第213話 エルフの里への挨拶周り(2)
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パルメントさんは自分の臭いを嗅ぐと黙ってお風呂に移動した。
マジックバッグを持っていなかったので、コノミちゃんに着替えがあるかどうか聞いて貰い「ない」という事で麻の服を着て貰うことにした。
風呂から上がってきたパルメントさんに、着心地を聞いてみたが悪くないと帰ってきた。
良かったと思いながら、料理をする・・・今日はキノコを多く貰ったので、キノコのミソ鍋にすることにした。
野菜や肉、キノコが多く入っていて栄養バランスも良いはずだ。
食事を始め、パルメントさんに今日の話しをする。
エルフの里で何があったのかを話していく・・・7番目の里の話に入った所でしかめっ面になり「すまん」と言っていた。
特に気にしていなかったので「大丈夫です」と返しておいた。
「こっちの現状も言ってやろう。 ヤバイの一言だ。 多数の魔物にレアな魔物までいた」
パルメントさんが、疲れた様に言う。
「大丈夫ですか? 手を貸しましょうか?」
「いや、先に他の里を回って欲しい、こっちは何とかするからな。 それにしても、魔物の多くはこちらに逃げて来ているようなのだ。 斥候に赴いたが、魔物が多すぎて断念したんだ」
「何かに追われてるって事ですか・・・それなら、高位の魔物が異動してきてる可能性があるってことですよね? やっぱり手を貸した方が良いんじゃないですか?」
「いや、何とかするさ。 もし駄目なときは救援を頼むかも知れんがな」
「それなら、コノミちゃんかミズキさんが手伝いに行ってもらって良い? 何かあっても2人なら逃げて来られるだろうし、どうかな?」
「私は問題ありませんよ」
コノミちゃんが、そう言うとミズキさんも頷く。
「魔物の数が多いみたいですし、ミズキちゃんの方が良いと思いますけど」
コノミちゃんが、言葉をつけたす。
「それもそうだね。 ミズキさん、行って貰える?」
「はい、解りました。 ただ、条件があります」
ミズキさんが、頷き言う。
「あぁ、飛行魔法と転移魔法でしょ? 全部終わったら手伝うからよろしくね」
俺がそう言うと、ミズキさんは頷く。
こうして、明日はミズキさんが手伝いに行くことが決まりコノミちゃんと俺だけがエルフの里に行くことになった。
何かあったら嫌なので、ミズキさんの装備の点検をする。
点検をしていて思い出したのだが、杖がそんなに良い物じゃなかった。
トレントの素材を使用しているのだが、ゴーレム作成で渡されたトレントの素材の方が良い物だった。
折角なので、中身の回路は変えずに外側の杖の部分のみを変えることにした。
作り終わり、魔力を限界まで流して魔力眼で見ると今までのショートワンドより2割ほど多く魔力が流せることが解った。
それにあわせ回路を少し改良し、より精密な攻撃が出来るようにする。
精密な攻撃と言っても目に見える範囲だけなのでそこまで凄い物ではない。
空間把握を手に入れ、目に見えない場所にもピンポイントに攻撃出来るようにもしたいが、今の所はない物ねだりだろう。
武器の調節が終わり、防具の整備と清掃を終えミズキさんのマネキンに着させて終わりにして、武器と防具保管部屋を出る。
次の日、エルフ達と軽い? 組み手とランニングをし、簡単なスープを振舞い貸家に帰る。
既にパルメントさんが、来ていた・・・俺達に護符を渡すのと、ミズキさんに魔物の討伐に関することを言いに来ていた様だ。
朝ご飯は、タダシさん特製オランデーズソースを使ったエッグベネディクトを作る。
エッグベネディクトには色々な種類があるときいたが、余り覚えていない。
中に挟む食材によって色々名前が変わると言うところまでは解っているが、似たような名前が多いためこんがらがっている状態だ。
まぁ、名前なんて覚えてなくても美味しければ良いだろう・・・いや、タダシさんと一緒に料理する前には覚えないとな・・・
