第249話 仲直り?
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狐の王国ウゥルペークラについて色々聞いていく。
特産品はポーションなどの薬、狩猟が得意でもあるので魔物の素材を使った防具と骨製の武器も作成している。
武器や防具は、輸入しているがそこまで特筆するものは無いとの事だった。
獣人には珍しく、魔力の高い者が生まれることがあることがあるそうだ。
まぁ、美人に会えるんだし楽しみにしておこう。
話をしていると、ショウマ君が起きてきた・・・いつもよりも少し遅い気がする。
「ショウマ君、おはよう。 今日は雨が降りそうだね」
「あ・・・あぁ、いや、おはよう。 ふぅ、よし! カナタさん、俺を1発殴ってくれ!」
ショウマ君は、頭を下げて意を決したように俺に言う。
「どうしたの? なんか変だよ?」
「ショウマは、昨日カナタさんを殴った事を後悔してるんですよ」
ケイタ君が入り口の陰から出てきて言う。
あぁ、そういえば話が終わったあとからあんまり話して無かったかも・・・なんと言うか不器用ですな。
「頼む、カナタさん。 俺を殴ってくれ」
ショウマ君は頭を下げたまま言う。
「そうだなぁ。 貸し1つって事にしておくよ。 ショウマ君が先走りそうになったら、貸しを使わせてもらうからね」
「解った。 それで良い、本当にすまなかった」
「いいよいいよ、これからは先走らないようにね。 あ、折角だから、ショウマ君とケイタ君もマジックバッグの調整したいから着けてみてもらって良い?」
2人も意見を聞きメモをしておく、あとケイタ君は投擲武器専用のポーチが欲しいとの事なのであとで作る事にした。
俺とショウマ君、ケイタ君が外に出るとベトニアも一緒に外に出てきた。
「カナタ様、お帰りなさいませ」
「ベトニア、ただいま。 メイド服のデザイン変わったんだね。 似合ってるね」
「ありがとうございます、カナタ様。 フリルが多くついたクラシカルメイド服と言うみたいなのですが、褒めていただいてとてもうれしく思います」
ベトニアは男なんだが、どう言えば良いのか解らん・・・本人も気に入ってるようだしまぁいいか。
ショウマ君とケイタ君は、俺がベトニアと話しているのを見て手持ち無沙汰になりスロー組み手をするようだ。
「俺たちがエルフの国に行ってから特に変わりは無い?」
「はい、そこまで変わりありません。 あ! カナタ様に言われたようにユリ(ユリ:詐欺で借金を背負いそうになっていた所をカナタに助けられた少女)と組んで、セランのパーティと複合パーティを組みグルングロッコを倒しました! ショウマ様が見ていてくれたので本当の戦いとはいえないかもしれませんが」
「おお! すごいね! さすがベトニアだ。 ただ怪我をしないようにしてね、皆が怪我をしたら心配するからさ」
「はい、ありがとうございます! 次は誰も怪我すること無く殲滅させてみせます」
その後、ユリも合流しグルングロッコを倒した事を嬉しそうに語ってきた・・・ちゃんと褒めてあげると嬉しそうにしていた。
話を聞いただけだがセラン君は、もういっぱしの冒険者と言っても過言じゃない力を持っているっぽいな。
その後、皆で学園に行き全員で訓練をする・・・人数が増えすぎて筋トレを先にやる組とランニングを先にやる組みに別れているようだ。
奴隷の子供がものすごい増えている・・・しかも、全員俺の奴隷と言うことになっているらしい。
せめて全員の奴隷かなんかに出来なかったのかな・・・いや、まじで。
平民や貴族、滞在している商人の子供も一緒に訓練している・・・イジメなどがよく起こってないと思う。
ケイタ君に聞いたところ、身分を振りかざすと死神が来ると紙芝居と教えていたが、イジメが無くならない。
それなので一芝居打つ事になった・・・イジメを行っていた子供に対し、死神から手紙が届いて大騒ぎ。
狙われた子供を守ろうとショウマ君とケイタ君が立ち上がり、皆の目の前で死神に返り討ちされた芝居を見させられたようだ。
もちろん、大人たちには仲間の1人だとネタバレをしていたし死神の中身はタクミ君なのだが、子供たちは一種のトラウマを抱え絶対にイジメなどしなくなったようだ。
トラウマを植えつけちゃだめだろう・・・似た魔物がいたら危ないかもしれないのに・・・
ショウマ君と子供たちや希望した冒険者や非番の兵士などの組み手を見たが、ハンデがすごい。
ショウマ君に挑む皆は、魔法とギフトの身体強化の両方を使い防具をちゃんと身に纏っている。
対するショウマ君は、衝撃吸収のカーボンナノチューブの籠手・・・かなり厚い座布団のような物を両腕に巻いて、どちらの身体強化も使用していない。
籠手をつけた状態ではろくに肘を曲げられないようだが、手だけを使って戦っている。
それなのに1度も負けていない・・・どんな強さだ。
身体強化を使ったフラン様との組み手のときはボクシンググローブのような物をはめて組み手をしていた。
と言うか、ショウマ君強くなってない? まさか、壁を越えたのか?
