第201話 魔法の修行
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食事を用意する件でマジックバッグの作り方を教えてもらえないか聞いてみたが、駄目だった。
危険が伴うという事で教えてもらえなかったのだ。
マジックバッグで何が危険なんだろう? 亜空間に繋がっちゃうとかそんな感じなのかな?
何とか教えてもらいたいが、どうすれば良いのかサッパリだ。
それにしても、エレメントマジックを人族が扱えるとは・・・
大将軍の奥さんのフロフリールさんに教えて貰った時は、最初はキラキラした奴を捜せとか、びりびりする感じがするのを見つけ出せとか、全く意味不明な説明をしてて断念したんだよなぁ。
ミズキさんは頑張って色々やってたけど、結局は使えてないし・・・
明日が楽しみだな・・・そう思いながら寝る。
次の日いつもより早い時間に起き、鍛錬を始める。
朝早いので誰も居ないのかと思いきや、木の後ろ辺りにエルフ達が隠れている。
話しかけてこないところをみると、昨日と同じく見取り稽古だろうと思い無視して武器を振り始める。
見てるよりも教えてもらった方が覚えが早くなるのに面倒な事だな。
エルフとしてのプライドって事か? 違うかも知れないけど、ほぼ合ってるだろう。
今日の鍛錬は軽めにして終わらせ、貸家に戻る。
帰りながら何を作るか考える・・・リクエストは肉料理・・・
この世界の人は肉にどれほど飢えてるんだよ! おっと、文句を行ってる場合じゃないな。
肉は確かに美味しいけど、バランスを考えると野菜や魚を入れたい。
どうするか悩んでいる間に貸家に着く・・・結局思いつかなかったな。
「ただいま~」
「遅いぞカナタ! お腹が減って死にそうだ」
一瞬フランソワーズ様かと思ったが、パルメントさんがそこに居た。
もしかしたら、フランソワーズ様の性格って、パルメントさんが元なのかも知れないな。
「すみません。 鍛錬してましたので・・・あと、朝ご飯は魚と野菜で良いですか? お肉を晩御飯に回せると少し凝った物が作れますし」
「ん? 3食肉でも良いぞ? 今までも3食とも肉を食べていたしな」
「え? エルフって草食ってイメージがあったんですけど・・・」
「そんなエルフもダークエルフもいないぞ? 皆肉が大好きだ。 肉を食べ過ぎて、一時食べたくないって奴はいるがな」
「そうですか、種族が変わっても同じなんですね~」
「そんなもんだろ。 というか朝ご飯はなんだ?」
「たっぷり野菜と魚のほぐし身のパスタにしようと思っています。 ニンニクは使って良いですか?」
「ああ、好き嫌いはないから好きにしてくれ。 それにしても、腹が減った」
「はいはい、解りました。 出来上がるまでこれを食べてて下さい」
「なんだ? 黒い棒? いやに軽いな、食べられるのか?」
「麩菓子と言う甘い菓子ですよ。 端っこの所が1番甘いですよ」
麩菓子を食べながらニコニコ座って待っててくれている。
その間にペペロンチーノ風、野菜たっぷりパスタを作る・・・最初に、魚にした味をつけ蓋付きの魚焼きプレートに入れオーブンで焼く。
次に塩を入れた水を沸かしパスタの茹で、茹で時間を確認し途中でブロッコリーを投入。
フライパンに少し多めのオリーブオイルを入れ、みじん切りのニンニク、細かく切った鷹の爪をゆっくりと炒める。
油に香りがうつったらパスタを投入し茹で汁を少しパスタにかける。
炒めたパスタと茹でたブロッコリーを少し細かくした物と、昨日採って洗った生のクレソンと、細かく切った生のトマトと焼き魚の骨を細かくとりほぐした身を軽く混ぜてお皿に盛りつける。
スープはトマトベースのポトフを出して朝ご飯の完成。
皆を起こして朝ご飯を食べる・・・最初は魚という事で余りいい顔をしなかったが、食べてみると美味しかったようでお替りまでしていた。
