え? そう? 魔晶石に魔法陣の模様がついているだけに見えるけど、3D魔法陣とかで再現できないのかな?」


「アカネちゃんに聞かないと詳しいことは解りませんが、この1つに見える魔法陣10個くらい重なってますよ?」


「え? そうなの? 魔法陣って重ねると干渉して使えないって言ってなかったっけ?」


「そうですよ、普通なら。 これはたぶん干渉していないんでしょうね。 それどころか相互作用で新しい何かも追加されていると思います」


「何それ? 何が追加されているかわかる?」


「追加かどうかわかりませんが、五感に近いものがあると思います。 アカネちゃんも起こして・・・あ、駄目ですね」


「そうだね。 アカネちゃんは早起きが苦手だし、寝起きも悪いからな。 ケイタ君を呼んでみる?」


「ケイタさんでは詳しい所までわからないと思います。 後でミスティちゃんに頼んで見せてもらうのが良いと思います」


「それもそうか。 って、五感があるなら味覚もあるの!?」


「ミスティちゃんに聞いてみるのが良いと思います。 体を完成させちゃいましょう」


「了解。 外皮を作っちゃうね」


 朝練の前には外皮を作り終わり、体を動かして大丈夫かチェックしてもらう。

 関節部分の外皮を出来るだけ薄くしたり、人間に近いしわになるように調整するのが難しかったがかなり勉強になった。

 これを上手く利用できればオートマタやアンドロイドに近い物が完成させられるだろう。


「で、ミスティ。 味覚あるの?」


「人間に近い五感は備えていますわ。 まぁ痛覚だけはかなり弱いのですけど」


「それじゃあ、これからはご飯一緒に食べる?」


「別に動くだけなら、魔力だけで問題ないですわ。 物を食べても魔力として消化されるだけですもの」


「何そのすごい仕掛け! トイレとかはいかなくて良いの? お尻に穴とか無かったけど」


「排泄はしないですわよ! 魔力を取った物質は本体の根元に転移させられて吸収されるんですわ」


「本当にすごいね!」


「あのカナタさん。 せめてミスティちゃんに服を着せてあげませんか?」


 コノミちゃんの冷えた視線を浴びながら、服を亜空間収納から取り出し着させる。

 味覚の確認のため、朝ご飯を一緒に食べると食事に大いにはまってしまったようだ。 おなかがいっぱいと言う感覚がないので、食べさせるほうが気を付けなければならない。

 しかし、食事の御礼としてセンサー魔晶石を詳しく調べても良いと言うことを約束してもらえた。


 オモチにも色々聞こうと思ったのだが、オモチは種族以外ほとんどの記憶をなくしているようで得られる情報が無かった。

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