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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
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第242話 謎の種

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 大きな物を中心に拾いながら、皆がいる岩山に向かって行く。

 ドラゴンなんてそのままの姿で固まっている・・・木の枝で出来て葉っぱが鱗のようだ。

 そう言えば、木を回収した時に実がなっていたけど何の実だろう? 実が狼になったりドラゴンになったりしたのだから余り食べたいとは思わないが・・・


「皆おまたせ。 宝箱と言うか木箱の中に入ってたのは、金属のプレートと種です」


 俺の言葉に皆は少しがっくりしている。

 俺も気持ちは分かる・・・もう少し良い物が入って欲しかった。

 金属プレートをミズキさん、コノミちゃんと見せて行くがやはり文字が読めないようだ。

 スートーグさんも読む事が出来なかったが、ミルッフルさんに渡したときに反応があった。


「これ、私達が・・・私達エルフ族が使っていた文字ですよ。 何でここに?」


「考えられるとしたら・・・エルフの故郷? とかかな? でも、ダンジョンの中だし・・・しかも、星を捨てた時期と魔物の発生した時期が変わっちゃうか」


「ダンジョンの中から転移したとも考えられなくは無いですが・・・そんな事が本当に可能なのか全く解りません」


「うん。 まぁ、そうだよねぇ」


「もし、もしですが、ここが私達エルフの故郷の星だとすると、魔物が生まれてから移動した事実があったはずです。 たしか・・・怪我をして故郷に帰ること望んだ人が居た。 そして、その人達や家族が故郷に帰ったと言う伝承があったと思います。 でも、直に戻ってきたと言う伝承もあった気がするので確証は無いのですが」


 エルフの伝承ってところどころあってて、全部正解だ! ってのが無いんじゃないか?


「う~ん・・・解らない事は解らない。 それで、このプレートに『種を幹の真ん中に置く事が倒す方法』だって書いてあるんだけど」


「え? カナタさん読めるんですか?」


「ああ、うん。 言語理解を持っているからね。 普通だと読めないよ」


「言語理解ですか。 良くそんなレアなギフトを持っていますね」


「まぁいいじゃん。 それよりも、種を幹の真ん中に置かないとザックィンムは倒せないみたいなんだけど」


 俺の言葉に皆切り株の方を見る・・・皆俺と同じくどうしようか考えているようだった。


「無くなっちまったもんはしょうがないだろ。 切り株の中心におけば良いんじゃないか?」

 スートーグさんが、頷き言う。


「まぁ、それしかないですよねぇ・・・というか、まだ生きてるんですかね?」


「マジックボックスに入れてみたら良いじゃないか。 生きてる奴は入らないぞ?」


「いや、地面に根を張ってるのでマジックボックスに入らないんですよ・・・とりあえず、切り株の中心に種を埋めてみます。 でも、その前に落ちてる魔石と土に埋まってる虫をどうにかしないとですね」

 俺の言葉で、周りに落ちている石が魔石だと思い出したようだ。


「切り株が生きてていきなり攻撃してくる可能性もあるから、どうしよっかね」


「確かにな。 それなら、埋まってる虫の解体をやってみても良いか? 見た事の無い魔物だから失敗するかも知れんが」


「了解です。 なら、俺も一緒に解体しますので、ミズキさんとコノミちゃんは魔石を集めてもらって良い?」


 2人は了承してくれ、大量の麻袋を手に魔石を集めに行ってくれた。

 俺はゆっくりと土をどかして、虫を数十匹とり出せる様にする。

 1人に1匹渡し、解体の心得を持っている俺が先に解体してみる事に・・・これって、フンコロガシじゃないかな? TVでしか見たこと無いけど・・・

 薄く見える線に従い羽根を取り足を外し魔石を取り出す・・・今気が付いたが、食べられる魔物じゃないし適当で良いんじゃないか?

