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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第271話 元貴族

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 俺はフラン様に近づき、いつもと同じように友人に話すように話し始める。

 グジッガ男爵は無礼だ何だと騒ぎ立てていたが、フラン様の一喝でおとなしくなった。

 俺とフラン様の会話を聞いてグジッガ男爵は顔を真っ赤にし怒りに震えている。


「なるほど、良く解った。 こいつらが、カナタに言いがかりをつけて来たと言うわけか」

 フラン様は腕を組んだまま言う。


「そうなりますね。 と言うか、斥侯を放って情報集めていたんじゃないですか? 俺だって解って手を出すの遅らせたでしょう?」


「はっはっは。 やはり、バレていたか。 カナタが、どう対処するのか知りたくてな」


「そうですか。 まぁ、いいんですけど。 どうせ、王族と同じような特権を持つ俺に攻撃して来たとして纏めて死罪にしようと考えていたとかではないんですか?」


「その手があったか! 裁判にかけ罪を償わせようと考えていたが、そっちの方がはるかに楽だな。 カナタ達に楯突いたという事は国家反逆罪も適用出来るだろう。 うむ、全員逃がさず、捕らえよ!」

 フラン様の号令で兵士達が一斉に動き出す。


 あれ? そこまで考えての行動じゃなかったの? 天然はこれだから恐ろしい。


「お待ちください! その冒険者の言うことは出鱈目です! 今までずっと御仕えしている我らよりも、その者のいう事を信じるのですか? 流石にそれは」

 グジッガ男爵は、俺を睨み言う。


「黙れ! 国を捨て民を捨て、自己の保身のためだけに逃げ出した者など信じられるものか! 反逆者ボリスをここに連れてまいれ!」


「姫様! 我もボリス子爵殿もいつも国のためを思い働いております! 今でもそうでございます! ウェーブ時は怪我により一時避難をしていただけですので、どうか御考え直し下さい!」


「黙れというのが解らぬか! 貴様らの屋敷から孤児への援助金、公共事業費などの着服など様々な不正も見つかっておる」


「それは、なにかの間違いでございます。 誰かが私どもを落としいれようとしたに違いありません」


「まだ言うか! ウェーブが終った直後に食料を持って帰還するならまだ弁明も出来たであろうが、既に1年もの時間が過ぎておる! これまで連絡など1度もよこさず、良くのこのこ帰還できたものだ! その精神力だけは褒めてやろう!」


