第21話 ギフトについて
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帰ったら、皆起きていた・・・ついさっき起きたらしい。
なんか、サプライズがあるらしいが・・・何だろう?
誰かを呼びに行ったみたいなのだが・・・
白髪の美人と、黒髪を後ろで束ねた少女が出てきた。
「佳なのか?・・・若い頃そのままじゃないか・・・」
「ええ、そうよ忠さん。若くなっちゃったみたい」
え? ん? 佳さん!? まぢで!? 若返ってる! しかも、何その反応!・・・のんきか!
「え? ほんとに? 佳さん? えっと・・・こっちが、佳さんだって事は・・・そっちは、もしかして好未さんなのかな?・・・」
「そうですよ、見てください! あれだけ荒れていた肌も綺麗になりました」
「ほんとだほんとだ、良かったね! 綺麗になって胸を張って立っているから見違えたよ~、本当に綺麗になったね~」
顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。
やりすぎたかな? まぁ、言われて嫌なことじゃないし、お世辞で言った訳じゃないし、いっか。
「食事ってどうしますか? 食べちゃいます? それとも、マジンを注射に行きます?」
「食事にしたほうがいいんじゃないか? 朝のうちに簡単な物を作っておいたから直ぐ食べれるぞ」
忠さんが、腕を組みながら言う。
「了解です、ただ急いだ方がいいかもですのでお願いしますね~」
「解った、佳いくぞ!」
「はい、あなた」
なんとなくだけど、忠さんが照れてるように見える。
いきなり自分の妻が若返ったらあせるよなぁ・・・
晩御飯を急いで食べて、協会に行く。
ラーモンさんにマジンを注射してもらっている最中に、皆のギフトの確認へ行く。
「じゃあ、ギフトはこの水晶に手をかざせば出てくるから、最初は瑞稀さんからでいいんだよね?」
「はい、解りました、行って来ます」
ギフトは大抵1人で見に行く。そうでないと全員に知れ渡ってしまう。
良いギフトは身の危険にも繋がる・・・気がする。
ウェーブが発生した時、最前線に送られたり、戦争で利用されたりすると思うからだ。
入室して数秒で、出てくる。
「どうだった? ちゃんと確認出来た?」
「いえ・・・あの・・・解りません」
「ん? 意味不明なギフトだったとか?」
「いえ・・・文字が読めなくて・・・」
え? 言語理解って誰でも持ってるギフトじゃないのか?・・・会話できないのはマジできつい・・・
「じゃあ、俺が読めるから、一緒に入っていい?」
「よろしくお願いします・・・(言葉通じなかったらどうしよう・・・)」
一緒に入り手をかざして貰う。
ギフト
音声会話
マジッククリエイション
魔力の泉
「なるほど、こんなギフトもあるのか・・・すごいな」
「な!? なんですか? 何か変なのあるんですか!?」
「えっとね、簡単に言うと、魔法特化のギフトだね」
「魔法? え? 魔法ですか! 本当に魔法特化なんですか!? どんなのです!?」
立ち上がらないで、近づかないで・・・顔近いし・・・緊張するでしょ・・・
両手を挙げ、痴漢冤罪対策のサラリーマンのような恰好になる。
「おち・・・落ち着いて、落ち着いて・・・近いから・・・ね」
「す・・・すみません、焦っちゃって」
耳まで真っ赤にしながら、俯いてる・・・可愛いな。
「ギフトは、音声会話、マジッククリエイション、魔力の泉の3つ。
音声会話は、文字通り会話は出来ても文字は読めないって感じじゃないかな?」
「マジック・・・クリ・・・エイ・・・ション、魔法・・・魔法の創造ですよね!? 本当ですか!?」
さっきと同じ状態になる・・・魔法使いになるのが夢だったのかな?・・・顔近いって・・・
「おち・・・落ち着いて、ね・・・今人来たら襲ってると勘違いされそうなんですけど・・・」
「ひゃぁ!!」
と大きな声をあげて俯いてしまった。顔を両手で掩い、さっきよりも顔が赤い気がする。
「一応確認し終わったし、他の人に代わろうか」
次は、茜衣さんだね。
「音声会話ってギフトがあるみたいで、会話が出来るが文字は読めないみたいなんだよ」
「へぇ~そうなんだ~、読めなかったら呼べばいいんでしょ?」
「そうだね、じゃあ、いってらっしゃい」
入って数秒して、やはり呼ばれた・・・言語理解って結構レアギフトなのかな?