 周りの皆を見るとスートーグさん以外は羽根を切り落とすので既に四苦八苦していた。


「あの、全然切れないんですがどうやれば良いんですか?」

 ミルッフルさんが諦めたのか質問して来た。


 俺と皆の解体用ナイフは同じ魔鉄製だし、コツさえ掴めばそこまで難しくはない・・・はず。

 結局、スートーグさんが羽根を取り、俺が足を取って、他の皆が魔石を取る事になった。

 羽根は後ででも取れるので、まず足と魔石・・・足を手早く取り皆の前に置く。

 足があった場所にナイフを入れて胸を裂き魔石を取りだし、最後に羽根を取る。

 サッサとやってしまおうと思い、ギフトも使って解体する。


 ほとんどの虫の足を取り終えた辺りでミズキさんとコノミちゃんが戻ってきた。

 お昼を過ぎていた事もあり、皆で昼食を取る事になった。

 お昼ご飯は、餡かけ焼きそば・・・鶏がらスープの出汁の餡かけの物だが、思ったよりも好評だった。

 かなりお替りを作り、俺がお昼を食べれたのは皆の食事が終わってからだった。

 タダシさんが言っていたように、お代わりの分も最初から作っちゃえばよかった。

 この世界では作りすぎても、マジックボックスにしまっちゃえば食材が無駄にならないと言っていたのに・・・今度からそうしよう。


 簡単に片付けをして、解体も飽きたので種を植えてみる事になった。

 前衛は俺、切り株の上にいる中衛はコノミちゃん、切り株から少しはなれたところに後衛のミズキさんという布陣で行う。

 俺達2人が何かあっても、ミズキさんであれば切り株を吹き飛ばして助けられる可能性がある。

 そんな事は無いと思うが、最悪を考慮した布陣なのでこうなった。


「2人とも準備はOK?」


「「はい!」」


 種を植えた時に何が起こるのか少しわくわくしているようだ・・・俺もワクワクしているのだが。

 マチェットナイフで少し傷を付けて、その上に種を置く。

 すると種が明滅し始め、根が切り株に突き刺さる。


「ギャァァァ! 主らは何をした!」

 ザックィンムは、急に大声をあげる。


 声を上げると同時に大きな地震が起こる・・・地面に立つミズキさんの所も起こっている様だ。

 大声を上げたという事は、ザックィンムは休眠していただけのようだ・・・もしかすると、タヌキ寝入りかもしれないが。

 様子を見ると程無く地震が収まり、種から芽が出始める。


「消える・・・消えてしまう・・・あぁぁなんと嘆かわしい」

 ザックィンムが力ない声でそう言う。


「倒した俺が言うのも何だけど、家として作り変え長く使うつもりだから落ち込まないでくれ」


「もうよい、我は我に怒っておるだけじゃ。 消える前に、褒美を渡そう」

 ザックィンムはそう言うと俺が立っている所を動かし魔石を出した。


「このまま乗っ取られるより、我を倒した主に渡したい。 大切にしてたもう」


「ああ、大切に使うと約束しよう。 では、またどこかでな」

 俺はそう言うと魔石を取る。


 すると目の前の新芽から光がほとばしり始める。

 数秒ののち光は収まると、目の前には直径2m位の立派なサクラが咲いていた。


「こりゃ凄いな・・・皆見える?」

 俺が通信機で呟く。


「はい、立派なサクラの木ですね」

 コノミちゃんが呟く。


「ここからだと頭の方しか見えないので、そっちに行ってみてもいいですか?」

 ミズキさんが言う。


「もちろん良いよ。 ザックィンムから魔石を貰ったから、魔物の反応も無いと思うし」


 その後、皆を切り株の上に呼んでサクラを見る。


「こりゃあ見事だな。 これがお前達のクランの名前の由来か?」

 スートーグさんがサクラを見ながら言う。


「どうなんでしょう? これと似た木が名前の由来と言った方が良い気がします。 なんとなく違うものの気がするんで」


「そうか。 しかし、見事なもんだな」


 その後、少し休憩して行こうという事になりテーブルと椅子を出し、お菓子とジュースで花見を楽しむ事に・・・

 まったりと楽しんでいる時に、また声が聞こえて来た。


「妾を起こしてくれたのは、お主達かえ?」

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