そして食べ終わったとはお弁当作り・・・と言っても凝った物ではなく、簡単に食べられる物が良いだろう。
弁当箱と言うか大きなお重のような物を出して、料理をしまっていく・・・
1段目にはメインのサンドイッチ、2段目にはミートパイ等を入れ、3段目にはから揚げや温野菜を綺麗に並べ、4段目にはシュークリームを入れておいた。
お重のような物なのにサンドイッチとかミートパイ等場違いな気もするが、特に気にする人等居ないだろう。
かなりの量があるし、ある程度の人数なら全員一口くらい食べれるだろう。
パルメントさんとミズキさんを送り、ミズキさんを抜いた昨日のメンバーはエルフの里に向かう・・・今日は何も無いことを願う。
8番目の里に着き、話し始める・・・少しの反発はあったものの大きな混乱もなく話は終わった。
7番目で暗殺めいた事があったから、気を張っていたが問題なく終わって良かった。
もしかしたら、7番目の里で襲ってきたエルフの手足を折って放置したことが広まっているのかも知れない。
こうなると、スートーグさんが言っていた見せしめにボコボコにするってのを否定できないな・・・
9番目の里に入ると、誰も外に出ていなかった・・・まさかの事態で逆にどうするか悩む・・・
「カナタ、1軒位壊しても良いぞ? お勧めは、あの無駄にでかくて白くてキラキラした家だ」
スートーグさんが奥の方にある家を指差して言う。
「前にも言いましたけど、襲ってこない限り出来るだけ穏便にしたいんですって・・・でも、あのキラキラしたのってなんですか?」
「あれは魔晶石を作成するときに出るダイヤモンドの粉だ。 家の周りを白くし、その上のコート材に混ぜていたんだろう・・・粉になったダイヤモンドを売ることも出来たのに、何がしたいのか分からん」
「粉になっても売れるんですか? 何に使うんでしょう?」
「ドワーフが研磨剤に使用すると言っていたぞ? ちゃんと見た事がないから解らんがな」
「なるほど、研磨剤ですか。 そうなると、あれだけの量を使ってしまってるのは勿体無いですね」
「ああ、だから破壊してもいいぞ?」
「いや、ですから破壊しませんって・・・と言っても、どうしましょうか。 誰も出てきませんし」
「破壊しないのなら燃やせば良いんじゃないか? 火事になれば出てこざるを得ないだろう?」
「里を破壊させたいんですか・・・まぁいいです。 一応、全て訪ねてみましょうか」
周りの家を訪ねてみるが、誰も出てこない・・・さて、本気で困ったぞ。
「仕方がないですね。 扉に張り紙だけして次の里に行きましょうか」
「あの、どんな張り紙をするんですか?」
「そうですね。 俺から借金が嫌なら、奴隷にします。 拒否権はありません。 嫌なら1週間以内に貸家に来て下さい。 ですかね」
「それなら大丈夫です。 早速貼っていっちゃいましょうか」
皆で手分けして張り紙を貼っていく・・・軒数はそんなにないので、すぐに終わった。
その間も誰も出てこなかったので、9番目の里を出て10番目の里との間で森の中で食事を取るためにテント等を出す。
9番と10番はかなり近いようだ・・・そんな事を考えていると、レーダーに人の光がともる。
「皆さん、さっきの里と今から行く里からエルフがワラワラと出てきています。 たぶん襲いに来るようです。 なので、昼食は簡単な物で良いですか?」
「はいぃ!? 襲われるかもしれないのにそんな悠長なことしてていいんですか? 逃げた方が良いですよ」
「いや、逃げても追って来るだけだろう。 返り討ちにするのか?」
スートーグさんが言う。
「そう考えてますけど・・・コノミちゃんはどうする? 大丈夫?」
俺はチラッとコノミちゃんを見て言う。
「はい・・・でも、死人は出したくないですけど・・・」
コノミちゃんは、首を少し傾げて言う。
「大丈夫、そのつもりだよ。 罠でも作って食事しようか」