まずは世界の事を聞こうと思ったが、ミズキさんがエレメントマジックを使えると聞いてそわそわしているので修行の事を聞く事に・・・
「ウルフローナにいるフロフリールからどこまで聞いてるんだ?」
「キラキラしたのを捜せとか抽象的な事は聞きましたが・・・」
「そうか・・・あの子は天才肌だったな。 よし、まずはコアを感じるところから始める。 魔物の素材じゃない服に着替えて来てくれ」
そう言われ、麻で出来た服に着替え外に促されるままに行く。
「ここで良いか。 まずここには多くのコアが存在する。 と言っても解らんだろ?」
「はい、そもそもコアがどんな物なのかも解りません」
「コアは、魔物に進化する前の塊。 つまり、魔物になりかけの物だな。 どんな物か簡単に言うと、埃のような物だ」
「埃ですか?」
「そう、埃だ。 家の中で光のあるところだと埃が舞ってるのが見えるだろ? つまり、見えないだけでそこにある物なんだよ。 それを認識し、使役するのがエレメントマジックだ」
「なるほど、でも魔物に進化する前の塊に力を注いで大丈夫なんですか?」
「それは問題ない。 コアが力を付ける事もないし、進化が早くなるという事もない。 コアが消えるだけだ」
「そうなんですか。 それで、コアの見つけ方は?」
「目で見る、体で感じる、舌で見分ける、音を聞く、匂いを捜すってのが一般的だな。 後1つが、一帯全てのコアに力を与えるって無理やりな方法もあるぞ?」
「全てのコアに力を与える・・・そのデメリットは?」
「下手をすれば死ぬってことだな。 普通は魔力を使いきっても気絶するだけだが、コアには一定量魔力を入れなければならない。 魔力がマイナスになると生命が維持出来なくなり死ぬ」
「なら、範囲を決めて魔力を出せば良いんじゃないですか?」
「いや、範囲を決めててもコアが寄って来てしまう。 一瞬だけ魔力を流していたとしても、魔力の残滓があり強制的に魔力が持っていかれるんだ」
「なるほど、正攻法でやってみるのが良いって事ですね」
「そう言うこった。 1度コアを認識出来る様になれば、2回目からは問題なく出来るようになるぞ」
そう言われ、コアを捜す事にしたが一向に見当たらない・・・何をどうしても見つからない。
「コアを感じられる能力は人族が1番低いから仕方ないだろう。 色々やって見るのが良いと思うぞ」
全く出来ないままお昼前になり、俺は1人少し離れた所で料理をする事に・・・
折角なので昨日採った山菜の灰汁抜きも一緒に行う。
お昼は、メンチカツバーガーとハッシュドポテトにする。
外なので食べやすいものにした。
「そういえば、山菜の天ぷらっていつ食べますか? 天ぷらにする山菜は灰汁がないものなのでいつでも良いですけど」
「明日辺りに食べたいな。 今日は凝った肉料理が出るんだろう?」
「そうですね。 晩御飯は、タダシさん特製のビーフシチューとヨシさん特製のプリンでも食べましょうか」
「お! プリン出してくれるんですか? 甘い物は久し振りですね」
コノミちゃんが、嬉しそうに言う。
「本当は昨日出そうと思ったんだけど、数が少ないからね」
「プリンと言うのは、そんなに美味いものなのか? そいつは晩御飯が楽しみだ」
「ヨシさんの作るデザートも美味しいですが、タダシさんが作る料理も物凄い美味しいですよ。 それこそ、俺が作る料理よりも遥かに美味しいです。 今日出すビーフシチューなんてお肉がホロホロで柔らかくて食べ過ぎちゃうくらいですね」
「ますます晩御飯が楽しみだ。 このメンチカツバーガーでも美味いのに、それを越えて美味いとなるとどんな味なのか想像も出来ん」
結局この日は世界の情報等聞く事も無く、エレメントマジックの修行をして終わった。
誰1人として切っ掛けすら掴めておらず、成果のない1日だったといえるかも知れない。
俺は学習を持ってるから早く覚えられると思ったのだが、そう上手くはいかない様だ。