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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
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第233話 夢?

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 元執事のラビオリが晩御飯だった。

 味はまぁまぁだったが、シャガ達は思い出深い料理だからか嬉しそうに食べていた。

 皆で談笑し、今日はなんだかんだで疲れたので早く寝る事にした。


◆◇


 気がつくと見知らぬ場所に立っていた・・・ここは砂漠か?

 地平線まで砂で埋め尽くされ、生き物の姿等見えない。

 手も足も動かない・・・いや、勝手に画面が動いている。

 これはTVなのか? 首すらも動かないので何がどうなっているのか解らない・・・


 すると、進行方向の空に黒い点が現れる・・・あれは、飛行機か? いや、戦闘機だ!

 真上を通り過ぎる戦闘機からミサイルや機銃が発射されるが、何らかの魔法と思われる物で防がれる。

 後ろを振り向くと、鷹のような大きな鳥が急に現れる・・・鳥に何か指示を出し、飛ばす。

 すると鳥が飛び立つとどんどん大きくなる・・・獰猛そうな鳥の見た目になり戦闘機の飛び去った方へ進んでいく。

 その後閃光とほぼ同時に大きな振動が体を襲う・・・うお、ビックリした。 4Dアトラクションとかこんな感じなのかな?

 しかし、振動を感じるってことは触覚はあるのか? でも、振動を感じるのに音が聞こえないってのはどうなってるんだ?


 俺が入っている体が、戦闘機が飛んできた方向へ移動を始める。

 次に現れたのは、羽を持つ天使達と戦車や歩兵だった・・・魔法や弾丸が降ってくるが、またも何らかの魔法で防がれる。

 右手を左から右に振るうと、目を覆うほどの閃光が走り・・・思わず目を瞑る。

 光が収まると見る場所一面が溶岩のようになっていた・・・うお! 凄いな・・・これは、魔法か? 魔法なのか?

 その溶岩の上を何事も無かった様に進んでいく、しばらく進むと巨大な壁が行く道を塞いでいた。


 両手を何も無い空間に突き刺すと、左右に開いていく。

 空間がひび割れていき、黒い空間が両手の甲の間に広がっていく・・・エヴァのATフィー〇ドを、こじ開ける形に近いな。 というか空間を割るなんてアニメその物じゃ無いか・・・

 両手を思いっきり開ききると、空間のひび割れが逆回転のように元に戻り、代わりに巨大な壁が黒い粒子となって消える。

 人や生物が地面に落ちていく・・・これは物質だけを壊したって事なのか? 本当にどんな魔法だよ。


 地面に叩き付けられ息絶えている死体を見向きもせずに進むと、住宅地のような場所に出た。

 人々は驚き慌てて逃げ出している・・・もしかして、これは魔王の記憶なのか? 何で? 血縁者でしたって漫画的な落ちとか?

 逃げ遅れた母親と子を見つけ、近づき抜き手を放とうとする・・・おい! 止めろ! 止めろって!

 何度叫んでも力を入れても体は動かない。

 母親は子供を庇い子供を抱き寄せる・・・ぶっ殺すぞゴルァ! 止めろって言ってんだろ!


 必死で止めようとしていた時、画面が空中を舞う・・・舞っている途中に知っている顔がそこにはあった。 なんで? なんでそこにいるんだ? ショウマ君!

 母親と子をショウマ君が逃がすと、いきなり始まった戦闘・・・ショウマ君と互角? いや、ショウマ君が押されてる。

 ショウマ君が覚悟を決めた顔をして、一瞬でこちらに駆けてくる・・・うお! なんて速さだよ。

 攻撃しようとした瞬間、拳が止まった・・・あれ? 視界の端にいるのはフラン様? 白い髪に犬耳、俺が作った鎧、見間違える訳がない。

 でも、なんで魔王に背中を向けてるんだ? 魔王の仲間になったのか? いや、鳥をけし掛けた時後ろを振り返っても何もいなかった気がする・・・


 疑問が頭に浮かんでいると、ショウマ君が咳き込み血を吐き出した・・・右手の抜き手がフラン様を突き破りショウマ君の心臓まで貫いている・・・手に本当に嫌な感触が残る。

 何の感情も感じさせずに、右手を振るって2人を地面にたたきつけると再び歩き出す。

 え? 手に・・・待って、ショウマ君? おい! 待てって! どんなってるんだ? 引き返せよ!


