第270話 貴族?
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さて、選択肢は何個かあるがどうしよう。
1.敵対し倒し、奴隷落ちか処刑。 あと腐れも無くなって良いかもしれない。
2.そのまま話を続け特に何もしない。 後で何か絡まれる気がする。
3.フラン様かヴォルスト大将軍にでも言って処理して貰う。 悪くはないが、後で何かありそうな気がする。
4.仲良くなる。 これは無いな。
さて、どうするのが良いかねぇ。
そんな事を考えていると、隣で不穏な空気を感じ見て見るとユリがかなり不機嫌な表情をしていた。
怒ってるのかな? まずいなこっちから攻撃してしまうと1以外選べなくなるんだけど。
こんだけ騒いでるんだし、5番で兵士が来るまで時間稼ぎをし被害がこっちに来ない様に受け流すでも選ぼうかな。
「さぁ、こっちは名乗ってやったぞ? 貴様は誰の許可でここに並んでいるのか言え!」
「いえ、名乗るほどの事もございません。 私は、皆様の邪魔にならぬように街道を1度戻ろうかと思います。 無知な私にボリジ子爵様のことをお教えいただいたことを感謝いたします」
「最後にもう1度だけ聞く、お前は誰の許可でここに来たのだ? 言えぬのなら、敵対行為とみなし攻撃する!」
う~ん、面倒臭い奴だな。 兵士か誰かが来るまで少し待てっての! こっちはお前の事なんてどうでも良いと思ってるんだからさ!
「うるさい! うるさいうるさいうるさい! 腰抜けの人殺し! お前達が逃げたから父さんが死んだんじゃないか! お前達なんかどっかに行け!」
ユリが怒りをあらわにして叫ぶ。
あ、そう言えばユリの父親はウェーブで死んだんだっけ。 もし、人族の貴族達が逃げていなければ死ななかった可能性もないとは言えないな。
冷静に考えている場合じゃないか。 どうする?
「ほぅ、貴様らは侮辱罪で死刑を言い渡す。 皆の者! 武器を抜き即刻この者の首を取れ!」
やっぱり武器を抜いてきたか。 これじゃあ仕方ないよね、こっちも武力で対抗するしかない。
亜空間収納からダマスカスの六角棍と槍を取り出し槍の石突きをユリの近くに突き出す。
ユリは槍を受け取ると構え、応戦出来るように準備をする。
我侭かもしれないが、ユリにも出来るだけ人を殺して欲しくない。 なので俺1人で全部終わらせるつもりだ。
そんな事を考えていると、雄たけびをあげながら騎士が1人突っ込んでくる。
本当にただただ真っ直ぐケーミに跨り駆けてくるだけなので、少々唖然としてしまったがケーミと槍を避けると胴体に向かって六角棍で払う。
槍は地面に落ち、鎧は拉げ騎士の1人は空中を跳び地面を転がり停止する。 ケーミは、そのままどこかへ行ってしまった。
騎士達はその光景を見て少しひるんでいるのか、突っ込んで来ない。
もしかして、子供達より騎士の方が弱い? 騎士の強さは、瞬殺も瞬殺過ぎてどう評価するべきなのか全く分からない。
「ほぅ、やるではないか。 しかし、運もここまでだ。 筆頭騎士である我が自ら相手をしてやろう。 地獄でオダマキと対峙したと誇るが良い」
三流の台詞って感じがするんだが、こいつは強いのか? 筆頭騎士だから周りの騎士よりも強い気はするけどどうなんだ?
さっきやられた騎士と同じように何の警戒も無く突っ込んでくる。
あぁ、こいつも弱いんだな。 さっきやられた騎士を見て何も学んでいない。
同じように槍を避け、胴に向かって六角棍を振るう。 オダマキは俺が槍を避けた瞬間にケーミから降りようともがくが、下りるような時間も無く鎧の胴の部分に六角棍を喰らい吹き飛ぶ。
結局全く一緒の末路を辿るのかよ。 せめて何かしら知らない技とか魔法とか使ってくれれば面白かったのに・・・
それがフラグになったのか、火の球が数個こちらに向かって飛んできた。
火の球を水の球で迎撃し、近くの騎士の胴に六角棍を当て吹き飛ばす。
ユリは1人の騎士と対峙している。 もっと激昂して判断力がなくなると思ったが、冷静に攻撃を見て武器を弾き鎧の隙間に槍を突き刺している。
俺が5人倒している間に、手首や肘など関節から血を流し降参した騎士が1人出来上がる。
うん、本当に冷静に対処している。 降参した騎士達にもトドメもさしていないし。
と言うかさっきから、ちらちらとこの戦闘を見て居る奴が居るんだけど誰だ?
