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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
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第221話 暴走

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

「急いで! 早く来て下さい! もうもち・・・」

 コノミちゃんは、言いかけて通信機が切れる。


「もしもし? もしも~し?」


 こちらから通信を試みるが通じない・・・何だろう? 嫌な予感がする。


「ねぇ、的当てしてたというのを聞いたんだけどさ。 それを聞いた仲間が怒ったらしいんだけど、何か知ってる?」


 隣にいるエディアンに聞くが何も言わなかった。

 仕方ない、急いでいこう・・・そう思いギフトの身体強化をし、少しだけ走り転びそうになる。

 ギフトが解除されたのか? これはフィールド(魔素強制服従)を使ったと考えるのが良いだろうな。

 ヤバイな・・・ミズキさんの本気のフィールドなら魔素の支配を奪い返せないし、どんどん支配地域が広くなるだろう。


 爆発音がした1番広い部屋に行くと、コノミちゃんが土壁を作ってエルフ達を何とか助けているところだった。

 土壁は、かなり強固のようだがミズキさんの魔法で吹き飛びそうだ。

 姿勢を低くし、土壁に潜り込み土壁を強化する。


「カナタさん! ミズキちゃん・・・ミズキちゃんに話し掛けても何の返事も無いんです」

 コノミちゃんが半べそをかいて言う。


 ミズキさんの意識が無いと見るべきか、怒りで意識が飛んでいると見るべきか・・・何とかしないといけないんだけど。


「コノミちゃんの魔力が半分切ってるね。 時間が無いし、簡単に説明してもらって良い?」


「はい、解りました。 ここは、処刑場というのは間違いありません。 ただ、奴隷を中に放ち魔法を当てて楽しむ場所なんです。 処刑された中には借金奴隷や小さな子供もいたみたいです。 それで、魔法は人殺しの最上級の手段で、人を守るための物じゃないと彼らに言われたみたいで・・・」


「そういう事だったのか・・・この馬鹿共が、魔法を馬鹿にし蔑んで怒ってしまったという訳か・・・じゃあコノミちゃんは、こいつら見捨てて逃げてもらえる?」


「待ってくれ。 いえ、待って下さい。 本当はそこまで馬鹿にしようと思ったわけじゃなくて、売り言葉に買い言葉で」

 1人のエルフがそう言う。


「知るか馬鹿共! 自分の身は自分で守って逃げろ! この場所にいたら、魔力の枯渇で動けなくなるからさっさと行け!」

 そう言うと、エルフ達は土下座をしながら謝り始める。


「カナタさん、こんな人達ですが一応助けます。 ミズキちゃんは怒り狂ってるとはいえ、後で冷静になった時に人を殺してると気が付くと・・・心が病んでしまうかも知れないので」


「そう? コノミちゃんは優しいね。 おいクソエルフ共、コノミちゃんが助けてくれるそうだ。 感謝してコノミちゃんに従え!」


 エルフ達は土下座の格好のまま「はい、お願いします」等と言っている。

 その間にミズキさんが放つ、魔法の攻撃の威力が上がっていく・・・2人で土壁の維持をする。

 魔法が止んだタイミングに出ないと、流れ弾に当たる可能性もある。


「あれ? そう言えば、ミルッフルさんは?」


「トイレです」


「マジかよ! こんなタイミングに凄いな。 悪いけどコノミちゃん、エルフを外に出して貰ったら少し探してみてもらって良い?」


「解りました。 少し探してみます。 でも、鍵開けられませんよ? どうします?」


「扉を壊すか。 開けられれば、土魔法で扉固定して開けっぱなしにしちゃえば良いんじゃない?」


「了解です。 ミルちゃんを助けたら、戻ってきますね」


「いや、いい。 戻って来なくて大丈夫。 自分の命優先して逃げて、ミルッフルさんがここに戻ったらちゃんと外に逃がすから。 あ、でもミルッフルさんを捜すついでに、動ける奴隷だけでも逃がせたらお願いね」


「解りました。 魔法が弱くなったときに、皆一斉に出て的を絞らせないようにしましょう」


 コノミちゃんは皆に言い、外に出て行く・・・・それにあわせて、エルフ達も外に出た。

 俺は土壁の端を手で折り、欠片を魔法に向かって投げたりミズキさんに向かって投げ、牽制をしてミズキさんの背後に回りこむ。

 たぶん、こういう興奮状態は気絶すると解除されるはず・・・

 ミズキさんに背後から近寄り、首にトンと手刀を入れるが全く効いていないのか、こちらを向く。

 あれ? 漫画とかだと結構簡単に気絶したのに・・・やはりあれは嘘だったのか・・・

 (首トンは、上手くいけば脳内に衝撃を伝え気絶させられると言っていましたが、どうなんでしょうね?)

