第19話 マジンの注射の順番
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6/13 改稿あり、加筆あり
次の日の朝、思ってたより早起きしてしまった。
この屋敷は、日本で暮らしている様な錯覚を抱かせるほど快適だ。
まずは温度。常に快適な温度に保たれている・・・エアコンが異世界にもあるとは・・・
水道の出し止めはレバーの上下、トイレは和式に似ていて拭くのも葉っぱだけど、した物は分解? などして肥料として外の箱に溜まっていく・・・なるほど、全部魔力によって行われるのか、便利だな。
階段下に向かい、朝の魔力を注ぐ・・・最大の半分位注ぐ。
魔力ゲージを見てみるが注がれているか全くわからない程度の速度でたまっていく・・・ゲージが増えるまでのタイムラグがあり正確には分からないが、5mm位しか増えていないと思う。全部注いでも1cm位しか溜まらない・・・ゲージにメモリくらい打っといてくれよ! 分からんわ!
ゲージの大きさは1.5m位で、台座と一緒になっている。
さて、今日はどういう予定で動いた方がいいかな・・・
マジンを入れたら8時間位気絶してしまうと思う。
今のうちに注射すれば夕方ぐらいに起きれる可能性もあるが、どうなんだろう?
一種の賭けだが賭けに勝てるほど運も無いな。
では、防具・武器、生活用品の買い物と生活水準を確認するのがいいのかな?
お金を継続的に稼ぐことが出来る術を手に入れたい・・・料理、調味料、洋服・・・色々あるが。
取り敢えず試してみるのが無難だな。
そういえば、伊三雄さんの態度が柔らかい気がする。
前だったら、直ぐ絡んで来たりしたのに、助けに行ってから素直なような?・・・
まぁ、どうでもいっか。
色々考えていたら朝ごはんの時間になり、食事をすることになった。
『うむ、やはりうまいな、この肉は柔らかくそして臭みがない・・・どのように処理をしているのだ? しかも、このスープは白いが何のスープなんだ?』
『それは鳥のスープです。昨日の晩にグロスさんに聞いてみたところあるということだったので、使いました・・・お口に合えばいいのですが・・・』
グロスさんと忠さんが直接会話が出来ないから、聞いてみるのがものすごい面倒だった。
パンを焼くための天然酵母が無かったので、作りたいと佳さんが言ってきたりした。
昨日の夜は早く寝れると思ったのに・・・
『うむ、なかなかに深い味わいだな、鳥からどのようにしたらこの様にドロドロしてるスープになるのか見当もつかんよ・・・見た目に反して、あっさりしていてうまい・・・お二人は、かなり有名な料理人だったのだろうな』
2人に、美味しいって言っていますよ、と説明しておいた。
「パンも作りたかったんですけど時間が足りませんでしたし、朝なので簡単な物しかできなかったのよね」
「そうだな、調味料も足らないから自作したいが・・・材料があるかどうかが解らないからな」
この2人に料理店を開いてもらえばお金を気にすることは無くなるだろうが、材料が無い物を作り出すには無理があるんだよな・・・地球じゃないんだし。
「あ、皆さん、マジンを注射するのはいつにしますか? 今からやっちゃうと夕方に目が覚めることになると思うんですけど、ギフトがないと会話も出来ないのでどっちがいいか迷ってるんです」
「気にせずにやっちゃえばいいんじゃないか? 会話ができないのは不便だし」
渉真君が、元気良く反応する。
「二組に分けるのがいいのではないですか? 朝やる組と、夕方やる組に分ければ色々便利だと思いますけど」
敬太君が、眼鏡をクイッとしながら発言する。
え? 眼鏡? どうしたの? 確かに似合ってるけどさ・・・
「あれ? 眼鏡・・・どうしたの?」
「転移後に目が良くなったから要らないんですが、なんとなく落ち着かなくて掛けました・・・伊達眼鏡ですが」
眼鏡をクイッとする・・・いや、深く突っ込むのは良そう・・・
「敬太君の意見を採用して二組に分かれようか。先に女性だけやってもらって男性陣は買い物に行くって感じかな?」
「待ってよ~、どう考えても逆だと思うんだけど~。買いたい物はこっちにもあるし~、てか、あたし達のほうが買いたい物が多いと思うんですけど~」
茜衣さんが、手を上げながら言う。
「そうなんだけどさ、気絶するってことは、その間に何をされるかわからない・・・何かされてるんじゃって疑われそうだしさ」
「それなら~最低でも1人~、あたしたちの中からつれてった方が良くな~い? 男だけなら逆に疑われるでしょ~」
「そうですね、女性特有のものとかも買わなくちゃ駄目だし、私も1人は連れてく方がいいと思います」
