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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第272話 畑完成

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 次の日は、久々に鍛錬の腕輪コピー(仮)を外して、本気でマンション型畑を作り上げた。

 ミズキさんが手伝ってくれたのがかなり大きい。 だって、空飛んでクレーンの様なことをしてくれるし。

 建築素材はザックィンムを使用し、ザックィンムが操っていたスカラベの魔石多数と俺達12人の生体素材を均等に混ぜた物を使用したスーパーダイヤで魔晶石にしている。

 簡単に言うと12人以外使用不可能な異常な魔力の篭った魔晶石が出来上がった。

 ザックィンムの壁をそのままにするのも怖いので、魔晶石と同じく俺達12人の生体素材とザックィンムの素材を均等に混ぜた物でカーボンナノチューブを作り壁と同化させた。

 同じ魔物の素材なら結構簡単に同化するようだ。 完全に同化するまで5日位と言うところだろう。

 これで素材を取ったとしても、煤にしかならないし直ぐに治る。


 マンションの中の昼夜は、基本的に外と同じ周期で変わる。

 と言うより、外の光を中に反映するようにした。 カーボンナノチューブに当たった光を中に移動させると言っていたから、ファイバーのような感じなのかもしれない。

 アカネちゃんがマンションを作る前に教えてくれた物なのでちゃんと習ってないけど、そう言う物なんだろう。

 

 話は変わるが、バリアの作成は不可能だった。

 ブラックボックスが多いし、何よりも素材が全くない。 うっすら青く光る鉄のような物で出来ている。

 話を聞いた瞬間、ウランかと思ったのだが違うらしい。

 アポイタカラという伝説上の金属とのこと、タクミ君が呼ばれて確認したから間違いない。

 鉱石やインゴットの鑑定は、いつもタクミ君に任せているし間違った事もないので信用できる。 伊達に鍛冶の心得を持っていないからね。


 話を戻そう、マンション型畑で作るのは、基本的に俺達専用の物が多い。 何故俺達専用なのか、それは畑仕事を完全に取ってしまうからだ。

 中は基本ゴーレム任せで育成し、収穫もゴーレム任せ。 この時点で人の出る幕はない。

 畑仕事などを次世代に引き継がなければ、後々なにかが起こったら取り返しが付かなくなるだろうしね。

 マンション型畑で収穫した物をワープ理論を応用した共通マジックバッグで取り出せるようにする予定だ。

 まだワープも出来上がってないので、完全に出来ればいいな位だが。


 作成物も多種多様にそろえようと思っている。

 まず各種野菜や豆類、温度が一定に保てるのでどんな季節でもどんな物でも収穫可能。

 次に米、田んぼを作り安定して食べられるようにしたいし、小麦や大麦、ライ麦も同じく栽培する予定だ。

 もちろん薬関係で使う毒草や薬草、臭い花をつけるチーズの実がなる木も栽培予定だし、白竹も栽培予定。

 きのこ各種も栽培するつもりだ。 バカマツタケとか作りたい! エルフの国で食べたけど、普通にマツタケより美味しいんじゃない? マツタケは栽培難しいけど、バカマツタケは栽培できるみたいだしね。

 調味料の畑や製造所も数室作ってある。 調味料不足はこれで解決するはず。


 デスバード(鶏)の部屋も作った。 と言っても、有精卵から生まれたばかりのひよこ達で育つまでに2週間(10日)はかかるようだ。

 地球のひよこは、どの位で鶏になるのか解らないがかなり早いんじゃないだろうか。

 卵の回収もゴーレムに任せれば、特に問題ないし大丈夫だろう。


 最後に作るのが、ゴーレム型単式蒸留器。

 何故畑の中に作ったかと言うと、お酒の蔵元で働いている職人にお酒の作り方を後世に伝承させ独自の進化をさせたいんだそうだ。 なのでマンション型畑の一室で、俺達が飲む用や贈答用のお酒を造ることにした。

 連続蒸留ゴーレムは開発中だが、単式を作った事もありすぐに作れるそうだが今の所保留。 急いで作る物でもないしね。

 これだけ大きな部屋を何個も作っても部屋は余っているし、拡張もまだまだ出来る。

 ザックィンムってのは本当に凄い素材だな。


 畑が出来上がった事で、市場への影響を抑えることが出来るようになればいいのだが、やってみなければ解らない。

 俺達が食材を買い占めた形になってしまっているので、インフレーションが凄い。 

 俺達もウルフローナ国も1人で立ち並んで歩けるようにしなくちゃ復興させたとは言えない。 その第1歩だ。


 俺の奴隷がどんどん増えている。 やはり戦争での孤児や強制奴隷もチラホラ目立つようになってきた。

 敗戦国の人が全員奴隷のようなモノなんだろう、本当に嫌な世界だ。

 まぁ、俺達の世界でもその辺は変わらないかもしれないのだが。



 そうそう、奴隷といえば学園の話をしよう。

 俺の奴隷の数が雪だるま式に増えすぎて、教師の数が全く足りていない。

 それを鑑みて以前から案のあった、高学年が低学年を教える師弟制を導入してみている。

 結果はでるのはかなり先になりそうだが、高学年が低学年にどう教えれば良いのか四苦八苦している姿を見て、良い制度だと自画自賛している。

 人に教えるためには、教える事柄を完璧に把握していないといけない。 卒業前にもう1度復習する機会が出来たと言うのは良いことだろう。



 奴隷の話に戻すと、最近も怪我などをした大量の奴隷がまたも入ってきているようだ。 今回の奴隷は廃棄奴隷で死病にかかっていたりしているとチラッと聞いた。

 なので、俺も回復を手伝おうとしたのだが断られてしまった。 回復魔法の扱いは、ソメイヨシノで2番だと言う自負もあるのだが何でだろう?

