表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
276/406

第234話 夜の出来事

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 ミズキさんを俺が座っているアルミのベンチの隣に呼び話し始める。


「ミズキさんは、こんな夜中に何かあったの? 俺はなんか目が冴えちゃって、夕涼み? いや、夜涼みかな? の真っ最中だけど」


「私は、カナタさんに聞きたい事があって来ました」


「聞きたい事? 何かあった?」


「あの・・・なんで私達に、ウヌリアンの里の人を殺すことを言ってくれなかったんですか?」


「え? そんな噂があるの? どこで聞いたの?」


「誤魔化さないで下さい。 ジリコテさんの工房へゴーレムを移動させて帰る時に警備兵のエルフ達が言ってました」


 ちっ上手く誤魔化そうと思ったのに、駄目だったか・・・


「そっか。 えっとね、ここに来て魔物を・・・生き物を殺す事に慣れてきていると思うけど、人を殺すのは別だと思うんだよね」


「はい、前にもそう言っていたのを聞きました。 それなら、何で?」


「シャガ達に目に見える目標が欲しかったから・・・いや、違うな。 ウヌリアンの里の奴らが生きている事が許せなかったからだな」


「それは私も一緒です。 あの映像を見たら誰でもそう思うと思います」


「そっか。 でも、やっぱり人が死ぬところを見てほしく無いかな」


「解りました・・・タダシさん達だけじゃなくて、私達にも相談して欲しかったです」


 ん? 何でタダシさん? どういう事だ?

 俺が不思議そうな顔をしたので、ミズキさんが話しを続ける。


「前に通信機を使って、タダシさんとかヨシさんとかリョウさんとかに、連絡をしていましたよね?」


「あぁ、ラスーリを出て他の国によってきますと言う連絡が来たから、返事しただけだ・・・けど」


 俺の言葉にミズキさんが怒りの表情になる。


「まさか、誰にも相談しないでエルフを処刑したんですか!?」


「いや、パルメントさんとモリスさんに相談したんだけど」


「モリスって人が誰か解りませんが、私達の誰にも相談して無いんですか!?」


「モリスさんはパルメントさんのお父さんの、ダンブ〇ドア校長みたいな人だよ」


「質問に答えてませんよ!? で、誰かに相談したんですか?」


「してません。 すみません」


「はぁ? 何でして無いんですか? 私が暴走したように、エルフを処刑した時に暴走するかもしれないと思わなかったんですか? カナタさんは確かに天才ですよ。 私には思いつかない事を軽くやってのけるんですから! それなのに何で報告も連絡も相談もできないんですか? 何の為に通信機を持ってるんですか? どんな事があってもお互い支えあって何としても家に帰ろう、といったあの言葉はなんだったんですか? 形だけですか? 約束は意地でも守るんじゃなかったんですか?」


