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努力の実る世界  作者: 選択機
第3章 エルフ編
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第195話 会合の行方

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 一斉に俺達の方へ顔が向けられる・・・とりあえず、手を上げてから椅子から立ちその場で喋り出す。


「はい、ご紹介に預かりましたカナタと申します、以後お見知りおきを。 本題の死病の特効薬は開発されています。 既に何人もの死病の患者の命を救っています」


 俺がそう言うと椅子に座る・・・ざわつきが一層大きくなる。

 その時に、ウヌリアン族の族長と呼ばれるエルフが手を上げて進行役が族長の名前を呼びその場で立ち発言をする。

 何となくだが日本の国会のような感じなのかも知れない。


「カナタと言ったか? 下賎な人族に質問しよう・・・今まで1度も薬の開発には成功していない。 今回も昔あったように偽物だろう? ウルフローナ国は獣人の国だ。 それならば光茸の確保をあきらめ、人手や魔晶石補充用の魔力を欲するあまり、このような手紙を送ってきたのではないか? 違うか?」


 なんとまぁ、自分で調べればいいことをベラベラと・・・何がしたいのかねえ・・・

 手を上げると名前を呼ばれ、その場で立ち上がり発言する。


「先程も言った通り、開発に成功しています。 しかも、光茸よりも薬の性能が数段上の物までありますよ」


 またウヌリアン族族長が手を上げて指名され発言する。


「そうか・・・ならば、光茸をウルフローナ国にもう二度と送らなくても良いという事だな? それでよろしいか?」

 ウヌリアン族族長が、ニヤニヤしながら言う。


 たぶん脅しのつもりなんだろう・・・本当に開発に成功していた場合、ただの馬鹿にしかならないと言うのに・・・

 俺は手を上げて、指名され発言する。


「はい、光茸が食用で物凄い美味しい物でない限りはいりません。 食用で、美味しい物なら送っていただきたいですが」


「やはり欲しいという事ではないか! それならば、厳重に抗議をさせていただく」

 ウヌリアン族族長がいきなり立って、俺を指差し睨みながら言う。


 興奮して手を上げて質問していない・・・だが、誰も咎めない。

 む? ややこしい事になったぞ・・・食用としてと言っているのを曲解し、必要と勘違いしてしまったのだろう。


「すみません、質問なんですけど、まず光茸って食用なんですか?」

 隣に座っている人の良さそうなエルフに話し掛ける。


「え? えっと・・・光茸は食べる事も出来ますが、味はなく硬く噛み切れないので誰も食べたりはしません」

 いきなり話し掛けられエルフは驚いたようだが、ちゃんと答えてくれた。


 そうだったのか・・・見た目がエリンギのようだったし美味しいのではないかと思ったのだが違ったらしい。

 俺は手を上げて指名され発言する。


「すみません、勘違いさせてしまったようですので訂正します。 光茸は食用にならないようですので、いりません」


 ウヌリアン族族長も手を上げて指名され発言する。


「本当に良いのだな? 後で訂正をしようとしても出来ぬぞ?」

 ウヌリアン族族長が苦虫を噛み潰したような顔で言う。


 俺が手を上げ指名され発言する。


「ええ、さっきも言った通り死病の薬は完成し量産もしていますので」

 俺がそう言うと、ウヌリアン族族長はもっと苦い顔になり下を向いて黙った。


「皆さんにも1度見ていただくのが良いと思いまして、薬自体を持って来ています。 薬師の方がいれば呼んで確認そしていただくのが良いと思います」

 俺がそう言うと、進行役が後ろの人を呼び伝令のような人が外に走っていった。


 考えてみたら俺が物自体を持ってきている旨を、ちゃんと手紙にかいてもらえばこんな事起きなかったかもしれない・・・

 まぁ、やっちまった事は仕方がないか。

 その後は薬があると言う前提で話が進む・・・他国との交渉がどうの、光茸の栽培をどうするかだの、本当に俺達に関係のない話しが進んでいく。

 こんな事なら俺もノートと鉛筆くらい持って来て置けば良かった・・・暇だ。


 そう言えば、この会合にパルメントさんは出席していないんだな・・・なんでなんだろう?

