第208話 ゲーム開始
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エルフの人達の抗議がすさまじく、俺達が軽食をしている所まで入って来てしまった。
「ちゃんと魔法契約書にサインをしてあるので、抗議は受け付けません。 早急に立ち去って下さい」
護衛の後ろからリッグスさんが言う。
「待て! 光茸の価格がおかしいだろう! これでは、借金を返せないではないか!」
「あなた方が、光茸の価格は時価にしろと仰っていたではありませんか。 現在、新薬が安値で出回っていますので金貨1枚でも大盤振る舞いと言えます。 嘘だと思うなら、ウルフローナに住んでいるカナタ様に聞いて見て下さい」
え? そこで俺にフルの? いや、面倒だから止めて下さい
はぁ・・・注目を集めちゃったか・・・仕方ない。
「そうですね。 今はまだ転売しようとしている人がいますので少し高いですが、もっと時間が過ぎれば普通に手に入る価格になると思いますよ」
俺がそう言うと、嘘だの大合唱が起こったが真実なのでしょうがない・・・
「なので、皆様はお引き取り下さい。 明日に、今までの分も合わせて清算させていただきます。 明日までにご準備下さい」
「まぁまぁ良いじゃないですか。 見たい方は、俺達の勝負でも見てもらえば」
「しかし・・・いえ、場代を出してもらった訳ですのでそれでよろしければ・・・」
「じゃあ、見たい人がいれば残って下さい。 お金をかき集めようと思っている方がいれば、家に戻ることをお勧めします」
怒号が飛んだが、魔法契約書がある限り踏み倒せない・・・そう悟り、家に戻っていった。
結局残ったのは、パルメントさん、ミルッフルさん、里の長と長補佐が数名だけだった。
ある意味パルメントさんに見せるために、声かけをしたんだから目的達成だろう。
テーブルの前に向かいあわせに座り、横にディーラーに来て貰う。
「精一杯戦いましょう」
俺はそう言うと、片手を差し出す。
「ええ、手を抜くなど相手に失礼ですから」
リッグスさんは、両手で握手を返す。
まず、カードが全部あるかどうか確認させてもらうことにした。
裏側のマークは手書きのようで、全部同じとはいかない様だ・・・つまり、相手にカードの中身が分かる可能性があるって事か。
ポーカーじゃなくて良かった・・・相手にカードがばれてたらゲームにならないもんな。
カードが全部あるかどうかの確認をしていく・・・全部普通にある、よし大丈夫だ。
カードを混ぜ、ディーラーに渡す。
「これで大丈夫です。 では、ゲーム開始しましょうか」
「ええ、ゲーム開始しましょう」
その声を受けたディーラーから2枚のカードを配られる・・・19、最初としてはまずまずの手だろう。
両方スタンド(カードを引かない)だった・・・リッグスは18、俺の勝ちだ。
「最初に勝てたというのは、幸運の女神に見守られているからかもしれませんね」
俺はそう言い、笑顔になる。
「はっはっは、そうかもしれません。 ですが、私は負けませんよ!」
2人は、にこやかにゲームを進めて行く・・・完全に俺が負けている。
そう、俺は運が他の人より少ない・・・運の要素を補う為に頭を使い経験を積んだ。
最初から運がある奴ってのは強すぎる・・・ここまで運がないってのは悲しくなるな・・・
どんどんゲームは進む・・・俺の負けがかさんでいく・・・
ようやく終盤に指しかかる・・・負けが込みマイナス金貨1枚ほど。
バーストを避け手堅くいって良かったといえる・・・最初に配られるのが、13~16という地獄を抜け出せて良かった。
後は、枚数だけ気にして進めれば俺の勝ちだ。
残りは15枚・・・ようやくここまで・・・
さっきの勝負で、相手がカードを引いてしまうかと思ってヒヤヒヤしたが大丈夫だったな・・・おっと、感傷に浸ってる場合じゃないか。
「そろそろ終わりのようですね」
