第209話 商会との契約
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
「さぁどうするんですか? 本当に途中でゲームを止めますか? 借金が紅金貨100枚になりますよ? それとも、ゲームを続けて・・・えっと32倍か・・・紅金貨64枚の借金にしますか? いや、ゲームを続けスプリットをして9カードを目指すという手もありますね。 ご自分で決めて下さい」
リッグスさんは、顔を真っ赤にしてワナワナしていたが下を向き力が抜けこう言う。
「ゲームを続けます」
カードが配られ、俺は思い通りに21の9カードになる。
リッグスさんはスタンドを選び、素直に負けを認めた。
あらあら、諦め悪く9カードを狙ってバーストした所で「ドンマイ」って言おうと思ってたの少し残念。
「いい勝負でした。 ありがとうございます」
俺はそう言うがリッグスさんはうな垂れて何も言わなかった。
「さて、借金のことでお話しをしましょうか・・・」
その後エルフの借金を俺が貰いうけた・・・これで、一応エルフの里の大半の人間は俺の借金奴隷となった。
それをしても、借金は紅金貨56枚・・・莫大な借金と言える。
というか、紅金貨8枚の借金なんて予定よりもめちゃくちゃ多いじゃないか・・・エルフは馬鹿なのか・・・
それは良いとして、このまま商会を潰してしまうと今までの販路や顧客を全て失うことになる・・・それは出来るだけ避けたい。
「リッグスさん、俺は商会を潰そうと思っていませんし、借金奴隷にして皆さんを売ろうとも思っていません。 その証拠に、10日で1割の利子と言うのを止めたいと思っています」
俺の言葉にリッグスさんは、ピクリと反応するが下を向いている。
ちゃんと聞いているようだし話しを進めるかな。
「まず質問です。 エルフをこんなに大量に借金奴隷にした理由は何ですか? いきなり奴隷を増やせば、食費等がかさむだけだと思いますが・・・」
「売るつもりだった・・・帝国がエルフ1人金貨3枚で買ってくれる。 借金奴隷の場合は、借金の肩代わりもすると書いてあった」
借金の金額+金貨3枚ってことか・・・それはだいぶ美味しいな。
しかし、そんな大盤振る舞いしてお金は持つのかね? 心配しても意味ないか・・・
「なるほど、それは良い条件ですね。 それは契約とかされてたんですか?」
俺の質問にリッグスさんは下を向きながら首を横に振る。
「なるほど、解りました。 じゃあ、取引しませんか? やってもらいたい事は簡単、他国の情報を俺に送って貰う事・・・それだけで、先程言ってた様に10日で1割の利子は無くなることをお約束します」
「戦争でも起こす気か?」
「そう言う情報ではないですよ。 服のデザインや素材の情報、料理の情報や食材の情報、魔物の素材やダンジョンの情報、魔道具や武器の情報や作り方、今までに言ったものの値段等も出来れば聞きたいですね。 その他にも、いろいろな事が聞きたいのですよ。」
「そんなもん自分で集めれば良いだろう」
「そうですね・・・解りました。 情報を買い取るというのはどうでしょうか? もちろん、利子の撤廃します。 自分達の有益な情報には高値を付けますよ。 どうですか?」
「そんな値段等当てにはならないだろう・・・さっさと奴隷にでも何でもすれば良い」
「ふぅ・・・困りましたね。 では、こういうのはいかがですか? 借金の返済は1月で最低銀貨1枚、こちらから増やす事はありません。 利子についても頂きませんし、情報も買います。 そして、これをあなたに売ります。 これらを転売した利益もどうするか自分で決めて良いと言うのはどうでしょう?」
テーブルの上に、回復軟膏9級、8級、中級ポーション(現在主流のポーションより2倍ほどの効果のポーション)、鼈甲で作った櫛や置物、銀等で作ったアクセサリーやコンチョ、革細工の財布やオークの皮鎧等々を出す。
これらは俺が趣味で、作った物も含まれているし、プレゼント用に作っておいた物も含まれる・・・プレゼント用等は、全然使わないので売ってしまって構わない。
今でもギフトを上げるためにちょくちょく作っているので、余って仕方がないというのもある。
中級ポーション(薬草だけでは無く毒草も入れた最新薬)も、俺が作った物だ・・・上級ポーションだけはユカさんしか作れないので出さないで置いてある。
中級ポーションなら、ルーリン(盗賊に捕らわれてた薬師)の一家とファウストさんが作れるし出して構わないだろう。
それらの品を見て、リッグスさんが目を見開いてこちらを見る。
「これらの品は、ウルフローナ国で細々売っているものです。 情報は持っているでしょう? でなければこのタイミングで、エルフの人達を奴隷にしようと思わないはずですし」
「はい、その通りです。 隠し事しても仕方ないので言いますが、新薬の情報が入ったので計画をしたんです」
「やはりそうでしたか・・・それについては私は何も言いません。 では、話しを戻しますね。 他の商人は、売値で買って転売しているようですが、半値で渡しても良いですよ。 ただし、取引出来るのはあなたと、もう1人だけという事で良いですか? 余り優遇し過ぎてしまうと、恨みを買って狙われてしまいますし」
「それなら、ミソ、ショーユ、ソースなどのタレ、新しい素材の服等も出してもらえませんか?」
「今持っている物を出すことが出来ますが、今後の取引でも値段は変えられませんし量をふやすことも出来ません。 それでも良いですか?」
「はい、それで良いです。 それで質問ですが、あなたは何をしたいのですか? こんなに面倒な事をしなくても、あなたが持っている奴隷にやらせた方が儲かると思うのですが・・・」
「儲けようと思っているわけじゃないですし、特に何がしたい・・・というのもないですね。 私たちは勇者を目指していますので、情報が欲しいだけですよ」
「解りました、信用させていただきます。 あなた方の傘下に入ろうと思います」
ん? 傘下ってどういう事? 丸ごと買ったような物だからかな? まぁいっか。
「賢明な判断です。 コノミちゃん、さっき言った事を契約書に書いてもらえる? あぁ、そうだ。 ウヌリアン族は、あなた方の同盟者ですか?」
俺の言葉でエルフ達は、ざわめく。
「ええ、そうです。 エルフの中でも儲かる人がいないと続けられませんから・・・これがエルフの契約書とウヌリアン族との密約の書類です」
「ああ、なるほど。 エルフの仲間を売ることを了承し、自分達の里の者に危害が来ない様にしていたわけですか。 しかし、助命の契約書はグンスット商会とウヌリアン族との契約となっていた為、契約書が無効になっているという事ですね」
「その通りです。 後の事はお任せします。 私共はこの国より出て行きます」
「あぁ、待って下さい。 パルメントさん、グンスット商会は迷惑をかけたかもしれませんが、未遂で終わりました。 それを鑑みて、取引を止めないで頂く事は出来ませんか?」
「ふぅ・・・最初からそのつもりだったのだろう? いいさ、食材等が無ければこちらも生きていけないしな」
パルメントさんが、頭を抱えて首を振り言う。
「それは良かった。 賭場についてはどうするかエルフの皆さんに任せますよ。 低額で遊べるようにするのも良いですし、止めてしまうのも良いです話し合って決めて下さい」
「ああ、それは良いが我等エルフの処遇はどうするんだ? 話に出て来てないんだが・・・」
パルメントさんが、腕を組んで言う。
「そう言えば何も言ってませんでしたね。 処遇はグンスット商会と同じで良いですが、条件があるんですよ。 良いですか?」