 暇つぶしに色々な妄想をしている時に、会合の扉が開き先程の伝令役の人が進行役の人に何かを耳打ちしている。

 その間にパルメントさんが老婆の手を引き会合の中に入ってきた。


「薬師が到着したようだ。 早速だがカナタ殿、薬をお願いしてもよろしいか」


 そう言われ「はい」と返事をして老婆のエルフに容器に入ったペニシリン溶液を1つ渡す。

 そうすると、老婆が膝をつき涙を流しながら言う。


「あぁぁ・・・私の夢がついに・・・ついに、この手に・・・」

 老婆がそう言うと。容器を強く握り締めて笑っているような泣いてるような声を出す。


 パルメントさんが、小さく耳打ちするとしきりに頷く。

 パルメントさんが立ち上がると高らかに宣言する。


「この薬は死病の特効薬である! しかも、光茸よりも効果が高い! よって、これより光茸の栽培を中止する!」


 ザワメキが一層大きくなる・・・本当に誰も周囲の国の情報すら調べてないんだなぁ。

 良くそんなので国としてやっていけたなぁ・・・マジでどうなってるんだ?

 そんな事を考えていると、パルメントさんがこちらに来て肩をたたき手招きをした。

 外に連れ出してくれるようだ・・・後ろの2人に通信機で喋りかけ一緒に外に出る。


「いやぁ痛快! あの小僧どもの情けなく慌てふためく顔等久しぶりに見たな。 これがきっかけで、情報の大切さっってものを学べれば良いんだがなぁ」

 パルメントさんが笑いながら言う。


「そうですよねぇ・・・流石に隣の国等の情報は調べておくべきです。 というか、危機管理の甘さに愕然としました」


「あぁ・・・小さい頃は素直で可愛かったんだがなぁ・・・何よりも光茸の栽培がなくなったのは良い事だ」


 小さい頃? あの長老達よりも年上って事か? 女性に年齢を聞くのは失礼だろうな・・・


「栽培ってそんなに面倒なものだったんですか?」


「ああ、光茸の成長には体液が必須だったからな」


 体液? 体液って言うと、エロイものか? エロイものなのか? そうなのか?

 考えるようなそぶりで、色々エロイ妄想をしているとパルメントさんの笑い声が響く。


「あっはっはっは・・・はぁ。 体液と言ってもな、血液の事だ。 エロイものじゃないぞ? まぁ勘違いをさせるように言ったのは間違いないんだがな」


「そうなんですか・・・それは残念。 是非とも見たいと言うところでしたのに・・・」


「ぷっはっはっは。 面白い奴だな・・・しかし、そういう事を言うのなら、もう少し心を込めていった方が真実味を帯びるぞ」


「どんなときでも真剣に心を込めていますよ。 しかし、会合から連れ出してもらって、ありがとうございました」


「いや、いいさ。 あの会合等この国の恥だ・・・他国の者に見せるなんて頭が痛くなる」


「やはりそうなんですか・・・政治の事は詳しくないですが、まとまりも無くただ言い合いをしているだけに見えました」


「ああ、意思決定まで3年もかかった事案まである・・・本当に何がしたいのやら」


 なんだかんだ話しをしていると、何故か俺達の住んでいる貸家で食事をする事になる。

 色々と美味しい食事の話しをしていたら自然とそうなったわけだ。

 今回出す料理は、ミルフィーユトンカツ、バラ肉の野菜巻き、豚の角煮、チーズとベーコンを乗せたサラダ、コーンスープ、ロールパンとなった。

 オークの肉が食べたいとリクエストを貰ったのでかなり偏った物になってしまった。


 お酒は、スパークリングワイン、赤ワイン、ウォッカ、カクテルのビックアップルを出す事にした。

 デザートは、無理そうなのでまた今度にする。


 折角なので護衛の人やスートーグ兄弟(仲間のパーティ含む)を、パルメントさんの護衛の人に呼んでもらい楽しい食事をした。

 色々な話しを聞けるのはやはり楽しい。

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