第240話 ボスへ
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その後、サウザンドエルダートレントの素材とミズキさんから預かっているスーパーダイヤを使って杖を作る。
ミズキさんの杖が壊れたときに、アカネちゃんから魔法回路の写真を送ってもらっている。
見ながら作ったから同じように作れて入るはずだが、遠い場所からの通信なので写真の画像が荒くて細かい部分が分からない。
しかも、ミスリルなどの良い金属が無いので魔法回路が別体で作れないので木材に溝を掘って作っていく・・・多くの木材が犠牲となった。
なんとか心挫けずに、俺オリジナルと言っても良い魔法回路が出来上がった・・・失敗作は木炭に作りかえて使おう。
試作品をミズキさんに使って貰って魔流眼で見て何度も直し、そのかいあって心から納得いく物が出来上がった。
前よりも魔力の制御がしやすくなったと言っていたし、良い出来だと俺も思う。
不安点を上げれば、魔法で使用する魔力が結構減って威力が上がってしまったことだ・・・いつも通り魔法を使ってしまうと自分すら危ない。
次はボス戦だし、威力が上がってボスが早く倒せれば、それだけ安全になるはずだ・・・フレンドリーファイアが益々怖いが・・・
次はコノミちゃんの杖を作る。
ミズキさんの回路と同じ物で大丈夫なはずだ・・・が、扱いにくいらしく少し修正し手渡した。
自分の細胞から作った魔晶石じゃないから少し変わったようだ。
木炭の量はだいぶ多くなるな・・・そんな事を考えながら、作業し作り終わってから寝た。
次の日、朝食をとると最後のボス部屋に入る・・・すると、そこはありあえない場所だった。
全員その光景を見て絶句している。
降り立った場所は大きな岩山の山頂、眼前には驚くほど高く大きいと思われる1本の木、全周見渡すとに地平線は見えるほど広大な草も生えていない大地が広がっていた。
「これは・・・どういう事だ? 何なんだこれは?」
スートーグさんは、驚愕の表情で言う。
「スートーグさんが見たことないってことは、ダンジョンに異変があったと思った方が良さそうですね」
「そうかもしれん。 考えてみればウェーブ以降バタバタしていて討伐隊を入れていなかったな」
「じゃあ、1年位は入っていなかったって事ですか。 でも、それくらいで敵の強さって変わる物ですか?」
「いや、5年入って無くても敵の数が増えただけだった・・・ならば何故? いや、こんな広大な場所等他のダンジョンでもないはずだ」
スートーグさんはそういうと考え込んでしまった。
そう言えば、塩の迷宮も強い魔物が出たんだっけ? なんか関係あるのかな?
「カナタさん? 考えても解らない物は解りませんし、ボスの所に行きませんか?」
ミズキさんが肩をたたきそう言う。
「あぁ、ごめん。 そうだね、ちゃっちゃとボスを倒して帰ろっか」
断崖絶壁の岩山を魔法を使って下っていき、木に向かって歩き出した。
数分歩くと、地面から人のような形の気持ち悪く汚い生物が這いだし襲いかかって来た。
風の刃で切り刻むと、死んだ仲間を近くにいた生物が喰らう。
まるで地獄のようだな・・・魔石だけは食えないのか外に吐き出す。
「この魔物ってなんでしょうね? すっごい気持ち悪いんですけど・・・」
俺が指差しながら言う。
「あの、スートーグさん。 あの木って伝承にあるザックィンムじゃないですか? 1本あれば世界が地獄に変わると言われている」
ミルッフルさんが、でかい木を指差して言う。
「ありえん・・・とは言えんな。 亡者を従えているところを見るとそれしか考えられん。 しかし、何故ここに? 伝承では、地獄と化した星を捨て神と共に新たな地に移ったと」
スートーグさんが険しい顔で言う。
話しをしている内に亡者はどんどん数を増やし迫ってきている・・・何体いるんだ?