動きが明らかに斥侯の者だし、洗練されていると言える所を見ると第3の戦力か?
出来れば何事も無く終わって欲しいもんだな。
どんどんこちらに向かってくる騎士を倒し、魔法を撃ち込んできた魔法使いを雷魔法で感電させて無効化させる。
王都の兵士達は何をやってるんだ? こんな戦闘音がしたら飛んでくる気がするんだが。
そんな事を考えていると、馬車の中から1人の黒いローブを着た執事風の人族の男が出てくる。
「両者そこまで! 矛を収めよ! これはボリジ・テランキ子爵殿の命である」
執事風の男は、戦っている俺達の間まで走ってきて叫ぶ。
「ちっ、命拾いしたな。 子爵様に感謝することだ」
俺と対峙していた騎士は舌打ちをし、武器を仕舞いながら言う。
「そこの冒険者、ここに来る事を許す」
執事風の男は、俺を指差し手招きをする。
「私ですか? 敵対する人の中に行きたいとは思いませんので遠慮します」
「ふん、これだから下賎の輩は駄目なのだ。 ボリス子爵殿がお声を掛けてくださると言って御出でなのだぞ? それを無碍にするのか?」
「何があるか解らない所へ出向くほど勇猛ではありませんので、遠慮したいと思います」
「下賎の者はこれだから屑なのだ。 ふん! では、ここで大人しく捕まって貰うとしよう」
執事風の男は、ニヤリと笑って言う。
「それはどういう意味ですか?」
「そのままの意味だが? 平民が我ら貴族逆らうとどうなるのか、身を持って味わうがいい」
「はぁ、解りました。 しかし、おかしいですね。 この国に人族の貴族は1人もいないはずなんですが、ボリス子爵はこの国の貴族では無いのですか?」
「何をいってるか意味が解からん。 人族の貴族が居ないなどという噂があること自体不遜の現れ。 我はこの国の男爵であるグジッガ・ヌメラルだ。 馬車の中にもボリス子爵殿もいることが真実だと何故気がつかん。 おっと、残念ながら時間のようだ。 拷問で見苦しく泣き喚くが良い」
グジッガ男爵が鼻で笑うように言う。
確かに門の方から集団が近づいてくるのが解る。
ようやくお出ましとは、隊長は誰なんだ? 後でショウマ君に言って厳しく鍛えて貰うとしよう。
そんな事を考えながら、武器の手入れをして亜空間収納へ仕舞う。 ユリに貸している武器は血などを拭きもう一度渡しておく。
兵士達を率いて来たのはなんとフラン様だった。
「両者とも大人しくなって居るようだな。 して、誰か説明をして貰えぬか?」
フラン様は俺のことを1度見てニヤリと笑って言う。
斥侯放っていたのはフラン様だったっぽいな。 俺が戦っているって分かってあえて救援を遅らせたんだろうな。
最近は、建物やアイテムなどの物作りばっかりで魔物狩りに余り行けてなかったからそれを心配して・・・って事はないか。 たぶん面白そうだからだろう。
「フランソワーズ姫様自らお越しくださるとは、恐悦至極でございます。 僭越ながら、私めが説明させていただきたいと思います」
グジッガ男爵が恭しく礼をして言う。
「うむ、話を聞こう。 こちらへ来ることを許可する」
「はっ、ありがたき幸せにございます」
グジッカ男爵の報告をフラン様が聞いているときに、連れて来た兵士達はそっと俺とユリを守るように布陣する。
なんか茶番の予感しかしないんですけど、大丈夫かな?
フラン様が話しを聞き終わったのか、俺の名を呼ぶ。
「カナタ! お前からも一応聞きたい、こっちへ来てくれるか?」
ん? 俺の方も話を聞くのかな? 1人から聞けば良いと思うんだけど。
「フランソワーズ姫様、お待ちください! 下賎の輩から話を聞く事などない愚考いたします!」
執事風の男は、慌てた様子で言う。
この反応ってことは、嘘八百を並べたってことか。 本当にこいつら何なんだろうね。