有華さんも、茜衣さんの意見に賛同する。
「じゃあ、服に詳しい方いますか? デザインもそうですが、生地を見て作ることになるかもなので、生地について解る方いますか?」
「パタンナーやっていたから、少しだけだが詳しいぞ・・・生地屋じゃないからすごく詳しいわけじゃないがね」
「おお! そうなんですか! それは心強いです! では、亜矢子さんに付いて来てもらうって事でいいですか?」
皆から「いいんじゃないか?」「はい」などと肯定の言葉を言われた。
「今回買うのは食料・生活雑貨が1番で、武器・防具、布などは金額だけメモして明日買う様にします」
『フランソワーズ様、食料などを買い物に行こうと思うのですがオススメの場所などありますか?』
『うむ、最近では朝市なども出ていないしな・・・食料・調味料ならトエ商店、武器・防具ならストウス鍛治店、服ならミツタ服店に行ってみるのがいいのではないか?』
『場所は何処にありますか?』
『場所は、二の門を過ぎ右折し、大通りをぐるっとしていれば解ると思うぞ。最初の説明でたどり着けずに迷子になる者が多い・・・近くに行き人に聞くのが1番早いぞ』
『わかりました、ありがとうございます』
『協会には行かないのか? Lv上げるのと皆にマジンを入れるのとやった方がいいのではないか? それと、白竹の実・討伐の報告をした方がいいだろうしな』
『はい、先ほどの話し合いは、マジンは人数を分けて注射し、買い物も一緒にやってしまおうと言う内容でした。白竹の実の報告はこの後に行ければ行きたいのですが・・・』
『うむ、解った。食事も終わったし直ぐに向かうぞ』
後片付けもそこそこに出発することになった。
玄関の扉の取っ手に小さい石があり、そこに触りながら開けと思うと扉が開き、一度閉まると自動的にロックされる。開けなければ数分でまたロックされるらしい。
指紋認証のような感じに似ている・・・超便利、ハイテクじゃないか・・・
冒険者ギルドに入るのは俺とフランソワーズ様、グロスさんの3人だけで、先に協会に行きマジンを注射して貰えるようにラーモンさんに頼んでおいた。
ちゃんと皆にも、ギフトのON・OFFのやり方を喋っておいた・・・変なギフトだと怖いしね。
『受注と報告をしたいのだがいいか?』
『おかえりなさいませ、フランソワーズ様』
『そうだカナタ、オークと魚を全部と、白竹の実を半分売ってもらえないか? もちろん同じ金額で払う』
『もちろん構いません。フランソワーズ様に差し上げてもいいくらいなので気にしないでください・・・と言いますか、差し上げます』
『貴族たる者が、民から搾取するような事をする訳が無かろう! まぁよい、半分はこちらで買い取る』
なんか、貴族って威張っているだけの人って書かれることが多いけど、貴族の鑑って言えるような言動だな。本当は、助けて貰ったから助けたいんだけどね。
『素晴らしい考えです。恩返しが出来るように努力していきます』
『うむ、貴族として当たり前の考えだ』
にっこり微笑むフランソワーズ様は、目を引く位綺麗だと思った。
白竹の実をカウンターに出すと、ものすごく驚かれた。
しかも白竹の実1つで500gを超えていたので、一気に95回分の達成になり14級に上がった。
10級までの依頼は誰でも受けられ、最大でも1日に1つずつしか級が上げられない・・・飛び級は無い。
飛び級は、本人の力を過信させてしまうことが多かったため、廃止されたそうだ。
モンスターの討伐も常時依頼の物があり、ついでに狩って来る冒険者も居るらしい。
オークの討伐記録も一緒に報告しておいた。
オークの討伐報酬50レティアと白竹の実の報酬9500レティアだが、銀貨1枚分となった。
白竹の実は数が多いので、端数を切り上げて銀貨1枚になったらしい・・・サービスがいいね!
残りは、フランソワーズ様に買い取って貰うことになった。
がっつり集めたので半分にも満たない量だ・・・
しかも、ちゃんと自分たちが食べる分も残してあるし、どんだけあったんだよ、白竹の実。
そして、PTも抜けておいた・・・2人は長い事一緒に行動してるのかな?
『では、カナタよ、後日金を渡しに来る・・・楽しかったぞ、さらばだ』
『本当にありがとうございました。食事だけでも食べにいらしてください、出来る限りおもてなしさせていただきます』
『食事か・・・うむ、また来る!』
食事が気に入ったみたいだな、今度は天然酵母パンをお土産にあげられたらいいなぁ~。
皆の所に行き、長いすのところに寝かされている女性陣を見て気が付いた・・・
どうやって運ぼう・・・考えて無かったよ・・・
協会に担架のような物があったので、借りれて良かった。