 アヤコさんとヨシさんには手伝いをお願いしていたし手伝いが欲しくないって訳じゃなさそうだし。

 畑を作るのに時間が余りかからなかったのでこっそりと手伝いに行こう。 



◇◆ 注意:この先の話は、かなり胸糞が悪いです。 飛ばしても大丈夫なようにしようと思っています。



 ミズキさんと2人で診療所の別館を訪ねる。

 中には入ると、そこは野戦病院のような光景だった。

 パイプで出来たベッドを無理やりくっつけて多くの人々を寝かせている。 年齢はバラバラ、種族もバラバラだが人族はいないようだ。

 今回は大人も結構な数いるようだ。 家族だった場合は一緒に来てもらうように言ってあったからだろう。

 子供も大人も怪我の度合いもバラバラだ、火傷から両足欠損、片腕無し、片目がない人も多くいる。

 これを見る限り、かなりの戦闘だったようだ。 戦争なんてしなければ良いのに。

 重症の人から、ヨシさん、アヤコさんが治療している。 ユカさんはどこにいるんだろう? 見当たらない。

 


「カナタ君!? 何でここに?」

 ヨシさんが、俺を見つけて声を掛けてくる。


「何か手伝えればって思ってきたんですけど、不味かったですか?」


「不味いとかそう言うことではないんだけど・・・ユカちゃんに話をしてくるわね」


 やっぱり不味かったのかな? 女の子が多いから異性はあまり好かれないってことなのかな?

 戻ってきたヨシさんから、奥に行くように言われ進む。 ミズキさんはヨシさんアヤコさんの手伝いに残った。

 1番奥の聖女の部屋と書かれ、その上からインクで塗りつぶしたようなプレートが付いた部屋の前に着き、ノックをするとユカさんに入る様に言われる。


「カナタさん、来ちゃいましたか。 ここに来たってことは強制的に真実を知ってもらう事になりますけど、良いですね?」


「え? 待って、何? どう言うこと?」


「ここにいる新しく来た人々は、少し前にあった戦争の敗戦国の人達です。 見ての通り体調が良くない人が大勢います」


「うん、それは大体分かっていたけど。 それがどうしたの?」


「ここにいる人達の傷は戦争で負わされたものではないんです」


「ん? どういう事? 魔法の2次被害とか逃げるときに怪我したとかじゃないの?」


「違います。 簡単に言うと見せしめですね。 家族の目の前で父を殺され、怒りで反抗しようとしてしまった子は両腕や目を抉り取られ止血のためなのか怪我した部分が燃やされています」


「は? 何それ? そんなことしたら奴隷にする人がいなくなるじゃん」


「その家族の行く末を、他の家族に見せて恐怖を叩き込んでいるようです」


「何でそんな事を? 奴隷にするだけである程度いう事を聞かせられるはずじゃ?」


「何故そんな事をしたのか私では解りません。 ただ、それはまだ優しい方なんです。 奥さんが若く綺麗だと、暴行されます。 しかも家族の目の前で」


「え?」

 俺は、それ以上言われた瞬間に怒りで何も言えなくなってしまった。


 確かに、作り物の創作物ではそんな話もあったし、他国の戦争の話でも聞いた事はあるが現実にいると言われると何と言えば良いのか解らない。


「小さい女の子も容赦なく暴行されます。 それが酷い・・・ナイフなどで切られていたり、お尻の穴と繋がってしまっている子もいます」


 何かを言おうとするが、言葉が出ない。 本当に人間がすることなのか解らない。


「小さい女の子の暴行には理由があるようです。 初めての子と寝ると、死病が治ると言う民間療法があるようですね。 全く根拠が無く意味不明なものですが」


 そう言う話も地球でも聞いた事がある。 他には、日本人の女性の母乳を飲むと感染病が治ると信じられている地域があったと聞いた。

 渡航した女性が睡眠薬を飲まされ、夜に襲われ感染病保有者になって帰国できなかったと言う事件があったと言うのを話して貰った時はぞっとした。


「カナタさん。 ポーションや軟膏の手配をして渡していただいてたみたいですね。 そのお陰で、何とか命を繋いでいる子もいるんです。 本当にありがとうございます。 私は重症な子を担当しますので、他の方達をお願いします。 命を救う為に手伝ってください」

 ユカさんは、深々と頭を下げる。


 ポーションや軟膏は確かに渡してあった。 ここに生きてたどり着いてくれれば助けられると思って・・・

 そんな酷い状態で心すらもボロボロにされ、無理やり延命しているのは感謝されることなのだろうか・・・

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