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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
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第217話 パシリ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 玄関を開けたら、朝の訓練を一緒にしたエルフの1人が気を付けをして立っていた。


「すみません、カナタ様。 ミズキ様が呼んでいます。 一緒に来ていただけませんか?」

 迎えに来たエルフは、そう言うと頭を深く下げる


 あれ? ミズキさんも様付けで呼び始めてるけど、なんだろう?


「え? 何かあったの? 怪我とか? にしては、落ち着いてるけど」


「怪我とかではなく・・・魔物を運んで欲しいと・・・その・・・すみません」

 迎えに来たエルフは顔だけを少し上げ言い、終わるとまた頭を深く下げる。


「あぁ、なるほど。 別に大丈夫ですよ。 スートーグさんとミルッフルさんは一緒に行きますか?」

 俺は後ろで様子を伺っていた2人に声をかける。


「一緒に向かうとしよう。 何かあったらいやだしな」

 スートーグさんが腕を組んで言う。


「私も行きますよ。 報告もありますし・・・荷物取ってきますね」

 ミルッフルさんがバックを取りに戻る。


「コノミちゃんも行く?」


「私は止めておきます。 解体のときに魔物みれますし、皆の服も作った方が良いでしょう?」


 使用人の皆の服は余り綺麗とは言えないし、作ってあげた方が良いだろう。

 既製品を渡しても良いんだけど、コノミちゃんに任せるか。


「そうだね、ありがとう。 布は足りてる?」


「はい、大丈夫です。 気を付けて行って来て下さい」


「はい、行ってきます」


 迎えに来たエルフの案内で魔物を集めているところへ向かう。

 すぐにミルッフルさんが遅れはじめてしまったので、背負子をだして乗ってもらい走って行く。

 この背負子は結構使うかもしれないと思い、サーキット等で使われるレースカーのバケットシートを模して作った。

 シートベルトも4点式の物を採用しているので振り落とされる事はないだろう。

 逆向きに座っているので気持ち悪くなるかと思ったのだが、キャーキャー言いながら喜んでいる。


「あ~・・・あのでっかいの何?」


「ハァハァ・・・あれは、グランネッツ・・・ハァハァ・・・レア種のようです」

 迎えに来たエルフは、息切れしながら問いに答える。


 そっとしておいてあげた方が良さそうだなと思い、木が切り倒され更地に近くなったところに向かう。

 近くに行くと異常さが良く解る・・・それにしても、グランネッツのレア種は何で少しだけ埋まってるんだ?


「おいおい、なんだありゃ・・・あんな数の魔物を倒したというのか・・・」


「おお! 本当だ結構倒しましたね。 しかし、森に被害を出さないようにいつもは気を付けてるはずなのに何かあったのかな?」


「いやいやいや、この数を倒したんだ仕方ないだろう」


「そうですねぇ、とりあえず急ぎましょう」


 そう言うと、パルメントさんとミズキさんのマーカーの場所、魔物の死体が多く置いてあるところと反対側へと向かう。

 出発しようとした時にミルッフルさんから降ろして欲しいと抗議を入れられ、降ろしてから向かうことに・・・2人が居る場所に向かう道すがらオークや猪のような魔物の血抜きがおこなわれており、血は全て捨てられてしまっていた。

 勿体無いな・・・傷薬やいろんな物に使えるってのに・・・

 到着すると2人に挨拶と労いの言葉をかけて、なんでこんなことになっているのか話しを聞く事にした。


 要約すると、この場所に陣取って戦おうとした時に魔物が一斉に突っ込んできてしまい大混乱に陥った。

 パルメントさんの喝で何とか騒ぎを収めたは良いが余りの魔物の多さに途方にくれたとき、ミズキさんからここら辺一帯の木を切って良いなら何とかしますと言う提案がされた。

 二つ返事で了承すると、目の前の木が音を立てて崩れていき、その木に魔物が潰され身動きがとれなくなったところに氷の棘が降って来たそうだ。

 何がおきたのか分からず数瞬呆けていると「終わりました」と声をかけられ気がついた。


 その後、周囲の警戒と戦闘、木の撤去や魔物の死体の撤去等をしていると、グランネッツのレア種が向かって来てるのと魔物がまだ多くいるのが分かり全員戦闘体勢を維持した。

 オーク(豚)やトウグ(狼)、ゴブリン(小鬼)、エテグラットン(ゴリラ)、サウワウル(羽根付きトカゲ)、ブラックビーフ(牛)、ラムダーマトン(羊)、サングーヴィレ(猪)などこの辺りではあまり見ない魔物も多く出現した。

