第196話 説明を受ける
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次の日の朝、スッキリした目覚めだった。
久しぶりにベッドだったというのもあるし、お酒を飲んで騒いでスッキリしたってのもあるだろう。
朝早く起きたので、朝の訓練をする為に外に出る・・・外に出たものの床が橋になっているので余りドタバタしたくない。
昨日来た道を戻り、地面へ降りて1番長く重い鍛錬棒を取り出し剣道の素振りをし始める。
この素振りは、剣道をやっていたタダシさんが教えてくれたものだ。
刀と剣ではそもそも振り方が違うのだが、色々やっていれば武術が色々混ざって新しい攻撃の仕方が身につくかもしれない・・・漫画やアニメの受け売りだが、そう思って色々やっている。
じっとりと汗をかいてきた時に、コノミちゃんが通信機で呼んできた・・・お腹がすいたらしい。
簡単に体を拭き、貸家へ戻る・・・シャワーを浴びるのはご飯の後で良いだろう。
玄関を開けると、コノミちゃんが力尽きて床で寝ている。
「コノミちゃんお待たせ、食事を少しでも置いていけば良かったね。 朝は何か食べたい物とかある?」
「返事がない。ただの屍のようだ」
「あらら、屍なら食事はいらないね。 じゃあ、ミズキさんと2人で食べよう」
「待って下さい、待って下さいって。 冗談じゃないですか・・・酷いですよ」
「はいはい、じゃあテーブル拭いて準備して」
「は~い、今日は何にするんですか?」
「そうだねぇ・・・ベーグルサンドとかどう? チーズがないんだけど」
「いいですね~。 ベーコンレタスをお願いします」
「了解。 ミズキさんがまだ起きて来ないから呼んで来て貰って良い?」
「は~い、起こしてきます~」
ミズキさんを起こし、朝の準備をした直後に訪問のチャイムがなる。
ミズキさんに玄関を開けて貰うと、聞き覚えのある声が・・・
「おはよう! 朝ご飯をたかりに来たぞ」
パルメントさんが中に入りダイニングで手を上げて元気良く言う・・・というか、この人本当にいくつだよ・・・
仕方がないので、パルメントさんの朝ご飯も用意し食事をする。
片付けも終わらせ、お茶を出し一息ついてまったりしている時にパルメントさんが言う。
「あぁ、美味かった。 折角だし、このまま説明して良いか?」
「それは構いませんよ。 ですが、シャワーだけ浴びて来ても良いですか? 運動していたので、かなり汗かいていたので」
「ああ、解った待っている。 昨日でたポテトチップが欲しいんだが」
「はいはい、ポテトチップとポップコーンを出しておきますよ」
深皿の中にポテトチップとポップコーンをだして、シャワーを浴びにいく。
シャワーを浴びてサッパリしてダイニングに戻ると、お皿の中には何も無く綺麗にお菓子を食べ終わってお茶を飲んでいた。
急いでシャワーを浴びてきたから10分経ってないと思うんだけど・・・食べおわるの早くない?
