第229話 考え
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
武器を作り本格的な訓練を開始し、疲れたら無理やり勉学に励ませ1週間経った。
ミルッフルさんも訓練に参加し始めたし、ミズキさんとコノミちゃんのゴーレムも完成間近となっている。
というか、2人はゴーレムまだ出来て無いのか? 簡単な物で良いと言ってたのに・・・
俺とミズキさんもエレメントマジックの習得は出来た・・・だが、俺達はエレメントマジックとの相性が悪いのか余り良い結果とは言えない。
エレメントマジックを使って攻撃するよりも、そのまま魔法を放った方が強いしタイムラグも無い。
良くこれで戦えるな・・・いや、慣れれば罠の1つとして使えるかもしれないというのが使用した感想だった。
エレメントマジックの見た目は、ダイヤ型のクリスタルを使役するのでかっこいいとは思うのだが・・・
コノミちゃんは、俺達よりも上手く扱えるようだ・・・エレメントマジック専用の武器を考えてみるのも良いかも知れ無い。
シャガ・スミン・フォルビア・カポックの4人を呼び、仮面を渡す。
死んだと思っていた奴隷が残ってて、皆に復讐に来たよ・・・という事をやりたいと言ったら喜んでマスクを被ってくれた。
牢に到着すると、俺を9と10の里の間で襲ってきた10の里の族長エルフの友人(名前知らない+特に興味ない)が立っていた。
警備兵の数が足りず、他の里へ俺が訓練した警備兵を教官として派遣し1~9の里の警備兵を鍛えている。
だが、警備兵の数がすぐに増える訳では無いので、俺を襲ってきた警備兵達を1度外に出して訓練した警備兵をリーダーに2名の配下としてつけている。
もちろん、ちゃんと奴隷となっているので逃亡や反撃の心配は無い。
「おお、ここの警備に当たっているんですか」
俺が声をかけると、胸に手を当てて「はっ」と返された。
どうも焦っていると言うか怖がっているように見える。
おお、きちんと改善している・・・だけど、恐怖しか感情が感じられないんだが大丈夫か?
そんな風に思った時に、中から皆と一緒に訓練している警備兵のリーダーエルフが出てきた。
俺に気が付くと、キビキビした動きで小走りでかけてきて胸に手を当てて話し始める。
「カナタ様! 本日頂きました食事は今日移動させる全員に与えました。 何かご用があれば早急に対応しますので仰って下さい」
リーダーエルフが、嬉しそうに言う。
いや、男にそんな嬉しそうにされても気持ち悪いだけだから・・・そして、そんなに畏まるのはスートーグさんだけで良いって言ったじゃないか。
「ありがとうござます。 これで心置きなく実行できます」
「はっ。 では、すぐに実行するおつもりですか?」
「はい、これから行おうと思います」
「はっ、畏まりました。 人を呼び周りを固めさせていただきます」
それだけ言うとリーダーエルフが走ってどこかへ向かっていった。
今日にでもウヌリアン族の誰かを処刑すると言ってあったので、待機している警備兵がいるのかも知れない。
思ったとおり警備兵がすぐ大勢出てきた・・・おい、なんでこんなにいるんだ? 警備はどうした。
「カナタ様。 すぐに準備いたしますので、仰っていた広場へ向かって下さい」
「ああ、うん、ありがとう。 急がなくて良いからお願いします」
「はっ、お心遣い感謝いたします。 さぁ、全員準備にとりかかれ! カナタ様をお待たせするな!」
なんかどんどん俺の評価が上がって無い? 皆組み手までたどり着き俺と対戦して悪いところと良いところを指摘してるからかもしれないけど・・・
言われた通り先にミズキさんの魔法で開けた空き地にたどり着く・・・と言っても何もすること無いから暇なんだよねぇ。
椅子とテーブルとパラソルを出すと4人を座らせ、俺も座る・・・何となく果実水を氷で冷やして出してあげ、ポーとしていたが良い事(非人道的な事)を思いついた。
まだ来るまでに時間があるだろうし、早速準備でもしよう。
俺が作るのは円形闘技場だ・・・簡易的な物なのでそこまで大きくは無い直径40m弱位だ。
