表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
268/406

第226話 回復

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 中に入ると椅子を出し、部屋の真ん中に置くとそこにシャガを座らせる。


「ミズキさん、コノミちゃん、シャガの左右に別れて肩に手を置いて、合図したら回復魔法をかけて貰って良い?」


「え? でも、回復魔法じゃ欠損部位は治らないんじゃ無いですか?」

 コノミちゃんが、首を傾げて言う。


「回復魔法は、無意識下にある体の状態を参照して戻す作用がある。 しかし、それは魔法施行者当人だった場合なんだ。

 他人が回復する場合は、回復魔法をかけている側の意識も介入してしまう。 だから回復しないんじゃ無いのかな?

 例えばいきなり腕が無い人を回復してくれと言われても、他人は腕がどのようになっていたのか解らないしイメージも出来ない。 だから、回復させることが出来なかったんじゃないかと思うんだよ」


「しかし、それは物質創造では無いんですか? そんな事本当に可能なんですか?」

 ミズキさんがもっともな質問を返す。


「さぁ? どうなんだろう? 出来る気がするけど、今の仮説があっているのかは解らない」


「解りました。 やるだけやってみましょう。 しかし、どうやってイメージするんですか? 無い物をどうやって・・・」


「シャガにイメージしてもらう。 幸い手足がなくなったのは1年未満だったようだし、イメージ出来るはずだよ。 シャガ、自分の手足があった頃を思い出せるね?」


「はい、頑張ります!」

 シャガは、大きく頷く。


「俺は、イメージのサポートをするからリラックスして座ってて」


 俺はシャガの後ろに回り額をシャガの後頭部に当てる。


「ミズキさん、コノミちゃん、回復魔法をゆっくりかけ始めて・・・シャガ、目を瞑って俺が言ったことをイメージして・・・」


 シャガの意識に接続するんだ・・・そう、俺は出来るさ。

 何度も教わってきたのだから・・・


◆◇


 草原の中を自分の足で走り回り、転んでも自分の手で立ち上がる。

 指で、木の枝を拾い剣のように振り回す・・・そうだ、手も足も自分の自由に扱える、どんなことでも自分で出来るんだ。

 そう自分自身の全てを使い強くなる・・・誰にも縛られないように負けないように、手も足も体も頭も全てを使い色々なことをするんだ。

 そうだ・・・手も足も体も全てはお前の物だ! お前なら出来る!


◆◇


「カナタさん! カナタさん! 成功です! やりましたよ!」


 俺は、目を開けて手足が復活したシャガを見てニヤリと笑うと天を仰いだ。


「あっはっはっは! 神よ見たか! お前の理不尽を越えてやったぞ! 俺はお前を・・・」

 俺がよく分からない事を叫んでいると、後ろから抱きしめられた。


「カナタさん! もう大丈夫です・・・大丈夫ですから」

 ミズキさんが、そう言う。


「はぁ・・・ごめん。 色々とストレスが溜まってて変な事叫んじゃったみたい。 でも、成功して良かった」

 俺は額に手を置き、ため息を吐いて言う・・・何してんだ俺は・・・


 それにしても、なんだった? 教わったと考えなかったか? どういう事だ?

 あぁ・・・もう、ムカムカするな!

