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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
248/406

第206話 賭場(2)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 夕方になり、今日の賭場がお開きになった。

 俺の戦果は、マイナス銀貨2枚・・・掛け金を銀貨に設定してたので、良いとは言えないが悪くもない。

 情報として、ポーカーのディーラーは3回イカサマをする。

 イカサマをしないときも、下の15枚はシャッフルさせていない・・・もう、これは癖なのだろう。

 イカサマカードを貰っていた人当たりの良さそうな優男は、商会の会頭なのだそうだ。

 父が急死して1人息子が継いだとの事・・・他は兄弟姉妹は全員女性なのだという。


 かなり大きな商会だったらしいが、現在は1/3程になってしまったと嘆いていた。

 引き抜きや独立で古参の商人が殆ど居なくなり、頑張って盛り返している途中なのだそうだ。

 商才があるかどうかは解らないが、人をよく見ていると思う。

 カードのやる気が無くなりそうになると、声をかけ励ましナッツ類とワインを指し出す・・・そのタイミングがかなり上手い。

 ホストとかやったら、かなり儲かりそうな気がする。

 この賭場が開くのは後3日、4日目にはエルフの作った郷土品や素材等の交換に当たるそうだ。

 エルフの借金の総額やエルフをどうするのか等は聞けなかったが、まずまずと言ったところだろう。


 途中でミルッフルさんが来てお弁当を大量に渡した・・・けど、足らなくて追加でもう1度渡したっけ。

 それ以降来なかったけど、大丈夫だったかな? その後も来なかったし大丈夫だろう。

 しかし、お弁当の籠を返してくださいと言うの忘れたんだけど大丈夫かな?


「お~い、カナタさん、どうしたんですか?」

 コノミちゃんが、背後から声をかけてきた。


「あぁ、ごめん。 色々情報収集してたから、頭の中で少し整理してた。 どうだった?」


「2人で大金貨4枚まで増やしましたよ! カウンティングのやり方が、最初は解らなかったんですが、慣れて来たら楽な物ですね」


「そうでしょ? ただ今回のカウンティングはアレンジしてあるし、余り良い行為じゃないから地球じゃやっちゃ駄目だよ」


「は~い・・・というかカジノに行きませんよ。 それにしても、良くこんなの知ってましたね」


「結構有名な技術だし、映画にも使われてたりしたから知ってても・・・」


 いや、待て何でこんなにはっきり思い出せるんだ? カーボンナノチューブとペニシリンは、最近調べていたから解るがカウンティングなんて何年も前の知識だろう・・・

 どうなってるんだ? ギフトの効果なのか? 本当に? 解らない・・・

 そもそも、俺は本当に俺なのか? この世界に来たときに、もしかして何かあったんじゃないのか?