ギフト
音声会話
動物の心
錬金の心
調理の心
「ギフトは、音声会話、動物の心、錬金の心、調理の心だね」
「なんか~微妙じゃな~い? 強くないっぽいし~」
「戦闘的には確かにね、ただ動物の心って魔物を操るとかだと思うし、調理は便利なんじゃない? 男を落とすには、胃袋からって言うし。錬金はどういうものかわからないけどさ」
「う~ん、そっか~魔物同士に戦わせて~、あたしは、隠れてればいいんだ~、確かに楽かも~」
「じゃあ、次の人に代わろうか」
結局、言語理解を持っているのは俺一人だけだったので、全員に呼ばれることになった。
やはり、かなりのレアスキルっぽいな・・・ちょっと嬉しい。
佳
ギフト
音声会話
調理の心
草木の心
薬の心
佳さんは、料理人タイプっぽい。草木の心はどうやったら速く育つか実りを多く出来るかの知識だった。雑草っぽい物も食べれるか毒をもっているかの判断ができるみたい。
有華
ギフト
音声会話
魔力眼
薬の心
治療の心
有華さんは、治療師で間違いがない。魔力眼は魔力の流れや大きさが見えるらしい。魔力の滞っているところを治療の心も使ってみると、何が悪いかなんとなく解ると言っていた・・・俺は目が疲れているらしい。
好未
ギフト
音声会話
彫金の心
芸術の心
裁縫の心
好未さんは、クリエイター職だね。服とアクセサリー製作ができるし、芸術ってことはセンスもいいのかも。
全員のギフトが出揃ったが、見事にばらけてるな。
ただ、心ってなんだろう? 心得とかか? 技術と違うのか?
良くわかんないなぁ・・・
「一応俺も確認してみてもいいですか?」
皆から了承を得ると、確認してみる。
ギフト
言語理解
学習
槍の技
身体能力+(灰色)
お! 増えてる・・・槍の技か~なんかかっこいいね、ハルバードの斧の部分しか使っていないから斧の技なんじゃないのか? まぁ嬉しいからいっか~。
あと、身体能力+だけ灰色なんだけど、何が違うんだろう? 後ちょっとで習得できるとかかな?
ラーモンさんに聞いてみた方がいいよね。
『すみません、ラーモンさん、質問してもいいですか?』
『もちろんですよ、何があったんですか?』
『ギフトが2つ増えてて、その1つが灰色なんですよ、この灰色文字のは何でしょう?』
『え? 2つも増えたんですか? 本当に?』
あら・・・やっちまったかな、とりあえず愛想笑いと笑顔で乗り切る・・・しかない。
『すみません、穿鑿するのは失礼でしたね・・・えっと、灰色の文字でしたね。それは、もう少しで習得できるギフトですよ』
ああ、やっぱりか・・・解りやすいね~。
『やはりそうでしたか・・・あと、何とかの心って出たんですけど、それって何ですか?』
『え? 心? ホントに? 何の心・・・いえ、なんでもありません』
『私ではないですよ~、仲間が持っていたんですよ~』
『そうなんですか・・・驚きです・・・あ、心って言うのは複合ギフトですよ』
『複合ギフトですか、技術とは違うんですか?』
『少し違います。心や心得って言うのは技や技術の複合された物です。
例えば、調理の心というギフトがあるんですが、そのギフトの能力は【味付けの技・火加減の技・食材の切断の技・食材の目利き】などのギフトを一緒にした物ですよ』
『ものすごいですね、使い方はどうすればいいのですか?』
『そのままONにしておくと、持った食材なんかの状態がわかるらしいんですよ』
『それは便利ですね~』
マジッククリエイションも聞きたいが止めた方がいいだろう、危険な香りがするし。
結局、返した担架をもう一度借りて皆を家に運んでいく。
家に着いたときに、家を1年間借りたことと魔力を補充することなどを説明した。
家の中には風呂もあったので、沸かして入ることになった。
皆の魔力を一度全部補充してみて貰ったが、体調自体も全く変化しなかったし、瑞稀さんの魔力量が他の人よりも多く、動いていても回復するらしい。魔力の泉の効果だろう・・・羨ましい&欲しい。
これでやっと出発点に立った位だろうな・・・勇者になって皆を家に帰すまで長そうだ。