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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第248話 不安

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 夜早く寝ればいいのだが、マジックハウスでの移動でかなり寝てしまい全く眠くない。

 その日の夜に、皆のマジックバッグのデザインを聞きマジックバッグを作る事に・・・


「とりあえず最初だから、皆同じ形にしてくれるとはね・・・本当にありがたいな」

 工房で1人で呟く。


 いつ俺は思考をいじられた? 他にもいじられたりしてるのか? いきなり皆を攻撃したりしないのか?

 全部解らない・・・俺はどうすればいいんだ?

 そんな事を考えてるときに、扉がノックされる。


「カナタさん、中に入っても良いですか?」

 ミズキさんが尋ねてきた。


「うん、どうぞ」


 ミズキさんは中には入り、何を言ったら良いのか解らないのか黙ってしまった。

 俺もなんと言ったら良いのか解らない・・・手を止めることなくマジックバッグに打刻を打ち、色づけなどをしていく。


「カナタさん、私たちはどうすればいいんでしょう? 何をどうしたら良いのか解らないんです」

 ミズキさんが頭を抱えて下を向いてしまった。


「そうだね。 俺もどうして良いのか解らない。 もし何かあったときに俺たちが何をしでかすか分からないしね」


「何でそんなに冷静なんですか! 皆を殺し・・・危険にさらす可能性だってあるんですよ!?」


「うん、その可能性はある」


「なら何か・・・何かをしないと・・・でも、何をすれば良いんですか? どうしたら」


「それは俺にも解らない。 解らないからこそ皆に頼る、1人で悩んでいてもいい結果は出ないよ」


「私は暴走したんです・・・また暴走しないとも限らないじゃないですか」


 今なら解る・・・あの夢は俺が暴走した姿なんじゃないかと。

 俺が暴走した場合、すぐに倒してもらうしかないと思う。

 暴走した俺はギフトの学習を使い加速度的に俺を強くしてしまう可能性が高い・・・暴走した俺に時間を与えるのは危険だ。

 時間稼ぎに何らかのくさびや枷を作っておかなくてはならないだろう。


「うん、そうだね。 その不安は分かる、俺も暴走する可能性があるんだし。 だから、暴走したら俺がミズキさんを止める。 ミズキさんは俺が暴走したら止めてくれないかな?」


「はい! 私はカナタさんが暴走したら、絶対に止めてみせます! カナタさんは、私を殺してでも止めてください」


「うん、一緒に暴走しないように頑張ろう! だけど、絶対に殺さないで止めてみせるよ。 約束する」


 ミズキさんは、少し表情が明るくなった気がする・・・その後少し話をして、ミズキさんは部屋を出て行った。


 不安なのは俺も同じだ・・・だが、ミズキさんが一緒に暴走していなければ、魔素強制支配フィールドで魔法の抑止が出来る可能性がある。

 魔法が使えないと言うだけで、全面への攻撃が減る・・・大きなマージンになるはずだ。

 あと、モリスさんから貰った鍛錬の腕輪・・・たぶん、1つの枷になるはず。

 モリスさんには、雇い主の情報などの言えないと解っていたのにズカズカ訊いちゃったな・・・本当に申し訳ない。

 たぶん腕輪をくれたのも雇い主さんだろう・・・雇い主さんにも会ったらお礼をしないとな。


 次の日の朝、いつもどおり最初に起きているタダシさん、ヨシさんにマジックバッグをつけて貰って感想を言ってもらう。

 マジックバッグ自体を作り変える事は出来ないのでベルトの修正だけだが、人によって使いやすい位置がある訳だ。

 そのベルトに、ポーションや飴を入れる専用のバッグもつける予定だ。

 全部がマジックバッグ内にあるとすぐに使用することが出来ないし、マジックバッグが壊れたときのために必要だろう。


「あ! タダシさん、このザックィンムの実って食べられると言うのは解ったんですけど、要りますか?」

 俺は実を1つカウンターに置く。


 実を急成長させて狼にしたりドラゴンに変えてきたから食べたいとはあまり思わないけど、いい食材の可能性も否定できない。

 タダシさんヨシさんのどちらかに見てもらったら安心して違うものに利用できる。


「ん? ちょっと確認するから、待っててくれ」

 タダシさんはそういうと、実の皮を剥き一欠片を舌の上に置く。


「あぁ・・・ほうか、ふむ。 カナタ、こりゃ渋柿に近いもんだな。 作ってみるのも良いと思うぞ? この世界だとどうかは分からんが、地球の中国だと柿餅しへいという生薬になってるし、周りについた白い粉も生薬だったはずだ。 詳しくは解らんからなんともいえんがな」


