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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第251話 急な難問は苦手です

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

「まさかカナタ様が、アッシの・・・すみません、私のタクシーに乗っていただけるとは思いませんでしたよ。 息子や嫁に自慢出来ます」


「はっはっは。 いやだなぁ、俺は大層な人じゃないですよ。 皆が頑張ってくれるから、大きな組織になりましたけどね」


「いやいや、謙遜しないでくだせぇ。 アッシはもちろんですが、皆がソメイヨシノの皆様に感謝しているんです。 皆様がいらっしゃらなければ、家族全員奴隷になってたんですから」


「それはたまたまですよ。 たまたま助ける事が出来ただけです。 でも、この国の発展は違います。 皆さんの努力の積み重ねで、ここまで発展したんです。 俺こそ皆さん1人1人に感謝してるんですよ?」


「カナタさまぁ・・・うぅぅぅ、ありがどう゛ござびます」


 自転車タクシーの運転手さんが、泣き出ししてしまった・・・いや、運転中に泣かないで、マジで怖いから。

 レストランチェリーブロッサムの入り口に無事に着き、門へと近づく。

 門番は、センレンさん、イラクサさん、モンジさんだった。 (センレン達3人は、バス回収時に助けた人)

 3人と少し話をして、門の中へ入っていく・・・門の中は人でごった返していた。


 パーテーションで区切り、綺麗な白いテーブルにパラソル・・・区切りの中で立って話したり、座って食事を楽しんだりしている。

 座っている人たちの服装はリネン素材のワンピース・ノースリーブワンピース・フレアスカート・シャツ・サロペットなどなど、細部に刺繍やレースなどが入った物を来ている人が多い。

 色なども多彩で、リネン独自のやわらかさを残した配色だと思う。

 ただ・・・すごい人となると、ウェディングドレスをそのまま着ている人もいる・・・ウェディングドレスってめちゃくちゃ高くなかったっけ?


 中に入りすれ違う人の服を軽く見ていくと、様々なアクセサリーがついている・・・ボタンなどもカスタマイズされているものも多く見られた。

 中には魔糸独特の光沢の服を着ている人もいる・・・素材持込でオーダーしたのだろう。

 しかし、貴族用のアクセサリーもボッタクリ値段で売っていたはずなんだけど・・・売り上げの確認するのが怖い。

 そんな事を考えながら奥に進む・・・店の中も移動式のパーテーションで区切られているが、こっちは食事を楽しむ場所になっているようだ。

 料理も外と中では違うものが出ているようだが、メニューを見ないと分からない。


「もし? カナタ様ではありませんか?」


 後ろから声をかけられ、振り返る・・・そこには、ラスーリ国の第2王女サミル様が立っていた。

 王女の格好は、薄い水色のレースのハイウェスト長袖ワンピースだった。

 背が低いから、背伸びしている子供みたいだな。


「お久しぶりです、サミル姫」


「やはりカナタ様でしたのですね。 白い鎧ではないので、違う方かと思いましたよ」


「あぁ、そう言えばそうですね。 たまには違う格好もします。 サミル姫は、そのワンピースとても似合っていますよ」


「ありがとうございます。 カナタ様、このあとご予定はありますか?」


 予定か・・・時間が出来たら冒険者ギルドに顔を出すようにエミエミさんに言われているけど、折角の誘いだし受けてみるかな。


「いえ、様子を見たら帰るつもりだったので予定は入れてありませんよ?」


「まぁ良かった。 でしたら、お食事を一緒にどうかしら?」


「ええ、構いませんよ。 ただ皆に、連絡を先にさせてください」


「え? ん? あ、はい。 もちろんいいですよ。 ここで待っています」


 リョウタロウさんにチェリーブロッサムで食事に誘われた事をメールし、タダシさん、ヨシさんに通信機でチェリーブロッサムに1人でいる事をメールし、了承の返事を貰ったあと食事に誘われたので夕食いりませんとメールしておく。