 疲れているだろうとミズキさんを下がらせて、エルフだけで戦ったがすぐに押され始めた。

 見かねたミズキさんが参戦し、一気に魔法で大多数を殲滅し生きている魔物は個別に止めを刺し倒しきることが出来た。


 大量の魔物が邪魔で片付けをしている時に斥候から、もうすぐデカイのが来ますと報告が入り魔物の整理を諦めて戦闘準備をおこなった。

 その時に、ミズキさんが土で手を作り散らばっている魔物の死体を後ろに積み上げ、真ん中に落とし穴を作った。

 そこにグランネッツのレア種(5本首)が血の臭いに惹かれやってきた・・・そのまま真っ直ぐに進み、落とし穴に落ちた所で地面を固めて動けなくして一斉攻撃をした。

 しかし、鱗が硬く矢が弾かれ魔法も効き難かった・・・パルメントさんとミズキさんの攻撃は通るが再生してしまったようだ。


 再生の方法がどんなのか聞いたが、切り落とした頭を丸呑みして再生していたらしい。

 頭を丸呑みされる前に取ったらどうなるの? と聞いたら、再生する時間が多くかかるだけで結局再生するそうだ。

 てことは、素材取り放題? と思ったのだが、切り落とされた頭は何故か脆く鱗も柔らかいそうだ。

 切り落とされた瞬間、魔素が魔石や体内に戻してしまう為とのことだった。


 マジックバッグに入らないのも、魔石が生きているのが理由らしい・・・死んで魔石の活動が停止し、魔素が固定化されるとマジックバッグに入るそうだ。

 マジックバック自体が亜空間の部屋なので、魔素が固定化されて無いと魔素となり消えてしまうだけらしい。

 細菌や微生物等の魔石のない物は、消えてなくなるので気にしなくても良いらしい。


 話しを戻すが、頭を根元から切り取ると再生が少し遅く全部根元から落とせば死ぬのではないか? という考察が出た。

 普通に根元から頭を切っても少しの時間で再生してしまう為埒が明かない・・・なので、ミズキさんに高威力の魔法で一気に首を切り落として欲しいとお願いしたらしい。

 暴れまくって外に出ようとするのを周りのエルフが風を使って押し込め、腐食毒をパルメントさんが使い移動を止めその場で暴れている隙に魔力を込めた1撃を放ち、首全てを焼き切ることが出来たようだ。

 その代わり、首から上が全て消し炭になったらしいのだが仕方ないだろう。


 俺を呼び出したのは、ミズキさんが倒した大量の魔物の素材をマジックボックスに入れてもらうためのようだ。

 里の中で受け渡しをするにも大量すぎて面倒だし、仕方のないことだと思う。

 マジックボックス持ちはパシリですよね~・・・とか文句を言いたいが、珍しい魔物が多いので良しとしよう。

 今日あったことをパルメントさんとミズキさんに話すのを、ミルッフルさんに頼み魔物の回収へ。


 魔法とギフトの身体強化を使ってどんどん回収していく・・・気がつくと、エルフの皆は作業を止めてポカンとこちらを見ていた。

 気にしたら負けだと思い急いで回収する。

 最後のグランネッツのレア種を残すだけになったが後で解体するのも嫌だったので、尻尾を土魔法で持ち上げ血抜きをする。

 5本の首があった場所に穴を開け、下においた樽の中へ血を入れていく。


 暇なので土の手を作りグランネッツレア種の体を押して、血が抜けるのを助ける。

 グランネッツだし、肉が美味しいと良いなぁ・・・と思いながら。

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