 ミズキさんは立ち上がり俺の襟を両手で掴み揺すり、涙を溜めながら言う。


「本当にごめん。 ちゃんと考えてなかったよ。 でも・・・でもさ・・・おぶるぅぅあ」


 俺が気まずそうな顔をして言い訳をしようとすると、お腹に結構な衝撃が走り吹き飛ばされる。

 ミズキさんがこぶしを握り絞めて立っていた・・・拳に風を纏っている様だ。

 ミズキさんは拳を下ろすと腰に手を当て仁王立ちして、俺を指差し宣言をする。


「次に相談しないで変なことをしたら、殺します! 皆で協力して塵も残さずに殺します! 解りましたね?」


「イ・・・イエス、マム」

 俺は、倒れたままの姿勢で言う。


「ちゃんと立って! 日本語でちゃんと返事をしなさい! 良いですね?」


「はい、了解いたしました」

 俺は気を付けをして、敬礼して言う。


「はい、よろしい。 では、寝ます。 カナタさんも早く寝て下さい」


 思ったよりもミズキさんの迫力があって圧倒されてしまった。


「はぁ・・・注意じゃなくて怒られるのなんて何年振りだ?」


 俺は独り言を呟き、椅子を直しテーブルを出して上に日本酒を置く。

 ミズキさんに感謝だな・・・スッキリした気がするよ、怒ってくれてありがとう。

 でも、戻しちゃったからお腹減ったんだよなぁ・・・でも、夜中だしどうしよう・・・

 色々考えたが肴は、薄切りしたきゅうりに塩とごま油を混ぜただけの簡単料理と串焼きの塩、ギョーザの皮に具材を乗せ焼いただけの簡単ピザにした。

 俺が1人の時に簡単に食べれるように作っていた物だが、軽食程度にはなるだろう。


「星が綺麗だ」


 1人で星を見ながら、ゆっくりと晩酌し寝た。


 いつもと同じ時間に起き、身支度を整えてダイニングへ。

 そこにはミズキさんが既に起きていた。

 朝食の仕込をしている使用人とスミンに軽く挨拶をすると、ミズキさんに近づき挨拶をする。


「おはよう、ミズキさん。 昨日はありがとう、おかげでスッキリしたよ」


「おはようございます、カナタさん。 昨日は生意気を言って、本当にすみませんでした」

 ミズキさんは立ち上がり、頭を下げる。


 ミズキさん、俺が来てからこっちを1度もみないと思ったらそんな事を考えてたのか。

 たぶん恥ずかしいだけだろうけど、面白いな。

 俺は「プフ」と吹き出すと、ムスッとしたような顔でこちらを見る。


「あ、ごめんごめん。 この歳になって怒られるなんて思わなかったから、正直に言うと嬉しかったよ」


「怒られて嬉しいなんて、ドMですか?」

 ムスッとした表情のままそっぽを向いて言う。


「あははは、そうかもね。 でも、俺の事をちゃんと考えてくれてるって気がして嬉しかったんだよ。 本当にありがとう」


「いえいえ、どういたしまして」


 完全に機嫌が直っていないが、まぁいいだろう。

 俺は通信機を取り出し、ミズキさんにメッセージを送る。

 いきなり通信機が鳴り少し驚くミズキさん・・・そして、メッセージを確認する。


 "シャガ達に内緒なんだけど、ウヌリアンの里の大半の奴らはまだ生かしてあります。 奴隷紋解除の実験をしようと思ってるんだけど、いいかな? "


 驚いた顔をして、俺の方を見ると大きく頷く。

 OKって事なのかな? ミズキさんは、通信機をいじり始める。


 "それは良いですけど、奴隷解除の方法は見つかったんですか? "


 "全然手がかり無し、パルメントさんもモリスさんも全然知らないみたい。 だから、1から作ろうと思ってるんだよね。 奴隷の首輪とか腕輪の解除の方法を参考に色々やってみようと思ってるんだ。"


 "お手伝いしますよ。 魔法を作れる私がいた方が捗ると思いますし"


 "手を汚すのは俺だけで良いよ。 何種類か解除の魔法を教えてもらってるから、解除した結果がどうなるのかを纏めて一緒に考察して欲しいな "


「失礼いたします、カナタ様。 そろそろ広場に行かないと遅れてしまう時間となります」

 スミンが、申し訳なさそうに言う。


「あ、もうそんな時間? じゃあ、皆で行こうか。 ミズキさんも行かない?」


「解りました。 一緒に行きます」


 今日の訓練は異常なほど皆が気合を入れて臨んでいた。

 いつも通り組み手をして、俺とミズキさんの魔法合戦を見せる事に・・・いや、完全に無理だった。

 魔力量も爆発的に増えているミズキさん相手に、魔流眼で何とか食らい付けただけでも凄いと思う。

 1種類の魔法の数も違うし、いっぺんに出せる属性の数も違くなってるし・・・ヘキサ(6)マジックらしいが、2種類多いだけでここまで違うもんなのか・・・

 魔力量は、魔力の海ってギフトのおかげのようだ・・・湖の次が海って、これより成長しないのかな?

 今の所、ギフトの成長も真理で止まっているし。


 その後、奴隷達の所に行き奴隷紋を解除する実験をした。

 奴隷の首輪の魔法陣は4つ同じく解除の魔法も4つ、奴隷の首輪や腕輪に決まった解除の魔法をかけると外れる。

 解除魔法が間違っても、首輪や腕輪を着けている奴隷には何の体調変化もない。

 ただ、持ち主の許可が無ければ死ぬほどの痛みを伴い、廃人になる可能性が高い。

 奴隷紋は別の魔法陣だが奴隷の首輪や腕輪とかなり似ている魔法陣なので、解除魔法を作れない事は無いはず。

 解除魔法は、奴隷紋を持つ者以外の人に使っても何の効果も無いので遠慮なく使ってみる。


 1人目は痛みでのた打ち回り、喉を掻き毟って死んでしまった。

 2人目は1人目と同じ解除の魔法だが、魔流眼で流れる魔力の位置をずらしてみる。

 いきなり走り出し、頭を地面に撃ちつけ頭をかち割り失敗。

 3人目は違う魔法で解除してみるが、かけた途端に白目をむき、血の涙を流しながら意識が戻らなかった。

 4人目は2つ目の魔法の魔力の流れる位置をずらすと口や目から血を吹き出して失敗。


 手がかりすら掴めないな・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