 ミズキさんは、俺から距離をとるように後ろに飛びファイヤーボールを放つ。

 地面に手を突っ込み無理やり土の塊を取り、ファイヤーボールに投げる。


 そして、ミズキさんは浮き上がり空中で停止する・・・そう、空中浮遊している。

 おい、まじかよ。 魔法を使っちゃうと身体強化がなくなっちゃうし・・・でも、魔法を使わないと良い的だし・・・

 仕方がないので土壁の端を折って投げ続ける・・・その間に俺のワイバーンインナーとカーボンナノチューブの縄を取り出し、壁から出て移動しながら縄を腕に撒きつけ、インナーを腰に撒きつける。


 空に居るミズキさんの周りを走りながら観察する・・・空中ではある程度しか動けないようだ。

 つまり、近くにいければ気絶させられるはず・・・だが、魔法を常に数個発動しているど真ん中を移動すれば大怪我だろう。

 さて、どうやって近づくか・・・そんな事を考えてると、人影が視界の端にうつる。


 そちらの方を見ると・・・ミズキさんを指差して、驚いている。

 今はまだ、ミズキさんは気が付いて居ない・・・すぐに移動させなければ。

 そう思った時、ミルッフルさんが後ろに引き踵をつっかえて盛大に転んだ。

 大きな音を立てて転んだのでミズキさんに気付かれてしまった・・・不味い! ミルッフルさんは、攻撃がくれば避けられない!


 ミズキさんが、掌をミルッフルさんに向ける・・・俺は、ワイバーンのインナーを腰から外してミルッフルさんに向かって走る。

 間に合え! 間に合え! そう思いながら必死に走る・・・その時、風の刃が数本ミルッフルさんに向かって飛ぶ。

 右手に持ったワイバーンのインナーを開くように振るい、ミルッフルさんと魔法の間に割り込ませ魔力を込める。


 魔法はワイバーンのインナーに直撃した物は当たり消え、少しずれていた物は風の力で大きく逸れたようだ。

 何とかなった・・・ワイバーンのインナーを盾にすれば、魔法群を突破出来る!

 そう思い右手を引き寄せインナーを盾にしようとする・・・しかし、インナーが持ち上がってこない。


「カナタさん! 腕! 腕!」

 血塗れのミルッフルさんに、そう言われ右腕を見る。


 前腕が真ん中くらいで切られ、血が吹き出していた。


「うわぁ!! 腕、腕・・・え? 何で・・・え? え?」

 俺は、パニックに陥ってしまった。


「危ない!! 後ろ!」

 ミルッフルさんにそう言われ振り向くと、ファイヤーボールがすぐそこまで迫って来ていた。


 一瞬で驚くほど冷静になり、前転をして腕とインナーを回収しインナーを振り回して魔法を弾く。


「パニクった、ごめん。 走れるなら逃げて」

 そう言いながら、切れた腕を浄化し凍らせてマジックバッグにしまい、前腕部分も浄化し氷を張りつける。


「でも、腕が・・・」


「足手まとい、守りながら戦えない。 サッサと行って」

 俺がそう言うと、苦い顔をして入り口に向かって走っていった。


 魔法の攻撃が単調なので、身体強化で避ける事は出来る。

 だが、このまま避け続けても俺の負けになるだろう・・・さて、どうする?

 どうやってミズキさんを気絶させる?

 相手に大怪我させずに、制圧するなんて俺に出来るのか? いや、やるしか無いんだ・・・


 俺の持ち味は何だ? 何が出来る? どうすれば良い? あぁ、腕が痛い!

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