「へぇ~じゃあ、作ってみましょうか。 あと、アドルメリがいたんですよ! その蜂蜜や幼虫は渡しておきますか?」

 蜂の巣を出してうれしそうに言う。


「少し舐めさせてもらうぞ? ふむ、こちらのほうが甘いし濃いか・・・1/3ほど貰いたい。 あとは、薬のほうに回してくれ」


「はい、解りました。 じゃあ、壷に入れて置きますね」


「あぁ、頼む」


「やっぱり、桜の木片だけでも貰っておくべきでしたね」


「燻製か? 世界は広いどこかにあるだろう気長に探そう」


 話が終わり暇になってしまった。

 この後いつもなら訓練前のランニングが入るはずなんだけど、1人じゃ外に出られない。

 挨拶に来てくれた農奴の人の面会も断っちゃったし、学園の子たちも会いに来てくれたのになぁ・・・

 そう思ったその時、鉄琴のような音が聞こえてくる。


「おはようございます。 今日は曇り空ですね」


 どこからかぜんぜん知らない人の声が聞こえる・・・いや、この声セレネさん(セレネ:冒険者ギルドの受付嬢、愛想が良いので結構人気)か?


「お! そうだったそうだった。 言うのを忘れていたが、ラジオを作ってもらったんだ。 今ではこうやって朝、昼、夕に情報を流してくれてるんだぞ? 街中にスピーカーを付けているから全員聞いていて評価も高いんだ」


 俺は驚いた顔をしながらうなずくと、ラジオの内容に耳を傾ける。

 魔物の情報や素材の高価買取情報、桜食堂・桜服店・桜雑貨店の新商品の話などが流れていた。


「タダシさん、うちの商店の宣伝が多くないですか? スポンサーだからとかですか?」


「まぁそれもあるが、俺たち以外スポンサーになろうとする奴なんて居ないからだな」


「効果が解らないのにお金なんて出せないって事ですかね?」


「その通りだろうな。 そのうち気が付いてスポンサーやCMなんか流せれば良いんだがな」


「そうですね。 ここの商品の大半は俺たちが抑えちゃってるようなものなので難しいですよねぇ」


「まぁ、そうだな。 頭が痛いところでもある。 ああ、もしかしたらだが、カナタがラジオに呼ばれるかもしれんぞ?」


「え? それはまたなんでですか?」


「おいおい、放送局も立っている土地も通信の魔道具も全てが儂らの物で出来ておる。 その代表が呼ばれないわけが無いだろう?」


「あぁそういう事ですか・・・出来ればシカトしたいんですけど無理ですかね?」


「無理だろうな・・・あと、近日中に人が訪ねて来ると思う。 時間を空けておいてくれるか?」


「ええ、それはもちろん大丈夫です。 ですが、誰が訪ねてくるんですか?」


「どっかの国の姫さんだ。 カナタが帰ってくるまで滞在すると言っていたぞ?」


「姫? 姫の知り合いなんて居ないと思うんですけど・・・どこの国とか分かりますか?」


「狐の獣人だったから狐の王国じゃないか? セードルフ(セードルフ:カナタが助けた3人家族の奴隷、執事頭として働いている)が対応してくれたから聞いてみてくれ」


 そういうとタダシさんはセードルフを呼び、その代わりに自分がキッチンの中に戻って行った。

 キッチンの補助しているベトニア(ベトニア:バスの回収というか塩の迷宮の帰りというかに助けた。 商人つきの奴隷だった男の娘)がちらちらこちらを見ている。

 考えたいことがあって昨日は2人とあんまり話せてないんだよなぁ・・・そう思い笑顔で手を振っておく。

 顔を綻ばせ一生懸命、パンの生地を捏ねている。


「カナタ様、おはようございます。 体調はどうでしょうか?」


「体調が悪いわけじゃないから大丈夫。 昨日は話せなくてごめん。 訪ねて来た姫の事聞いても良い?」


「話せなくとも元気で居ていただけるだけで良いのです。 失礼しました。 訪ねて来たのはウゥルペークラ国のリサー・ウゥルペークラ第1王女様の使いです。 国色天香こくしょくてんこうの方だと聞いています」


「こくしょくてんこう? って何?」


「国1番に美しく、姫が近くに居るとえもいわれぬ香りが漂う・・・と言うことのようです」


 国1番の美人? 何それあって見たいんですけど!

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