表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
294/406

第252話 謝罪

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 さて、相手は小国と言え王族。

 ミルッフルさんはエルフだから大丈夫だとしても、ユリは一般人だ・・・助けとか無いと何があるか解らないよなぁ。


「ユリ、ミルッフルさん。 心配して言ってくれたのは解るけど。 いきなり出てきて、その物言いは失礼でしょ? ちゃんと謝罪をして」


 ユリとミルッフルさんは、気が付いたように驚いた顔をする。


「「申し訳ありませんでした」」

 2人は、綺麗にハモって同じように頭を下げる。


「すみませんでした。2人の失敗は俺の失敗です。 どうか許していただけませんか?」


「あ、いえ、そこまで気にしておりません。 こちらこそ不躾な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした」

 サミル姫は、俺たちに頭を下げる。


「何故婚姻をしてまで、俺の・・・俺たちの力を欲したのか聞いてもよろしいですか?」


「聞いていた通り、隠し事は出来ないようですね。 実は、ウゥルペークラから使者が来まして・・・」


 んん? 聞いていた通りって何だ? そこをもっと詳しく!


「あ~・・・色々聞きたい事が出てきましたが、ウゥルペークラって狐族の所ですよね? 俺に会いたいと要請が来てましたよ?」


「男性は会っては駄目です! 操られてしまいます!」


「あぁ、その事でしたら解決策はありますのでご心配なく」


「え? 既にご存知だったのですか? リサー姫が世に出始めたのは半年も経っていない筈ですのに・・・皆様が口をそろえて異常だ、と言っていた意味が解りました」


 あらやだ、サミル姫ったら毒を吐くわね。

 というか、皆で異常だって言ってたのかい! 昔っから周りにいない人だよねとか、1度会ったら絶対に忘れられないよねとか良く言われますけど。


「良い意味で受け取っておきます。 聞かなきゃいけない事が増えてしまいましたが、それは後にします。 それで何があったんですか?」


「聞かなきゃいけないこと? とは? あ、いえ、話を進めます。 皆様から支援していただいた食料を、リサー王女に半分ほど無償で渡してしまったのです。 皆様のご好意で稲の品種改良を行っていただきましたし、畑用の肥料をいただいていますので食糧難に陥る事は無いと思うのですが、なんとお詫びしたらいいのか解らず・・・」


「あぁ、それで結婚してお詫びをってことですか・・・でしたら、お詫びはしなくていいですよ。 好きでもないのに嫁いで来られても困りますしね。 それと、本当の窮地になった場合はウルフローナの傘下に入ってしまえば問題を陛下に丸投げ出来ますしお勧めします。 もし自分たちで解決策を模索するのであれば、八重桜学園に入り学ぶ事をお勧めします」


「八重桜学園ですか?」


「ええ、学園で約1年学んだ子供はグルングロッコをかすり傷で倒したようですよ。 そこにいるユリもメンバーの一員だったと聞いてます。 食料に付いて学びたいのなら、食べられる植物や野菜についても詳しく教えて貰えたりします」


「あの・・・もしかしてユリさんは、騎士のご令嬢かなにかですか?」


「私は、カナタ様に会うまで戦った事も魔物を見たこともありませんでした。 皆さんの言われた事をちゃんと頑張っただけです! カナタ様達は、教えるのも凄いんです!」

 ユリが胸を張ってドヤ顔で言う。


 いや、ユリさんや・・・相手は王族だといっていたでしょうが・・・


「すみません、ユリが失礼しました。 ユリ、ミルッフルさんも仕事に戻ってください」

 俺は軽く頭を下げ、2人に仕事へ戻るように言う。


 2人は渋い顔をして、仕事に戻って行った。


「カナタさん、ユリさんの言う事は本当ですか? 学園に入る前までモンスターと会った事も無いって」


「本当の事ですよ。 俺たちの訓練はかなり特殊なので、この国の兵士や冒険者も参加してますね。 ただ余りにきついので休みの前の日だけ参加する人が多いですが」


「え? そんなにきついんですか?」


「やり始めて1ヶ月程は、最後までついて来れる人はいませんね。 筋肉痛でかなり間動きにくくなる事もあるそうですよ。 たまに1週間程全く動けない子もいますが稀ですので大丈夫だと思います。 ちゃんと回復ポーションを入れた食事を出していますし」


