第237話 装備の貸し出し。
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次の日はカーボンナノチューブのインナーとサブ武器、お世話になったパルメントさん達へのプレゼントを作る事にした。
メイン武器は今までの物を使ってもらうことにした・・・メイン武器を作るのは時間がかかるのでそうした。
作るのは少し長めのマチェットナイフにしている・・・作るのに1番慣れてるので早く作れるのが理由だ。
インナーはミズキさんにカーボンナノチューブのインナーを4着作ってもらい、コノミちゃんにはインナーの裏当て・・・いや、全身タイツのような下着を4着作成して貰う。
いつものようにカーボンナノチューブの裏当てにしてしまうと、脱ぎ気がしにくくなってしまうのでインナーに合わせた大きさの物ではなく全身タイツのようにした訳だ。
何故4着かと言うと、パルメントさん、スートーグさん、ミルッフルさん、モリスさんには個人用の通常のグランネッツの皮で作った魔鎧下をプレゼントする。
ウルフローナの陛下やヴォルスト大将軍、ヴォルディン殿下にも同じ物を渡してるし良いだろう。
フランソワーズ様だけは、命の恩人って事で俺達と同じ防具を持っている・・・贔屓して何が悪い!
防具は血液を使うので、先に作成する・・・服飾担当のアヤコさんがいないので型紙が無く苦労したが、夜にこつこつ作っていたので殆ど出来上がっている。
4人の血液も昨日の内に回収してあるので大丈夫だろう。
というか、4人は何に使うかも聞かずに血液をくれた訳だが・・・信用されすぎて無いか?
鎧を組みたて、本人の血液入り血塊脈につけてる・・・これで、放置すれば出来上がるだろう。
鎧をつけている間に、マチェットナイフを作る。
マチェットナイフの素材はグランネッツのレア種の骨を使う・・・今回は魔剣にはしないので作るのは簡単だ。
さっくり作り上げ、試し切りをして今回一緒に潜る6人に渡し試し切りして貰うと驚愕の顔になった。
「おい、カナタ。 これは売って貰え無いのか? 魔鉄よりも軽く切れ味も良い・・・前に1度だけ試した事があるドラゴンの素材の剣と同じと言えなくも無い」
「作る前に言った通り、売れません。 俺達が作った武器を持つと強くなったと勘違いして戦争とかおきそうですから。 インナーも今回は簡易的な物なので売れませんよ」
「簡易的な物じゃなければ売ってくれると言うのか? それは本当か? いくら何だ? 何着買える? 俺の物はあるのか?」
「落ち着いて下さい、落ち着いてね」
「あぁ、すまん」
「ウルフローナに行ってオーダーしてもらえれば、インナーなら3着まで売りますよ。 でも、パルメントさんとスートーグさん、ミルッフルさん、モリスさんにはもっと良い防具をプレゼントしようと思ってますよ?」
「はぁ? 武器は駄目でも防具は良いのか?」
「はい、簡単に言うと本人以外使用出来ないんです。 まぁ、他の人が着るとある程度強い鎧下って感じになるんですけどね」
「本人専用だから売っても良いって訳か・・・でも良いのか? 俺がお前達に敵対するかも知れんぞ?」
「その時は俺の見る目がなかったってことで、全力で叩きのめします!」
PTの登録を協会でしなおして貸家に戻る・・・全員の防具を作り、サイズ等の手直しをするとお礼として手渡した。
その頃には夜になっていて、元執事が作ったミートスパゲッティを皆で食べて早めに就寝した。
次の日、訓練が終わり次第ダンジョンに潜る事を訓練に来ているエルフに伝え軽めの訓練で帰った。
もちろんスートーグさんやミルッフルさん、シャガ達は来ていない。
朝ご飯を食べて、買い物に行くくらい気軽な感じでダンジョンへ向かう。
ダンジョン内は、外と同じ時間で明るくなったり暗くなったりするらしい・・・三部屋目くらいまではお遊びだとスートーグさんが言っていた。
木の虚の中にある入り口に入る前に、皆の方を見る。
何度も入っているスートーグさんは落ち着いているが、コノミちゃん、シャガ達、ミルッフルさんはガッチガチに緊張していた。
ミズキさんは、ある程度緊張している程度だ。
「さぁ、ダンジョンですね! 聞いてた通りトレントや草、虫が多いみたいなので不意打ちに注意して下さい。 一部屋目はトレントが出現し無いみたいだし、1番強いので8級までしかでないようなのでシャガ達4人とミルッフルさんに任せます。 駄目そうだと思ったら手を出しますので思いっきりやってみてください」
「「「はい!」」」
返事は良いんだけど、今にも泣き出しそうなんだよなぁ・・・大丈夫か?