一応4対4を想定しているので、少しだけ大きめにしてある・・・今のシャガ達ならタイマンでも遅れを取る事は無いだろう。
ローマのコロシアムってどのくらいの大きさなんだろう? もう少し大きいくらいかな? 全く見たこと無いけど。
闘技場への入り口は1つにして、壁の高さは4m位その上に手すりを作り立ち見専用にする。
見るのは警備兵とウヌリアンの里の奴らだけだし良いだろう。
ほぼ作り終わる頃に全員で隊列を組んでウヌリアンの里にいた1/4のエルフが歩いて来た。
余談だが更生の余地があるエルフは奴隷の首輪にし、殺しても良いエルフは奴隷紋にしている。
奴隷紋の素材も安い訳では無いが、奴隷の首輪の不具合でもあったらと思うとやってられないのでそうした。
警備兵のエルフ達も、俺がいきなり走り回ってコロシアムを作ってるのを見て顔が引きつっている。
「丁度全員来たね。 じゃあ、中に全員入って下さい」
「はっ。 全員整列しろ! サッサと動け!」
俺は観客席の手摺りの上に立ち話し始める。
「皆さん、ごきげんよう。 今日は皆さんに朗報を持って来ました。 なんと! 皆さんの中の6人と、私1人で戦い勝った場合は全員を奴隷から解放すると言う物です!」
ザワザワしているが、余り盛り上がっていない・・・あれ? 結構盛り上がると思ったんだけどな。
ウヌリアンの族長が手を上げる・・・指差し、発言を促す。
「魔法を禁止されているままだと我等に勝ち目はありません。 なので、断る事は出来ませんでしょうか?」
「ああ、そうだった。 もちろん戦闘する6人は魔法の使用を許可しますよ。 しかも! 里にあった武器もお返しします。 存分に準備をして俺に挑んで下さい」
そう言うと、ウヌリアン族の家にあった武器や防具、戦闘用の魔道具を地面に並べて行く。
ザワザワが大きくなるが、さっきよりも大きいだけでそこまで盛り上がらない。
エルフ達を見ると、またまた族長が手を上げる。
「しかし、戦闘中に魔法を禁止にされる事も考えられますので」
「じゃあ、魔法契約書でも書きましょうか? グランネッツのレア種の皮が手に入ってますし」
こんな事になりそうな気がして皮紙に何個か加工しておいて良かった。
このコロシアム中でカナタとの戦闘に参加するエルフのパーティとの契約書。
エルフの魔法を解禁する。
戦闘中に魔法を奴隷紋にて禁止にする事を禁止する。
簡単に2つだけ書き、前側に俺の名前と血判を押して裏側にエルフ達全員の名前と血判を押す。
これで安心して戦闘が出来るだろう。
エルフ達に6人の選出を任せ、俺も装備を確認する。
ワイバーンのインナーに、聖騎士風の鎧、俺専用の馬鹿でかいワイバーンの黒刀。
黒刀の付加魔法が始めて使われるのが、人殺しの場所か・・・何とも言え無いな。
族長や補佐をしていた者達6人で決まったようだ・・・全然興味がなかったので、補佐してたのが誰か全く解らない。
1人ずつ自己紹介が入るが覚える気も無いので、適当に流しておく。
終わったのを見届け武器や防具を選んでもらってる最中に近くの警備兵のエルフを呼び、俺が考えついた事を言い実行してもらう。
非人道的なことを実行するつもりなのだが、笑顔で返事をして皆に伝えに行ってくれた。
警備兵は全員映像の魔道具を見ているし、そのせいで笑顔なのかもしれない。
エルフの準備が出来たようなので、観客は全員上に移動してもらう。
観客達には、大声を出しても何を言っても良いと言ってあるので何を言われるか少し楽しみだ。
「カナタ殿。 入り口に我々の家族がいるのですが、あれはどういったことでしょうか?」
「あなた達を逃げられるようにしただけだよ。 逃げたければ、家族を殺して逃げれば良い」
「下衆ですな。 しかし、あなたが逃げるときにも殺されてしまうのは厄介ですね」
「契約書でも追記するか? それでも別に構わないぞ?」
「では、お願いします」
契約書に、カナタだけは、入り口のエルフに故意に攻撃しない、人質にしない、盾にしない等を追記する。
もう一度血判だけ押し、全員に回して準備が出来上がる。
「さぁ、殺しあいを始めよう」