 次に現れたのかケイタ君・・・何かを俺が入った体に語りかける。

 ん? カナタって言わなかったか? え? これ俺なの? 精神と肉体が分離してるの?

 混乱していると、ケイタ君の足を切り飛ばし首を手刀で切り落とした。

 なんだよ・・・何なんだよ! 俺の体だろ? なんで動かせ無いんだよ! 動けよ! 動けって!


 空から俺の前に魔法使いが降って来た・・・ミズキさんだ。

 ミズキさん! 駄目だ逃げろ! 逃げろって! 逃げてくれ・・・何も出来ない俺は涙と鼻水を垂らしながら願う。

 何故かミズキさんは、遠距離ではなく近距離で魔法を使って戦っている。

 願いも空しく、ミズキさんの胴体に、右腕が突き刺さる。

 ミズキさんは笑顔になり「カナタさん、一緒に」と唇が動くと、お腹に突き刺さる腕を握り絞めて自身を燃やし始めた。

 腕を振るうが、ミズキさんが離れず閃光が走る・・・俺の入っている体は右半身を炭化させるが、すぐに腕や炭化した部分が再生し何事も無かったように歩き出す。


 ソメイヨシノのメンバーが、それぞれバラバラに戦闘を仕掛けてくるが、全てを返り討ちにする。

 なんで皆一緒に戦わないんだ・・・連携して戦えば俺を殺せるだろ。


 その後は、生徒達が俺を見つけ何もせずに祈っている所を業火で焼き尽くし、見知らぬ人を消滅させていく。

 慈悲も無く、老若男女等関係ないただの殺戮・・・俺は見ているだけしか出来なかった。

 この星には生き物はおろか植物すらも無くなると、地面に拳大の黒い球を打ち出す・・・すると、違う星へ行く。

 違う星でも同じように、休むことなく殺戮を繰り返す。

 悲しみすら感じなくなり・・・俺は気を失ってしまった。


 気がつくと、夜空に光る物が1つも無く真の闇と呼べるようになっている。

 自身のいる星にも黒い球を打ち出すと満足したのか、自分自身も塵に変え完全なる安寧へと進む。

 俺は体から抜け出すことが出来、塵に返る俺の入っていた体を見る。

 やはり、そこには俺の顔が・・・散っていく俺を見ていると目を見開き、口を動かす。


 選択を間違えるな・・・と。


◆◇


 俺はガバッと起き上がる・・・怖い夢を見た。 いや、夢だったのか? 手応えが・・・皆を突き刺した

感触が残っている。

 両手を見ていると、吐き気を催し吐き出した・・・ギリギリ水の玉を浮かべてその中に入れる事に成功する。

 あっぶないセーフ・・・あれは夢だよな? でも、妙にリアリティがあった。

 この手で皆を殺して・・・死んでいった仲間達を思い出し吐き気を催すが何とかこらえる。

 ベッドから降りて、マジックバッグから桶を出し戻した物を入れる。


 これで1つ解った事がある、あんまり知らない人を殺しても余り心は動かないが知ってる人だと無理だということ。

 薄情なのか薄情じゃ無いのか良く解らないな・・・でも、人間らしいと言えるんじゃ無いかな?

 興奮して眠れなさそうなので戻した物をトイレに流し、皆に気が付かれないように外に出る。


 外でうがい等をして、今日殺したエルフの事を考える。

 なんかかなり前のような感覚があるけど、今日の事なんだよなぁ。

 そう言えば、ワイバーンの黒刀のおかげで手応えが無かったんだっけ・・・感謝だな。

 何で夢の俺は素手で戦ってたんだ? 武器使った方が効率が良いだろうに・・・


 ブツブツと独り言を呟いていると、ガチャっと玄関の扉の音がした。

 玄関の方を見ると、ミズキさんが外に出てきた・・・あれ? 俺、索敵つけたまま何だけど・・・


「カナタさん、こんばんは。 眠れないんですか?」


「ミズキさん、いらっしゃい。 眠れないわけじゃ無いんだ。 でも、ここに来るまで気が付かなかったよ」


「隠伏の魔法を作ったんですよ。 カナタさんに気が付かれないなら成功ですね。


「へぇ~便利っぽいね。 後で教えてもらって良い?」


「はい、教えるのは別に良いですよ」


「ありがとう」


 頭の中がグチャグチャで、会話が長く続かない・・・いつもなら頭の中で適当な話題が見つかるはずなのに・・・

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