「それって訓練なんですか? 危ない気がするんですが・・・」


「危ないと言えば危ないですね。 骨を折ってしまうことなんていつもの事ですし・・・でも、魔物に襲われたら死ぬ場合もあります。 その対処を学んでるんですから危険な位が良いんですよ」


「そうですか・・・いえ、そうですね。 私も学ぶ事が出来るのでしょうか?」


「サミル! 止めておいたほうが良い。 短剣すらまともに持った事が無いだろう?」

 成り行きを見守っていた第1王子がいきなり口を開く。


「そうよ危ないわ。 サミルは運動が得意じゃないでしょ? この間も何も無い所で転んだばかりじゃない」

 第1王女も本当に心配そうに言う。


 あ~・・・返答するタイミングを逃したな・・・でも、何も無い所で転んだばかりってエピソード要らなくない? ちょっと可哀想だな。

 サミル姫が口をポカンと開け聞いていたが、程なくして顔が赤らむ。


「お姉さま、内緒にしてくれるって言ってたじゃないですか! しかも、こんなところで言わなくても!」

 サミル姫が怒るが、少し嬉しそうに第1王女が微笑む。


「あ~、すみません。 1日だけ体験する事も出来ますよ? 基本的に俺たち全員参加しますので、襲われる心配は無いと思います。 どうしても心配なのであれば、カルジャスさんを付けます」


 なんとなく話をきったほうがいい気がしたので、割り込んで話を進める。

 カルジャスさんはエテグラットンの上位種の群れを隊の皆で倒せたんです! と嬉しそうに言ってたし護衛になるだろう。

 本当は、同じ姫と言う事でフランソワーズ様と一緒がいいと思うけど、1人で突っ走っちゃうところがあるから無理だしなぁ。

 ヴォルディン殿下と婚姻のために前の表彰式に来ていたんだし、殿下と一緒にでもいいけど・・・

 しかし、ヴォルディン殿下とヴォルスト大将軍はいつ来るか解らないし・・・

 その後は、3人が1度体験で訓練しに明日来ると言う事が決まり、話し合いが終わり笑顔で別れる。

 少し疲れたな・・・


 それにしても、狐族のリサー王女は何がしたいんだ? 鼠の王国ラスーリを攻めたいのなら食料を半分だけ奪うってのはおかしいし・・・

 この国には何もしていないってのも変な気がするけど、ティンバー陛下にあったけど操られている感じはしなかったし・・・行動の理由が分からん。

 その後、厨房の前に立ちヨシさんを呼んでもらう・・・タダシさんを呼んでもいいけど、忙しそうだしね。


「ミルちゃんとユリちゃんを呼べばいいのね? 何をする気なの?」

 ヨシさんが困ったような顔をする。


「サミル姫に失礼な態度を取ってしまったので、お説教です」


「私も見てていいかしら?」


「それは構いませんよ。 次からやらないように注意しようと思ってるだけですし」


 ヨシさんが空くのを待ち、ユリとミルッフルさんを休憩室に呼び出す。


「さて2人はなんで呼ばれたのか解るかな?」


「王族に無礼を働いたからですか?」

 ミルッフルさんが正座をしながら上目遣いで言う。


「お姫様に失礼な事を言っちゃったからです」

 ユリがチラチラこちらを見ながら言う。


「一応理解はしているのね? あのねぇ、サミル姫はラスーリ王国の本当の姫様なんだよ? 俺たちに恩が有るから手を出されなかったけど、戦うしかなくなったかもしれない。 そうなれば、学園の仲間やこの国の人たち、俺たちも含めた全員で2人を守ることにでしょ? で、人が多く死んじゃうわけ・・・それでいいの?」


「「良くないです」」


「そうだよね? 良く考えて行動しなさい」


「「はい、ごめんなさい(すみません)」」


「はぁ・・・2人ともパーテーションの裏に隠れてコソコソしてたから何だと思ったけど、俺がデートでもしてると思ったの?」


「え? いえ、そうじゃないです」 「はい、そうかもしれないと思いました」


 ミルッフルさんが、手と首をブンブン振って否定する。

 ユリは、首を何度も縦に動かし肯定する。


「「え?」」

 2人は同時に真逆の事を言ったためか、顔を見合わせる。


 何だろう? 俺モテテル気がするんですけど・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