組み手の順番が回ってきたので、聞いてみた。
「いや、壁は越えていない。 ただ、昔を思い出して体を鍛えなおしたんだ。 効果覿面で、強くなりすぎて持て余してるんだ」
「なるほど、魔力を消費して自分の動きに枷を嵌める魔道具持ってきたから早めに皆に渡すよ」
「まじか! 助かるぜ。 じゃあ、始めるぞ。 お願いします」
やはり身体能力だけだと勝てる可能性が少ないな・・・だが、これはどうだ?
地面に両手をいれて、地面版畳返しをする。
「甘いな! それはもうケイタが使ってきたぞ!」
ショウマ君が1歩踏み込むと畳返しすれすれの所にスライディングをする。
ショウマ君は地面に右手を突き刺し、勢いを殺さずに右足で足払いをしてくる。
自分で持ち上げた地面が邪魔で死角を増やしちゃったか、クソ・・・そう思いながらジャンプして足払いを躱す。
ショウマ君はニヤリとして足払いで出した右足をすばやく戻し、両足で地面を蹴り右肘を突き出してきた。
空中だと避ける事が出来ず、両手で受けると吹き飛ばされる・・・地面を数回バウンドし、止まると後ろにショウマ君がいて手刀が首筋に当てられる。
「参った。 完敗だ」
「良い所まではいってたんだが、ジャンプは最終手段にしないとな。 体勢的にそこまで足払いに威力が無いと見て地面に突き刺してガードが正解といえると思うぞ?」
いや、ショウマ君の力ならガードごと壊してきそうな気がしてガードする気にならなかったんですけど。
「そうだね。 もしくは足払いを蹴り上げて距離を取ってもよかったかもね」
「ああ、俺も色々勉強になった。 やはり、カナタさんとの対決は新しい驚きがあって面白い」
ショウマ君と元の位置に戻り礼をすると、大歓声が上がった。
いつの間にこんなにギャラリーが?
次の組み手に移ったので、タクミ君に聞いてみた・・・ここでの俺たちの組み手は、一種のアトラクションのショーの様な扱いになっているらしい。
このショーのおかげで絡んでくる冒険者は一切居らず、何か変なことがあってもソメイヨシノには近づくな・・・となっているらしい。
なんか珍獣扱いだな・・・その他にも、タダシさんとヨシさんが壁を越えたらしいとさらりと言われる。
俺聞いてないんですけど・・・
訓練が終わると食事が始まると思ったが、食事は学生たちが作るようで俺たちは作らなくなったようだ。
そのため、桜食堂を朝から開けて欲しいと言う要望が毎日届いているらしい。
桜食堂はタダシさんに任せているし、大丈夫だろう。
その後、朝食を皆で取りマジックバッグの調整をしていく・・・素材は全部ブラッディルビーワイバーンの革を魔化した物を使い、本人以外使用出来ないようにした。
その次にリョウタロウさんの亜空間収納のギフト取得の手伝いをする。
「カナタさん? 陛下には挨拶に行きましたか? 帰ってきたら報告に来て欲しいって言われていた気がするのですが・・・行ってないのなら、一緒に行きましょう」
「すみません、リョウタロウさん。 すっかり忘れていました出発しましょう」