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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第269話 西の村から帰る

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 ファ〇ネルについては一旦置いとくとして、折角川原まで来たので釣りをしよう。

 ユリは、カーボンナノチューブを樹脂で固めた竿と魔鉄製のリール、透明なカーボンナノチューブの糸、ルアーで釣りをしている。

 川にはあまり大きくない魚がいるようで、釣ると攻撃される前に頭を切り落としバケツに入れている。


 俺の仕掛けは、透明なカーボンナノチューブと魔鉄製のリール、サビキ仕掛けのみ撒き餌などの籠はない。

 糸を自在に動かせるから餌での釣りではなく引っ掛けて吊り上げるつもりだ。

 索敵は使えるが、水の中の奥のほうまでは分からない。 しかし、カーボンナノチューブを介して索敵をすれば水中に何がいるか解るはず。


 出来れば、エクビス(ザリガニ)を取りたい! クラッベ(蟹)でもいいけど、出汁が無くても味噌だけでかなり美味しい味噌汁が出来るし。

 でも、エクビスのほうが美味しいんだよねぇ。 食べられる場所が多いし焼いてもグラタンにしても天ぷらにしも美味しいからね。


 少し遠い所の反応を中心にどんどん針に引っ掛け釣り上げる。

 魚を全部捕らえてしまっても明日には殆ど出現すると言う話しだし、がんがん捕らえ締めていく。

 血抜きや神経締めは帰ってからやれば良いだろう。

 エクビスやクラッベ、魚の魔物などが多くいた。 その中でも、毛が生えた体の大きな蟹がいた。

 こいつって、モクズガニ? 上海蟹の親戚で食べると美味しいって聞いた事あるな。

 利根川でもモクズガニが取れるって聞いた事はあるが、食べたこと無かったんだよなぁ。


 思いの他カーボンナノチューブでの釣りは訓練に適していたようで、どんどん上手くなっていく。

 殆ど手の延長と言っても良いほどになったのではないだろうか。


「カナタ様の釣りの方法って、なんか手づかみで魚を取ってるように見えますね」


「そうだね、手の延長として使えるように訓練してるからそう見えるのは嬉しいね。 大本が1本だけで、少しの枝分かれなら滑らかに動かせるようになったよ。 だけど、最初から複数本を操って滑らかに動かすのは無理だな」


「そんなことが出来たら凄いですね。 私にも出来たりしませんか?」


「あ~そうだね。 でも操るだけで結構魔力使っちゃうから、余りお勧めは出来ないかなぁ。 魔剣を手に入れて使ったほうが燃費も良いだろうし断然良いと思うよ」


「そうなんですか、残念です。 使えるようになれば、お揃いだったのに」


「あぁ、なるほど、そう言うことか。 じゃあ、折角だし今日の思い出に何か作ってあげるよ。 ただのアクセサリーで良ければだけど」


「本当ですか!? 本当に良いんですか!? やった!」


 驚くほどの喜び方だな。 出来るだけ邪魔にならないようなものを作らないとな。

 どんな物が良いだろう? 指輪は駄目だな。 指輪がつぶれたら指を切るしかなくなるし。

 腕輪は良いかもしれないけど、まだ成長期で腕の太さが変わるかもしれないから大きく作るしかない。

 大きい腕輪だと籠手をつける時に邪魔になるだろうな。 俺達なら金属を延ばすのは問題ないから良いけど。

 ん? 金属じゃなければ良いんじゃないか? 素材は革で結ぶタイプの腕輪とか、締められるようにするとかとか。

 それが良いかも、早速作るか。


 ピンク色に色付けした革の端材を取り出し、三つ編みしてレザーブレスレットを作る。

 手首にはめて端の紐を引っ張れば締まり、輪の方を開けば緩まる何の変哲もない物だがユリは驚くほど喜んでくれた。

 その後も少し釣りをして村へと帰り、ギルドマスターに周りを見て回ったこと、魔物などはゴブリンしかいなかったことを報告する。

 そして、兵士にも索敵するようにお願いしたこと、兵士の増援が明日にはここに向けて出発する予定であることも合わせて報告する。


「本当に、ありがとうございます。 そして、子供達を鍛えてくれるという事も聞いています。 何とお礼を言って良いのか」


「いえいえ、冒険者がいなくなりますが大丈夫ですか?」


「このギルドは元々職員しかいない所で、兵士と連携してやっていたわけですから大丈夫です。 子供達は、友人の子供達でどうすれば良いか悩んでいた所でしたから渡りに舟と言うものです」