「そうですね。 楽しい勝負でした。 私が勝っても色々融通させていただきますよ」
「それはあり難い。 しかし! 勝負は最後まで分かりませんよ! 5カード以上が出る可能性はまだありますから!」
「はっはっは、受けてたちましょう!」
そして、カードを引く・・・19、相手も同じく19勝負はドロー。
そして運命の残り11枚。
「さて、これが最後の勝負になりますね」
「ん? 後2回は出来るんじゃないですか? まだ、枚数残っていますし」
「ディーラーさんは俺の言葉で気がついたようですね。 現在出ていないカードはエースが3枚、2が2枚、3が2枚、4が2枚、キングが2枚です。 どちらがどのように引くかは解りますか?」
瞬きをした瞬間とかに頑張って仕込んだんだカード達・・・数の偏りが少ないように細心の注意を払った。
本当に大変だった・・・でも、頑張ったかいがあったみたいだ。
「イカサマですか。 いやぁ、やられましたね。 はっはっはっは、全然気がつきませんでしたよ」
リッグスさんは、笑顔でそう言う。
「そうですか? では、勝負しましょうか」
俺がそう言うと、ミズキさんとコノミちゃんが紅金貨をテーブルに出す。
「これは、どういう事ですか?」
「簡単な話です。 この勝負はソメイヨシノとグンスット商会の勝負です。 他の人がお金を賭けられないと言うのは書いてませんよ?」
「いやいや、そんな事はおかしいでしょう。 そもそも1対1でゲームをすると言っていたじゃないですか」
「そんな事言いましたっけ? 覚えてませんね・・・さぁ、ゲームをしましょう」
「待って下さい。 イカサマをしていたんですからゲームは終了でしょう? これ以上やっても仕方ない」
「いやいや、俺がシャッフルした後にディーラーがシャッフルしてますよ? どうやってそんな物を仕込むんですか? ディーラーと俺がグルだったとでも言うんですか?」
「いえ、とにかくイカサマをしてたのは明らかでしょう! 罰金を払って下さい!」
「ですから、ルールに従ってギャンブルを進めてるだけですよ? どのようなイカサマか解らなかったのでしたら、止める事は出来ませんよ?」
「そんな物は詭弁だろう! ゲームは終わりだ!」
「今止めると罰金払うのはそちらになりますよ? おい! ディーラー! カードを動かせば罰金だぞ? 失礼、ゲーム開始が宣言された後でイカサマをおこなえば罰金というのがルールのはずです、契約書を見ていたはずですよね? 今回イカサマは宣言前のですし、何よりイカサマをおこなったのはあなたが雇っているディーラーでしょう? 最後にカードをシャッフルしたのはディーラーなんですから」
俺は、カードを動かそうとしたディーラーを止め諭すように言う
「そんな事は知らん! おまえがやった事はイカサマだろう! ふざけるなよ!」
おお、口調がどんどん荒くなってきたな。
「では、あなたもポーカーでのイカサマを認めてエルフに保証金を払いますか? 下の15枚が動いていないというのはポーカーをしているときから気がついていましたし・・・まぁ、上のカードを渡すと見せかけて下のカードを渡すなんて古典的なイカサマを見抜けなかったのも間抜けだと思いますけどね。 そうだなぁ、今まで稼いだお金の半額くらい払えば大目に見てもらえると思いますよ? エルフとの取引によって、光茸を独占販売していたのでしょう? もっとも、そんな事をしてもゲームは続きますがね」
「ふざけるなよ・・・私はイカサマなんてしていない。 言い掛かりはやめろ! イカサマをしたのはそっちだろう!」
リッグスさんの顔が怒りに染まる。
エルフの人達は俺の言葉でイカサマをされていた事がようやく解り、騒ぎ出した。
「じゃあ、ゲームをお止めになりますか? 私はどちらでも良いですが」
もう少し綺麗にしたかったんですが、思いつかなかったです・・・
やはり、カナタ1人で終わらせた方がよかったのかなぁ?