結果・・・ええ、思いっきり駄目でした。
グラッシーズって雑草の魔物に足をかけられ、エノキかな? というキノコの魔物に石を投げられ、蔓の簡単なトラップにハマる・・・
挙句は、足をもつれさせ顔面強打・・・もはや、お笑いとしか言え無い。
「いつも通りの動きが出来無いってのは分かってたけどひど過ぎるんじゃ無い?」
「「「すみません」」」
涙目で今にも泣き出しそうな5人に謝られる。
「適度な緊張で能力が上がる人がいるけど皆は下がる方なようだし、感情をある程度コントロールする技術を身につけよう」
俺がそんな話しをしていると、スートーグさんが手を上げる。
「全員駄目そうだし、気分転換に前言ってたカナタの弓を射てみてくれないか? どんな威力なのか俺も見てみたいしな」
「あぁ、いいですよ。 ここなら本気でいても大丈夫そうですし」
ワイバーンの黒弓と全魔鉄製の矢を取り出す。
身体強化のギフトと魔法を使用して、矢に風を纏わせ森に向けて矢を放つ。
放った瞬間爆発が起こり、見ていたシャガ達が尻餅をつくと森に人が1人ぐらい通れる位の細い道が出来上がった。
「な・・・何だこれは・・・なぜ」
スートーグさんが、驚愕の声を上げる。
他の皆は驚きの表情で固まっている。
「これでも一応最強の矢は使わなかったんですよ。 矢を放っちゃうと粉々に砕けて消えちゃうんで」
皆を立たせて、また探索をする・・・緊張が解けたのかシャガ達やミルッフルさんの動きが目に見えて良くなった。
スートーグさんの案内で一部屋目を最短距離を駆け足で進み、お昼過ぎには二部屋目へと進んだ。
2階層に入った所で簡単な昼食をとる・・・ホットドッグとハッシュドポテトと果実水を皆に配る。
「まさか、あんな威力の弓があるなんてな・・・俺の弓はお遊びに感じてるんだろう」
スートーグさんが凹みながら言う。
「そんな事は無いですよ。 実際俺の弓は余り使い勝手が良くないんです。 矢が消えてしまうし、弓を絞るのにも数秒かかってしまいますので」
「俺のは速射出来るが、あんな出鱈目な攻撃力なんて無いぞ?」
「いつも言ってるじゃ無いですか、攻撃は当たらなければ意味が無いって・・・手数ってのはそれを補える手段ですよ」
「あぁ、分かっているさ。 俺には俺の戦い方があると分かっている・・・愚痴っただけだ」
二部屋目もシャガ達とミルッフルさんが先導して攻略する事に・・・一番最初に出てきたのはグルングロッコ。
危なそうなので、一気に近づき首を切り落とす。
「おい、カナタ。 このダンジョンにグルングロッコは出ないはずだ・・・いつもと何かが違うみたいだな。 こっから先は気を引き締めてった方が良さそうだ」
スートーグさんが、険しい顔をして言う。
「解りました。 ミズキさんはシャガ達の護衛をしながら援護を、コノミちゃんは殿をお願い。 スートーグさんはミルッフルさんと共に周りの確認をお願いします。 俺が先頭で全て殲滅します」
全員に指示を出してワイバーンのマチェットナイフを抜いてすぐに使えるようにする。
黒刀を抜かなければならないほどでは無いはずだ。
グルングロッコの上位種やオークの上位種等が多数出たり、トレントの数がかなり多かったり、罠の数が多かったが問題なく全て破壊し進んでいく・・・
俺が罠まで全部壊したので、後ろはかなり楽だろう。
三部屋目への扉の目の前で今日の探索は終わりになった・・・今までの二部屋目だと一部屋目よりも魔物の数が増えるのとトレントが出て来るくらいと聞いていたし、本当に異常なんだろう。