「そうですか。 ならば、どのような事になっても死なないように鍛えておくとしましょう」


「よろしくお願いいたします」


 家に帰っていた冒険者達を呼び出し王都へ出発することを告げる。


「あの、夕方ですけど今から出発ですか?」

 女の子冒険者のリーダーが言う。


「そうだけど、嫌なら皆で明日の朝出発しても良いよ。 どうする?」


「嫌という訳じゃ無いんですが、危険じゃないですか?」


「夜しかでない魔物のことだよね? でっかい蝙蝠とか梟みたいな奴とか」


「はい、他にも蛇や蜥蜴、虫なども多くいますし毒があるやつも多いです」


「あ~、そう言えばそうだね。 安全を考えるなら昼の移動が良いかもしれない。 でも時間が勿体無いし、かなり怖いけど安全に移動出来るすべがあるんだよ。 俺とユリだけ先に帰って皆は明日出発してくるのはどう?」


「大丈夫ですけど、王都のどこに行けば良いか解らないんですが」


「それは大丈夫。 この紙を門番に渡せば親切に案内してくれるから」


「解りました。 この紙は1枚だけですか?」


「全員一緒に来れば良いでしょ? 王都からここまでの街道の魔物は、王都の冒険者が競って倒してるから大丈夫だと思うし」


「解りました。 では明日出発します」


 全員に挨拶をして、王都モンステラへ走って帰る。 またユリは背負子の上に乗ってもらっている。

 魔物が数匹いたので、魔法で倒しカーボンナノチューブを伸ばし回収する。

 特に欲しい素材はないのだが、欲しい人がいるかもしれないので冒険者ギルドに売った方が良いだろう。

 決して、空飛ぶ魔物騒ぎで迷惑をかけたからと言うわけではない。

 日が完全に沈みきった所で門へ着き、貴族専用の門から入ろうとする。


 するとそこには、見慣れない馬車の集団がいた。

 馬車に付いている旗は、どこかで見たことのあるものだが・・・どこだったか全然思い出せない。

 面倒な事になりそうなので、ユリを降ろし歩いて貴族門に近づく。


「おい! 貴様何者だ?」


 馬車の隣で革鎧を着せたケーミに乗っている騎士風の男に前に立たれる。


「私は、王都を拠点で活動している冒険者で商人です。 とあるお方からこの門の通行を許されていますのでこちらに来たしだいです」


「ほう、とあるお方とやらは、どなたかな? 答えて貰おう」


「申し訳ありません。 大きな声で言って良いか解りかねますので、ご遠慮させていただきます」


「ほう、我はボリジ子爵の筆頭騎士オダマキである。 子爵様の身を守るため身分を明かせ! 出来ないのであれば、武力を持って制する」


 う~ん面倒臭いな。 どこの国の貴族か解らないから手は出せないし・・・どうしよう。


「私の商会は未だに小さく発展途上でして、聞いた事あるのか解りません。 お耳汚しになってしまう可能性もありますゆえ、大変無礼でありますがどこの国の子爵様か伺っても良いでしょうか? 私などの賤しい商人にも寛大な処置をお願いいたします」


「そのような事も知らずに商売をしていたと言うのか! 恥を知れ!」


「はい、大変申し訳ありません。 無知は重々承知しております。 貴族様達にご迷惑をかけないためにも、どうかどの国の貴族様なのかお聞かせ願えないでしょうか? 心ばかりではありますが、こちらに御詫びを置いておきますゆえ」


 革袋の中身をちらりと見せ地面に置くと頭を下げる。

 オダマキと名乗った騎士はケーミから降りると革袋を確認し懐にしまい口を開く。


「ちっ仕方ない。 まだ時間がかかるようだし教えてやろう。 感謝するのだぞ?」


「はい、ありがとうございます」


「ボリジ子爵様は、人族にしてこの国の子爵様である! ウェーブの際に前線に赴き怪我をされダンジョン都市にて療養されていたのだ!」


 うわぁ・・・この国の元駄目貴族の1人かよ! 他国の貴族なのかと思って心配して損したじゃないか! 

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