両手の親指と人差し指で長方形を作り中の亡者の数を数え、その長方形が何個あるかでだいたいの数が分かるはず・・・だと思ったんだが、奥までビッシリいて数えるのを諦めた。
数を数えても無意味だし・・・
「ミズキさん、やっちゃって貰える? 出来れば木材にしたいから、中心の木に火を使わないで欲しい。 いける?」
「はい、大丈夫だと思います。 ぶっつけ本番なので失敗したらごめんなさい」
「跡形も無く消し去るわけじゃなければ別に良いよ」
「じゃあ、岩山まで後退しましょう。 あそこから撃つのが1番見やすいので」
岩山まで後退し俺達は頂上へ、ミズキさんは中腹くらいに陣取る。
ミズキさんは、杖を両手で持ち異常なほどの魔力を放出し始める・・・するとミズキさんに向かって強烈な風が起こり始めた。
小さな光の塊を作りだし、ゆっくりと大きくしていく・・・前に見たレーザーに似ているが、熱量が半端無い。
そのまま撃ったら跡形も無く消滅しちゃうんじゃ無いかと言うくらいだ。
「光よ」
ミズキさんがそういうとまばゆい光が放たれる。
闇魔法を使って光を遮り見てみると、あたり一面は光で覆われているが木の部分だけ円く避けられていた。
いや、こんだけの熱量なんだから木が燃えるって・・・案の定、木の下の方の葉っぱが燃えながら落ちていく。
だが、木の幹等は無傷のようだ・・・いい木材っぽいな。
光が収まると、ミズキさんの居る場所へ降りて行く。
「お疲れ様、凄い魔法だったね」
俺はマジックボックスの中にある果実水を手渡しながら言う。
「ありがとうございます。 ですが、少し失敗して下のほうを燃やしてしまいました」
ミズキさんはそういうと果実水を飲む。
「いやいや、亡者が一帯から消えたのはありがたいよ。 でも、また厄介そうなのが出て来たね」
「え? 何か出てきたんですか?」
「えっと、大きい虫だね。 大量に飛んできてるみたい」
全長40cmほどのカブト虫メスのような集団が木から大量に飛んで来ている。
虫の魔石って小さいから取りにくいんだよねぇ・・・出力が高いから、結構高値で売れるけど。
でも、、魔石は全部自分達で使うしあの数剥ぎ取るのは面倒だし・・・
「カナタさん? カナタさん!」
「え? あ、どうしたの? コノミちゃん」
「戦闘中にポーとしないで下さい。 あの虫たたき落としますよ?」
「あ、うん。 お願い」
「エアーウォール!」
最前列の虫が風の壁にぶつかると、宙返りをするように舞い後ろの仲間に当たり団子状になる。
「なんか、チャーハンひっくり返してるみたいだね」
「カナタさん! へんな事言って無いで土で閉じ込めちゃって下さい」
「土のドーム! 土の硬化! って、コノミちゃん遠い所に魔法撃つの上手いね」
俺は、かなりの魔力を使ってやっと届く位なのだがコノミちゃんは平然とやっている。
「カナタさん? 大丈夫ですか? リア充になって脳みそ爆発したんですか? 杖の効果に決まってるじゃないですか」
コノミちゃんが呆れた様に言う。
そこまでいう事無くない? おじさんこれでも頑張ってるんですけど・・・
「あ! 俺、自分用の杖作って無い」
「(ちっこれだから、彼女が出来た頭の中お花畑糞野郎は・・・)第2波来ますよ?」
「コノミちゃん聞こえてる。 聞こえてるからね。 後ミズキさんとそう言う関係じゃないから! 準備OK」
「魔力が少し回復したので手伝いましょうか?」
ミズキさんが恐る恐る言う。
コノミちゃんがかなり怒っていらっしゃる・・・圧力のスキル持ってないはずなのに、圧力を感じる。
「はい、ミズキちゃんは左右に広がった虫を中央に寄せて下さい。 カナタさん、そろそろ溜まってきたのでお願いします」
いつものコノミちゃんに戻り、少しホッとして虫を退治する。
俺達3人以外の皆は、邪魔にならないように後ろに下がっている。
出てきた虫を全部土に埋めて固めると、地面に降りる。
ガラスの大地の上に点々と魔石が大量に転がっている・・・奥には土のドームもある。
回収どうしよう・・・と考えたとき、木々が揺れ不快な声が響く。
「そこの小さき者よ。 誰の許しを得てここへ来たのだ?」
魔物が喋った!!