 ははは・・・我思う、ゆえに我ありか・・・今の問いかけその物だな。


「お~い、カナタさん? 大丈夫ですか?」


「ごめんごめん、考え事してた。 じゃあ、帰ろっか。 晩御飯何食べたい?」


「しゃぶしゃぶ食べたいです。 出来れば、つみれもお願いします」


「はいはい、良いよ。 つみれに軟骨は入れる?」


「はい、お願いします」


 しゃぶしゃぶの準備をし見ると、パルメントさんとミルッフルさんが尋ねてきた。


「カナタ、サンドイッチ美味かったぞ。 入っていた籠はどこに置いておく?」

 パルメントさんが腕を組みながら言う。


「持って来てくれたんですね、ありがとうございます。 テーブルに置いておいて下さい。 あと、ミルッフルさんはどうしたんですか?」


「え? あ、嫌ですよ忘れたんですか? 晩御飯ご馳走してくれるって言ったじゃないですか」

 ミルッフルさんは、周りをチラチラと観察しながら言う。


 そんな約束した覚えはないんだけどなぁ・・・まぁいいか。


「いいですよ。 皆で食事しましょう。 手を洗って来て下さい」


 1人増えても、十分な量のお肉の薄切りは用意してあるし野菜も十分な量あるはずだ。

 鶏がらベースの出汁にして、乾燥キノコを入れる。

 昆布も貰ったが、今回は使わなかった・・・いつ手に入るか解らないしね。

 食べてる最中に、パルメントさんにどんな感じか聞いてみる。


「パルメントさん、借金はどのくらいになりそうですか?」


「あぁ・・・このままいくと紅金貨4枚となるだろうな・・・」


「それは個人で借りてる物って感じなんですか? それともエルフの里全体の借金とかですか?」


「里というより、国全体の借金だな。 里の長達を含む賭場に出入りしていた者全員が信用貸ツケしに、署名していた」


 そりゃあ、まずいな・・・紅金貨4枚って事は40億円ほどの借金という事だろう? 一朝一夕で返せる物でもない。


「まずいですね。 エルフの国のほぼ全員が借金奴隷になる可能性もあるってことじゃないですか」


「あぁ、俺の里の者も3人ほど署名しちまった・・・助けたいが手がない。 そこでカナタ、金を貸してもらえないだろうか?」


「予想はついてましたが、全額は持ってませんよ? 今持ってるだけで紅金貨3枚ほどです」

 俺は、サイフから紅金貨3枚を取り出し見せて言う。


「紅金貨!?」

 ミルッフルさんが、驚きの声を上げた。


「あ・・・す・・・すみません。 紅金貨なんて話の中だけでしか聞いた事なかったので、本当に持っている人がいると解って驚いてしまって」

 ミルッフルさんが、申し訳なさそうに頭を下げる。


「いえいえ、大丈夫ですよ。 話しを戻しますが、この国に冒険者ギルドはないんですか? あれば全額貸す事も出来ますが・・・」


「ここには協会しかない。 元々は金等無くても暮らしていけたのでな・・・今では後悔している」


「悔やんでも仕方ないですよ。 しかし、現金が無ければ物納ですかね?」


「今もっているマジックバッグは、これ1つだけだ。 作ろうにも素材が足らない・・・売ろうにも商人は商隊にしかおらん」


「あの光茸での物納では駄目なんでしょうか? 今まで通りに引取って貰えれば・・・」

 ミルッフルさんがボソッと言う。


「今まで通りに物納しても、光茸10本で大金貨1枚ほどにもならないぞ? 新薬ペニシリンの価格が金貨3枚ほどだからな」

 パルメントさんは、ミルッフルさんの問いに答える。


「申し訳ありません、浅知恵でした」

 ミルッフルさんは、器用に使っていた箸を置き頭を下げる。


「よい。 新薬の価格など、俺でも手紙に書いてなければ知らない事だしな」

 パルメントさんは、そう言うとしゃぶしゃぶしたお肉を食べる。


「まぁ、お金に関しての隠し球は何個かありますが、それが通用するかどうかは運しだいですね」

 俺は野菜も食べて貰うため白髪葱や水菜、細切りの人参などを出汁に大量に入れる。


「何をするんだ! そんなに野菜を入れなくても良いだろう」

 パルメントさんは、出汁を指差して言う。


「野菜を巻いて食べて下さい。 あと他のエルフの里の長は、現在の現状について知ってるんですか?」


「今日1日説得したが、無理だな・・・金等なんとでもなると思っている様だ」


「何とかなるくらいなら誰も働かないっつーの! はぁ・・・何も考えてないってことですね」


「その通りだ。 長や自治会の者共は自業自得で済むが、何も知らない若い者達も奴隷にされそうだと言うのにな・・・」


「色々やるからには、情報収集が絶対か・・・明日からも賭場に行かなきゃいけない見たいだね」


「色々やる? 何をするんだ? する事が解らなければサポート出来ないぞ?」


「実行するのは俺なので、詳細は気にしなくて良いですよ。 手をこまねいても解決しないなら、沼へ突っ込んでみるまでですよ」

 俺は、楽しそうに笑う。


「嫌な笑みだな・・・しかし、現状では何も出来ないし頼んだぞ」


 パルメントさんにミルッフルさんを借りる許可をえて、カウンティングのやり方を教え一応資金集めに没頭してもらう。

 3人には馬鹿勝ちして目立って貰わないとな。

 次話の更新が少し遅れます。

 詳細は活動報告にて。

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