第197話 スキルの確認
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「話がずれてしまったが、スキルの話に戻そう。 スキルはこの世界に来た時点で持っている物なんだが、おまえ達のスキルは何か分かるか?」
「俺とミズキさんのは分かるんですが、コノミちゃんのは分かりませんね」
「そうか、スキルの特定しておいた方が便利だろう。 この世界に来た当初のギフトは覚えているか?」
「はい、全員分メモしてありますよ」
「そうか、それは良かった。 ではまず、俺のスキルを言う。 スキルは切り札とも言えるから、俺のも言わないとフェアじゃないだろ?」
「はい、解りました。 お願いします」
「俺のスキルは【空間把握】だ。 このスキルは、手で触れた空間の情報が理解出来る。 理解できていると言っても、全部が理解出来ている訳じゃない・・・触れてる最中は全力で集中しないといけないし、手を離してしまうと大半は自然と忘れる。 そんなスキルだ」
「なるほど、そのスキルがあるからマジックバックが作れるんですね」
「そう言うこった。 最初は方位磁石が無くても方角が解る位の駄目スキルだと思ったんだが、ダンジョン内で迷子にならなかったり、小人族に会ってマジックバックを知ってからは便利なスキルだと思いなおしたよ」
「なるほど、便利なスキルですね。 じゃあ、自分のスキルから言いますね。 自分のスキルは【学習】です。 ギフト、スキルなどの習得速度が上がり全部覚えられるスキルですね」
「なんだそのぶっ壊れスキルは・・・そんなもん神の領域じゃねぇか」
「でも、覚えるのが早くなるだけっぽいので教えてくれる人にめぐり合わなければ、死にスキルですよ」
教えてもらわなくても模倣をしてれば自然と覚えられるが、それは言わなくて良いだろう。
「いや、スキルも覚えられるんだろう? それが異常なんだ。 スキルには呪いがあるって言ったろう? 呪いを複数持っていられる奴なんていないんだよ」
「え? じゃあ、スキルは持っていないかも?」
「まぁ、その話しは後だ。 全員のスキルを先に特定しちまおう」
全員のギフトのメモを出して、精査していく・・・こうして、スキルの特定が終わった。
スキルは、学習、マジッククリエイション、芸術の心、草木の心、動物の心、パタンナーの心、武器の心、遠視の魔眼、魔力眼、再生、圧力、分身、以上12個がギフトではなくスキル何だという。
13人だから13個かと思ったのだが、真田夫婦は同じスキルを持っていたようだ。
夫婦は似てくると言われているが、こんな事まで似てくるのか・・・
「今まで見た事も聞いた事もないスキルばかりだな。 中でもマジッククリエイションなど、スキルと呼んでいい物なのか理解に苦しむ」
「やっぱりそう思いますか? 魔法を作り出すなんて異常としか言い様がないですよね」
「あぁ、あと呪いは【感情が薄れていく】であっていると思うぞ。 他の物は、感情の起伏の増加だろうな。 他にもいろいろと考えられるが、体調管理帳を見る限り1番しっくり来る。 だが、おまえさんの呪いについては分からん。 スキルを複数持っている奴等初めて見たしな」
「そうですか。 スキルを多くもって感情の起伏が大きくなっていますし、それでは無いんですかね?」
「それは、他のスキルの物だと思うんだが・・・何か他に変わったところはないか?」
「特には変わりがないように感じます。 呪いがどう言う物か解るまで、ギフトやスキルを覚えるのは止めた方が良いですかね?」
「ああ、それが良いと思う。 だが、覚えてしまっても命に直接関わる物はない。 感情の高ぶりは、気をしっかり持てば大丈夫だろう」
「質問なんですが、呪いで命を落とす事がないって言うのは、なぜ解ったんですか?」
「神の啓示だそうだ。 管理神の巫女がお言葉を拝したと言う話だが、詳細は分からん」