 言っておかないと、あとで怒られるからな。


 終わった事を告げる1つのパーテーションの前に案内される。

 サミル姫はパテーションの中に入り、どうぞと手を出され中に入る・・・そこには、フワフワしているザ・プリンセスと言う感じの鼠のお嬢様と、勝気そうな鼠の青年がいた。

 ザ・プリンセスは第1王女、勝気そうな青年は第1王子と言うことだった。

 サミル姫だけが妾の子供らしいが、話してるところを見て解ったが3人はかなり仲がいいようだ。

 俺にも姉がいるが、仲良くは・・・完全に無理だな・・・しかし仲のいい兄弟姉妹ってのはいいもんだ。


「カナタ様、話は変わりますが今回のご助力、本当に感謝いたします」


「俺がやったわけじゃないので大丈夫ですよ」


「いえ、しかし・・・あんなひどい事をしでかしたのに手を差し伸べていただき、感謝してもしきれません」


「あ、出発前のゴタゴタですか? 特に問題は無かったとしか聞いてませんけど、何があったんですか?」


「王が・・・父が国内の人族の討伐を命じたのです。 なので助力を断ったのですが、タダシ様ご夫婦とユカ様が無理やりにでもいくと言い出し、私を交えて話し合ったのです。

 なかなか結論が出ない時に、ケイタ様が冒険者として行動すれば誰の迷惑にならないと言われ付いて来てくださりました」


 ああ、そっかそっか、なるほど。 前にメールで僕も行く事になりましたって言ったのはそのせいか。

 ふむ、タダシさんは真っ直ぐだし、リョウタロウさんは人に合わせちゃうからな、話を纏めるのでケイタ君が出張ったって訳だろう。


「民たちを助けながら進み、兵を必要以上に傷つけず。 最後は父の説得・・・本当に感謝しか言葉がありません」

 3人は椅子から立ち上がり頭を下げた。


「いや、いいですいいです。 皆が自分で考え良くしていくと言うのが目標ですから、それで質問ですが・・・王は?」


「あの・・・父は・・・その」

 3人は顔を見合わせ、話すのを他の人にしようとしているようだ。


 まさか、自殺とかか? やぶ蛇になっちゃったかなぁ・・・

 意を決したようにサミル姫が言う。


「食べすぎでお腹を壊しベッドで寝ています。 申し訳ありません」


「あっはっはっは。 なんだ、そうですか、元気なら別にいいですよ。 料理が来たようですので、食べましょうか」


 その後も楽しく談笑をし、デザートを食べ終わったときにサミル姫が思いつめたような表情になる。


「カナタ様、お願いしたい事がございます。 聞いていただけますか?」


「ええ、もちろんいいですよ。 何かあったんですか?」


「何かがあったと言うわけではありませんが・・・ふぅ・・・私をめとっていただけないでしょうか?」


「はい~? 何ですか? 理由をお聞かせください」


「急な事で、慌てるのも無理ないことだと思います。 しかし、本妻で無くとも妾でもよろしいのです。 どうか、御傍に置いて頂け無いでしょうか?」


 あれ? これって告白されてる? いや、でも・・・本妻じゃなくてもいいって事は好きだって意味ではなく、俺の立場や技能が欲しいって事かな?

 美少女に好きって言われるのは嬉しいけど、力が欲しいって言われてもなんかなぁ・・・

 でも、美少女とイチャイチャ出来るのは魅力的だ。 しかし、それは罠で自由を奪われる・・・止めたほうが無難か。

 というか、周りが少し静かになってない? どうしたのこれ?


「失礼します!」


 いきなり入り口からメイド服を着たユリが、乱入しズカズカとテーブルの前まで来た。

 おお、少し大きくなった? 特に胸の当たり・・・大人っぽくなってきたなぁ。

 驚きの表情で、皆が固まっているとユリが口を開く。


「カナタ様は、勇者を目指しています! なので駄目です!」


 えぇ~・・・せめて理由をはっきり・・・


「その通りです! カナタさんは、勇者になるために努力しています。 婚姻などをして妻となった場合、どこまでも一緒について回るしかありません。 その覚悟、そして強さは貴方にありますか?」


 入り口の前に立つミルッフルさんが、ゆっくりとテーブルに近づきながら言う。

 いつのまにそこに立ってたの? と言うか何? ミルッフルさんもメイド服って事は、ここで働いてたの?

 というか、どうすればいいのこれ? 一応相手は王族なんだけど・・・俺はどうすりゃ良いって言うんだよ。

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