 そんな考えをしている俺をさて置き、シャガは手足を見て動かして「手が・・・足が・・・」と言っている。

 まぁ良い、成功したんだへんな事を考えるのはよそう。

 変な部分も見当たらないし、これなら皆を回復させてあげられる。

 回復具合を確認しているとき、シャガのお腹が盛大な音を出す。


「あっはっはっは。 そっか、そんな副作用があるのか。 すぐに戻ってご飯を食べよう」


 カツサンドや焼き鳥、ハンバーガー、ロースとビーフ、豚肉の野菜巻き、肉マン等々、たんぱく質を多めに取らせた。

 中級ポーションも飲ませて腹痛に備えるが、どこに入るのか解らないくらい食べまくり、ほとんど完食してしまった。

 食事後少し休み、シャガに歩いてもらう・・・しかし、久しぶりだったからなのか、立った瞬間に気絶してしまった。


「後1人くらいなら回復出来るかな? 魔力が思った以上に消費しちゃってるけど」


「ん~・・・私半分切ってるっぽいですけど、大丈夫ですかね?」


「コノミちゃんの分も私が頑張るから任せて下さい」


 午後となり、今度はエルフの女の子を連れて行き回復魔法をかける・・・3人が均等なバランスで魔法をかけないと回復する事は難しいという事が解った。

 しかし、俺とミズキさんが魔力の大半を使用することで何とか回復に成功した。

 1日に3人の魔力を使って2人・・・これは少ないと言うべきか、多いと言うべきか・・・

 顔や体の傷も綺麗に消えているし、笑顔で手足を動かす訓練をしているから良いことだと思うことにするかな。


 他の2人は羨ましそうにしているが、明日の朝一と午後一には回復させてあげることを約束し、ミズキさんとコノミちゃんはゴーレム作りを終わらせる為に工房に潜った。

 俺は、グランネッツレア種の解体の続きをするために森に入る・・・スートーグさん達が護衛に来てくれた。

 一応拒否をしたが、無理にでも付いて来てくれるのを見て何となく嬉しくなった。

 解体を終え同じ重さに切り分けるとマジックボックスに入れて、各家庭を回り配りまわった。

 半分は、俺達ソメイヨシノの物となる・・・軽く焼いて食べたが、あっさりしていて鶏肉のようだった。

 栄養がどのくらいあるか解らないが、美味しいし食卓に並べよう。


 晩御飯はグランネッツレア種の肉とキノコの当座煮(佃煮みたいな物)と野菜の天ぷらを作った。

 タダシさんが作った素麺を茹で、小魚の煮干で出汁をとった漬け汁を用意しミルッフルさんにパルメントさんを呼んで貰う。

 大人数になってしまったが、楽しい食事となった。

 その時に、牢の中の奴らに会わないのか聞かれ、返答に困ったが正直に「牢の中にいるエルフ達の事を考えるだけで、怒りが湧き出してしまうため今日は会わない」と伝えた。

 たぶん今目の前に出てきたら、深く考えずに殺してしまうかも知れない。


 次の日の朝、鍛錬に行こうとするとシャガとスミン(エルフの女の子)の2人もついて行きたいと言うので連れてった。

 ミズキさんも病み上がりという事でついて来た・・・そんなに心配しなくても良いのに・・・

 いつも通りのメニューをしようとしたが、ミズキさんが「軽くにしてください」と言うので、筋肉痛ありの強化魔法をかけランニングや筋トレを多めにして鍛錬を終了した。

 奴隷だった2人は、ランニングで早々ダウンしていた・・・寝たきりだったりしたのだから仕方が無いだろう。

 というよりも1日もしないで、手足をここまで使えるようになったことに驚いた。


 朝食を食べ少しゆったりすると、回復魔法で奴隷のフォルビアを回復し料理を与えたあとに、工房でゴーレムを作成する。

 作成と言ってもほぼ完成しており、高光度ライトの取り付けや投擲武器をしまう場所を作ったり、ノーパンクタイヤの試作をしている程度だ。

 ゴーレムの知識入りなので勝手に動くことが出来る・・・だが、大雑把な指示しか出来ない。

 もっと人の言いたい事を理解し、動いてくれるようにしたい。

 通信端末のようにAI化するのが良いと思うが、AI化について説明をケイタ君に送ってもらったがチンプンカンプンだった。

 通信端末と接続してゴーレムの処理をさせれば、ケイタ君が作りたいと言っていたアンドロイドのようになりそうな気がするのだが・・・


 そんな事を考えているとお昼になり、お昼ご飯を食べて最後の奴隷回復となるカポックを回復した。

 4人全員回復を終え全員で喜びあっていた。


 良い事・・・いや、倫理上は駄目な事だが・・・を思いついた。

 4人を別室に呼び出して、椅子に座らせると真剣な顔で聞く。


「皆に聞きたいんだけど、復讐したいか?」


 4人は驚いたような顔をしたが、顔を見合わせ頷きシャガが言う。


「復讐したいです」

 シャガの言葉に3人が頷く。


 今までの経緯を聞いたが、本当に酷い物だった・・・そして最後は、目の前で兄弟姉妹を笑いながら殺されたと・・・

 出来るなら同じ苦しみを、奴らにあじあわせてやりたい・・・と語っていた。


 俺は、酷いことをさせようとしている・・・俺も覚悟を決めないと・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