「なるほど、じゃあ、スキルを作り出したのは神って事ですか?」
「どうなのだろうな。 神の心も何をしておいでなのかも俺には解らん。 あ! 注意事項だ。 スキルの呪いで死ぬ事はないが、魔道具や装備の呪いで死ぬ事はある。 それだけは気を付けろよ」
神ってのが本物なのかどうかは分からんが、感情が大きく揺さぶられるだけで死ぬ事がないのならスキルを多く覚えた方が良いだろう。
神が嘘をついている可能性もあるが、何となくそれはない気がする。
嘘をつくまでも無く、この星に住んでる人を皆殺しに出来るだろうし。
「解りました。 スキルの呪いとアイテムの呪いは別物と覚えておきます」
「スキルはそれで良いとして・・・魔法について聞かせて貰って良いか? さっきの説明だと、原初の魔法よりも強い魔法に感じるんだが」
「そうなんですか? ですが、魔力も相当使いますよ? えっと、ここではなんですので外で魔法を使いましょう」
皆で外に出る・・・木の上ではなく地面に降りて、俺とミズキさんが向かい会い、小石が落ちた瞬間に魔法を同時に放つ。
と言っても、拳大くらいの威力の弱い魔法を2人で放つ・・・相手の属性の反対の属性をぶつける遊びだ。
この魔法合戦は、俺とミズキさん以外では出来ない・・・魔力の消費が激しすぎる。
ギフトの魔力回復系が無ければすぐに魔力切れになってしまう。
この魔法合戦は、ウルフローナ王国で人気が高い・・・2つの魔法がぶつかり合った時、ポンポンと弾け飛び見ているだけで面白いらしい。
少し時間が経つと、やっぱり俺の方が押されてくる・・・放つ魔法の数が違い過ぎる。
何個の魔法を制御してんだ? 同じ属性の魔法なら何個か同時に放つ事が出来るが・・・それにしても多すぎるだろ!
そんな事を考えていると、体に魔法がかする・・・押し負けたか。
「終了! 俺の負けです」
ワイバーンのインナーを着ているのだが、魔法を直接くらうのは怖い・・・痛みもないし、ミズキさんが魔法に失敗する事はないと思うが、怖い物は怖い。
負けを認めてすぐに土壁を出し防御する・・・すぐに魔法の雨がやむ。
「まさか、3個の魔法を真っ直ぐ並べ一定間隔で放ってくると思わなかったよ。 流石に魔法だけだとミズキさんに敵わないな」
「それはそうですよ。 魔法は私の命ですから」
「パルメントさん、魔法はこんな感じです。 ちゃんと威力を込めようと思えば込める事も出来ますし、ある程度遠距離に魔法を発生させる事も出来ます」
「あり得ない・・・俺は女神レティアの魔法も見た事があるが、理解出来る範囲だった。 今見た魔法は理解の範疇から大きく外れている。 何故複数の属性をああも簡単に連射出来る? 得意属性と苦手属性はなんだ? スキルの影響か? それともギフトの能力か?」
パルメントさんが、俺の肩を掴みゆすって聞いてくる。
「落ち着いて下さい、落ち着いて下さいって」
パルメントさんはハッとなり、手を緩め腕を組む。
「えっとですね、得意属性は【無】苦手属性はないです。 魔法に関するギフトも持っていますが、たぶん魔法その物に原因があるんだと思いますよ」
「そうか・・・取り乱してすまん。 しかし、原初の魔法とは似て非なる物だな。 確かに魔法効率が悪そうだ」
「そうなんですよ。 そこをどうにか出来ればもっと強くなれるんですけど」
「それならば、この国にあるダンジョンに挑むのが良いだろう」
「ダンジョンですか?」
「ああ、ここのダンジョンにはトレントや植物の魔物が多い。 その中でもサウザンドエルダートレントやエビルトレントは杖の素材としてうってつけだ」
「杖を作った方が良いってことですか?」
「ああ、その通りだ。 しかし、接近戦では使い難いだろう。 邪魔にならない杖を見せてやろう、着いて来い」
邪魔にならない杖? 腕輪とか? 埋め込み型の何かかな?