第281話 義手・義足
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何があったのかと思い急いで声の方へ近づく。
リョウさんが困ったような顔をして遠巻きに見ていたので理由を聞く。
「何何? 何があったの?」
「アカネさんの服装で、少年が違う意味で元気になっちゃったのを見たようですね。 細かく言いますと料理を零しちゃった子がいたようで、掃除の為にアカネさんが布団をはぎ取っちゃったみたいなんです。 かなりだぼっとした服を皆に着せているのが災いしたようで、盛大にテントが張っていたようですね」
「あぁ、なるほど。 確かに今日のアカネさんの服装は刺激が強いかの知れないね」
今日のアカネちゃんの服装は薄手のオフショルニットトップスにショートパンツ、そしてニーハイソックス。 すばらしい絶対領域が見える。
服の下には無色透明のカーボンナノチューブで作ったインナーを着ているので、傍から見たらキラキラしているので素肌を出してるよりなんかエロイ。
そんな格好でベッド備え付けのテーブルを拭いてたら、ブラとかが隙間から見えてしまったのではないかと容易に想像出来る。
そんな事を考えていると、ユカさんがアカネちゃんが注意しだした。 さて、様子を見ておいたほうがいいかな。
「手伝ってくれるのはうれしいですが、その格好は刺激が強すぎます。 すぐに着替えてきてください」
ユカさんが、アカネちゃんに言う。
「え? 普通の格好でしょ~? そんなに露出させてないし~」
「日本ではそうかもしれませんが、ここは違います。すぐに着替えてください! 興奮すると血圧が上がって傷に障ってしまいますから!」
「え~。 ワンピースのナース服に着替えても、今とほとんど変わらないでしょ~」
「ワンピースのナース服じゃなくて、私の着ているユニフォームに着替えてください! スカートじゃなくてパンツのほうです!」
アカネちゃんは渋々着替えに行った。
ユカさんは、俺たちに気がつき近くに来て頭を下げる。
「皆さん、お騒がせしました」
「いや、大事にならなくて良かったよ。 でも、日本でワンピースのナース服が少なくなったのって、血圧が上がってとかが理由なの?」
「そうですよ。 血圧測定で正常にはかれなかったり、いろいろな理由でパンツのほうが多くなってきていますね。 ん? 病院の関係者とかじゃないんですよね? なんでカナタさんがそんなことを知っているんですか?」
ユカさんは妖しいものを見るように俺を見て言う。
「あぁ、母が看護師だったから、昔そんなことを聞いたのを思い出があってね」
「そうだったんですか。 すみません。 私はてっきりフェチがあるのかと・・・あ! いえ、何でもありません。 いや、そうですよね」
「いえ、間違ってないから大丈夫です。 ワンピースのナース服はかなり魅力的だと思うし見れなくなって残念という気持ちが知らない間に前面に出たんでしょう」
俺は、真顔でまっすぐ見据えながら言う。
「まっすぐにそう宣言されると何も言い返せませんね」
「そう? 誰にも迷惑かけてないからいいんじゃない? さぁ、残りの朝食の片づけをさっさとやっちゃおう」
みんなで手分けして片付けを終わらせる。
次にやるのは欠損部位の測定だ。 欠損しているから普通には測る事はできない。
しかし、アヤコさんならスキルパタンナーの真理で測る事ができるらしい。
普通ならデザインから型紙を作るのがパタンナーなのだが、デザインと人を見てきっちり型紙を作れるアヤコさん。
パタンナーの真理までギフトが進化していると、体全ての数字も服の上から見ただけで解ると言っていた。
片方だけ欠損している場合は欠損部分の長さや太さも欠損していない腕から数値を得て予測測定も可能。
残っている腕が利き腕や利き腕じゃない等のデータも解れば、再現率95%ほど昔の腕と同じ数値が得られるらしい。
両方ない場合は、完全なる予測になるので再現率80%位だといっていた。
再現率の%も、数値の脇に出る数字なのでスキルの一部なのだろう。
年齢も解れば子供の成長なんかも考慮し再現率を上昇させることができるらしいので、やや地味ではあるがチートスキルといえる。
女の子や女性が多いため、別室に移動され測定するようだ。
ふと俺は気がつく・・・体の数値がわかる。 これは男子の夢、『胸部測定』が使えるということではないだろうか。 しかも、潜在能力も測れるとは・・・すばらしい能力ではないだろうか。
小さくても、大きくてもどちらもすばらしいとは思う。 だが、気になるものは気になる。
スキルを覚えるのは本当に大変だという話だが俺の学習という強い味方がある、学習を使えば覚えられるはず。
そうすれば、あのプルンプルンのユカさんの戦闘能力の真相が明らかになるのではないだろうか?
革鎧作成時にも聖騎士風鎧作成時も何回かつけて貰って直したから正確な数値がわからないし、観察しようと思っても、いつもだぼっとした服を着ているから観察すらできなかった。
その真相が明らかになる!
しかし、どうすれば教えてもらえる? スキルは脳内の魔力の流れを再現する必要がある。
何度も何度もかけてもらえば目で見て感じて覚えたりは出来るが、何の用事もないのにかけて貰うのはおかしいだろう。
おい! 俺よ! こんなときに脳みそがあるんだろうが! アイディアを搾り出せ!
そうこうしている内に、測定が終わってしまった。
今度やるときは、絶対にアシスタントとしてアヤコさんの隣に立つんだ! と心に決めて治療院別棟から移動する。
アヤコさんとコノミちゃんの2人で設計図を作成し、アカネちゃんとミズキさんとケイタ君の3人で魔方陣の開発をしてもらい、ユカさんとショウマ君は治療院で出来る体操を教えるようだ。
義手や義足は、木工に従事しようとしている生徒たちに作ってもらう、魔方陣を義手などに刻むのも生徒たちに任せようと思っている。
俺達がいなくなった時に同じようなことがあっても対応できるようにというのが今回の目的だ。
ただ材料だけはどうにもならないので、俺達が持っているものをリョウさんに簡単に切り分けてもらっている。
魔方陣が完成するまでの間、簡単なゴーレムの作り方を全員に教えることになった。
この教室は、大人でも無料で聞いてもらうことの出来る様に校庭を一時使用禁止にして場所を確保した。
戦闘訓練などは門から出て行うことになったのだが、特に文句が出ることはなかった。
基本的にランニングと筋トレで半数以上が未だに脱落するから文句すら言えないのだろう。
話を戻すが、無料にしたためか驚くほどの人数が教えを乞いに来てしまった。
ミミリさん(リスの獣人の木工の第1の師匠)に助けてもらえないか相談し、何とか手伝ってくれることになった。
ミミリさんはジリコテさん(エルフの現在最高位の木工師、第2の師匠)に教わっているはずなので、問題はない。
こんな人数をいっぺんに教えられるかかなり不安があるが、やるしかない。
教わりに来ていた顔見知りの木工師で親方と言われているおっちゃんがいたので、何でこんなに人数が増えたのか聞いてみた。
「簡単なことだ。 木工が盛んなエルフの国では、ゴーレムを作れる木工職人は一人前と呼ばれるんだ。 ちょっと昔ならエルフの国の基準なんて採用してなかったんだが、魔法が使えるようになったろ? そのおかげでゴーレム作れないと一人前になれないし、仕事にあぶれる可能性が出てきたってわけだ。 まぁ俺は、ゴーレム作りに昔から憧れてたってのもあるけどな」
おっちゃんは、豪快に笑いながら話してくれた。