「戻ってきたか。 じゃあ、説明を始めるぞ?」
「待って下さい。 その説明をメモしても良いですか?」
頷かれ、メモをとるためのノートや鉛筆を持ってきて椅子に座る。
「それでは、説明を始める・・・まずは、おまえ達がどこから来たのか言って貰いたい」
「まぁ、隠しても仕方ないですよね。 地球、もしくはアースと呼んでいる星から来ました」
「あぁ、あそこか・・・田舎の方なのに映像技術と創作がずば抜けて高い星」
「田舎ですか・・・宇宙の中心の方から見れば片田舎と言えなくもないですが」
「あぁ悪い悪い、他意は無かったんだ。 まさか、女神レティアのお気に入りの星からの来訪者とは・・・それで、宇宙船で来たのか? あれ? 壁はどうやって越えたんだ?」
「壁ですか? 宇宙に壁があるんですか?」
「ん? 宇宙の壁に辿り着いてないのか? じゃあどうやってここに来たんだ?」
「いきなり真っ暗になって気がついたらこの世界にいたって感じです。 壁について教えてもらっても?」
「真っ暗に? ・・・あぁ、壁って言うのは次元のズレの事だ。 宇宙の中には無数にあり、この星系には無闇に入れないはずだ。 が、そこはいい・・・真っ暗になってここに来たって事は、転移とでもいいたいのか? そんな物は無理だ、どれ程のエネルギーを使うと思ってるんだ? 第一、生身で亜空間に入った時点で体がはじけ飛ぶぞ?」
「そんな事を言われても、起こってしまった物は仕方ないじゃないですか・・・それで、壁ってどうやって突破するんですか?」
「簡単に言うと、船の大きさの穴を開ける・・・いや、ズレを修復するといった方が正しいかな? 直接見て見ないと説明が難しいな・・・」
「なるほど、見てみないと・・・見る事が難しいのであれば、後は技術面を見るですか。 宇宙船を見る機会があれば良いんですけど・・・」
「おいおい・・・見ただけで、おいそれと作れるわけじゃないぞ? まぁいい、この話は終わりにして違う話しをするとしよう」
「はい、お願いします」
「では、スキルの話しでもしようか・・・そもそも、スキルという物は何か知っているか?」
「いいえ、知りません」
俺は頭を横に振って答える。
「そうか、スキルってのは初期の技能のことだ。 初期の調整していない技能と言うのは強力だが、呪いが発生する」
「呪いですか? デメリットって訳じゃなくて?」
「デメリットと呼んでも良いし、危険や弱体と言っても良い。 だが、スキルの呪いは解けるんだ。 解けるのにデメリットと呼ぶのは些かおかしいだろう?」
「え? 解けるんですか? どうやったら解けるんですか?」
「まぁ待て、解けると言っても難しいんだ。 同じスキルを持っていても、人により呪いの解き方が異なる。 今の所、命に関わるような物は見つかっていないから放置する事が多いな」
「なるほど・・・では、スキルとギフトの違いは何ですか? 呪いのある無し位ですか?」
「そう言えなくも無いな・・・ギフトってのは、呪いが発生しないようにスキルを調整した物だ」
「スキルを調整? そんな事出来るんですか?」
「ああ、おまえ達も血中にナノマシンを入れただろう? そのナノマシンを作った天才が、スキルの調整についても思いついたらしい」
「え? ナノマシン!? 血中に・・・って事は、注射をしたマジンがナノマシンですか? 作った天才って、神じゃないんですか?」
「マジン? あぁ、マシンの部分が変化して伝わってマジンになったんだろうな。 ナノマシンを作ったのも、スキルをギフトに調整したのも【人】だったらしいんだ。 その後に新しいスキルを見つけたとしても、ギフトに調整出来てないって言うよりも、出来ないらしい。 本物の天才って奴だよ」
「そんな有用な人なら、知識だけでも手厚く保護されているとか・・・そんな事はないんですか?」
「いや、闇に飲まれて死んだ・・・細胞の1つも見つかってないらしい」
「細胞の1つも? 髪の毛とかはなかったんですか?」
「その天才は、魔素の影響で全身の毛が無く治療後も毛が生えなかったらしい。 しかも、闇に消えたところを見た者は誰もいない・・・なのに、闇に消えたとなっている。 おかしいと思ったんだが、それ以上調べられなかったよ。 神が代替わりをしているらしくてな」
「神が代替わり? 神ってのは万能じゃないんですか?」
「ん? ああ、現在いるレティア神などは管理神と呼ばれる者らしい。 管理神は長命種だが、死ぬ事もある様だぞ? 本当の神は、別にいるようだ・・・もっとも、管理神の頂点でも数千年に1度くらいしか会えないようだし、俺達には関係がない話だがな」
「なるほど、それならば地球にも神が・・・管理神がいるんですか?」
「ある程度の所にはいると思うが・・・どうだったかな? 覚えていない・・・すまん」
神がいたら、言ってやりたい言葉がある・・・死んだ後に言おうと思っていたのだが、生きてる間に言えるかも知れないってのは目標になる。