「わ、我は・・・そうです! 我はボリス子爵に言われて手を貸しただけに過ぎません! どうか、どうか寛大な御慈悲を」

 グジッガ男爵は、土下座をしながら叫ぶ。


 うわぁ・・・仲間を売ったよこの人。 なんかここまで来るといっそ清清しいな。

 そんな事を考えていると、フラン様がグジッガ男爵に近づき首を刎ねる。


「今までの功績により苦しまずに逝かせてやった。 感謝するが良い!」


 あぁ、やっぱりこの世界は命が軽いな。 今回は生かしておいても利にはならないし仕方ないと言えなくもないけど。

 その後はグジッガ男爵の家族とボリス子爵とその家族が捕らえられ、後日処刑される事が決まった。

 処刑か、結構前にもやっていたが見に行った事はないんだよなぁ。

 この国の処刑は、民衆の娯楽で戒め、そしてガス抜きの意味もある。

 今回は、ウェーブで家族を亡くした人が殺到する事は間違いないだろう。


 騎士達は犯罪奴隷となり、強制労働させるようだ。

 各村に配置して、復興の手助けとして使用したり、塩の迷宮で岩塩を採掘させたりと、他にも色々と使い道があるようだ。

 ユリは悔しいようなホッとしたような複雑な表情をしていた。 仇を自分で取りたかったが、これでいいと言う気持ちもあるって感じなのだろう。

 ユリに話しかけ、怒りに呑まれずに良く冷静に戦ったと褒めてフラン様に後のことをお願いして帰路についた。


 ユリを家まで送り、お屋敷に入る。

 そこには何故かミズキさんが怒った表情で佇んでいた。


「カナタさん、何か言わなきゃいけない事はないですか?」


「えっと、何だろう? ただいまとか?」


 俺がそう言うと、ミズキさんが風を纏った拳を俺の鳩尾らへんに放つ。

 咄嗟にワイバーンのインナーに魔力を込め、腹筋に力を込め後ろに飛び受け流そうとする。


「ヒデヴゥゥゥ」

 俺は、北〇の拳のやられ役のような声を出し吹き飛ぶ。


 衝撃吸収の付加を超え、後ろに飛んだ勢いを物ともせずに腹筋に突き刺さる拳。 受け流せると思っていたのだが、思いっきり喰らってしまった。

 これはどういうことだ? 防御無視の貫通攻撃? そんな物あるのか? でも、現に俺が喰らっているし。

 いや待て、拳だったか? そうだ、拳と言うより衝撃波が直接ぶつかった感じだった気がする。


「カナタさん、今日は夕方から皆でラジオ出演だったはずですよね? 通信機にかけてもでないし」


「いつつつ。 え? ラジオは来週だったよね? スケジュール帳にもそう書いてあるし。 って、通信機? あ、本当だ。 サイレントにしっ放しだったよ」

 俺は回復魔法を使いながら言う。


「もう! 何をやってるんですか! 一昨日、日にち変更になったって言ったのを覚えてなかったんですか? エルフの国に行ったメンバーで、エルフの国について話そうって言ってたじゃないですか! コノミちゃんが機転を利かせてパルメントさんに手伝いを頼んで事なきを得られましたけど!」


「それは大変失礼しました。 何か埋め合わせするよ。 何が良い?」


「え!? 良いんですか? それじゃあ、転移の門を開発しませんか? 前回の失敗を踏まえて、改良した魔法陣があるんですよ! 試してみたくって」


「了解。 でもお祭りが終わってからね」


「解っていますよ。 皆が楽しみにして入るのを邪魔しようと思っていません。 でも、転移の門の開発は絶対ですよ?」

 ミズキさんが、満面の笑みで言う。


 最近また表情が乏しくなってきてたけど、この笑顔なら大丈夫かな?

 2人でダイニングに行くと、皆は食事を終えて部屋に帰ったりまったりしていた。

 タダシさんに晩御飯を出して貰い食事を取る。 何故かミズキさんも一緒に食事を取っていた。


「ミズキさん。 もしかしてだけど、俺を待っててご飯食べて無かったの?」


「え? はい、まぁ・・・そうですけど」

 ミズキさんは、少し恥ずかしそうに言う。


 何と言うか、怒りでお腹がすかなかったのかな? 少し微笑ましい気がするな。


「何ですか? 別に良いじゃないですか! 怒っていたらお腹すかなかったんですから」


「いや、別に何も言ってないけど」


「じゃあ、ニヤニヤしないでください!」


「え? ニヤニヤしてた?」


 タダシさんとヨシさんから付き合ったんだったら報告してくれと言われ。 付き合って居ないことを言い、片づけを手伝った。

 さて、工房にでも行ってカーボンナノチューブを操る魔道具の開発でもしよう。

 まず、最初から整理しよう。


 カーボンナノチューブを1本だけだが自在に操るのには成功している。 しかし、手の延長と言う感じで操ることが出来るのは1本で精一杯だ。

 10m位までなら2本同時に操ることが出来なくもないが、精度は少し落ちるしずっと目で見て集中しなければ出来ない。

 完全に脳の処理不足が原因だと思われる。 ギフトで並列処理や高速思考などがあれば解決なのだがどこにあるか検討もつかない。

 自分で開発しようにも、脳の回路(魔力回路は神経よりも多い)など無限と言えるほど多くある。 その回路のどこをどう流せば良いのか全く解らない。

 1つでも違ってしまうとどうなるのか解らないから試す事も難しい。 こんなことならエルフを実験に使ったとき・・・いや、変な事を考えるのは止めよう。


 そこで開発するのは、俺の思考と同じ思考を持つ擬似俺。 これを作るにあたって1番重要な物がある。

 ギフトの分身だ。 ギフトの分身は俺と思考がリンクし、こう動いて欲しいと思うとそう動く。

 これを主体にして思考補助をゴーレムにさせれば、擬似俺が出来上がるのではないだろうか?

 もちろん分身の熟練度が低いので上手く行く確証はない。 しかし、やって見る価値はあるだろう。

 出来上がれば、俺もはれてニュータ〇プ・・・いや、ナッツ(SE〇D)を砕くことが出来るだろう。


 まずは、フラーレンの生成から始めなきゃ駄目だな。 スーパーダイヤは、既に武器や魔道具に使っちゃってるし。

 こんなことになるなら、今日サボらずにマンション型畑全部完成させておけば良かった・・・ファン〇ルはもう少し完成が先になりそうだな。

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