冬の間(10)
ブックマーク・評価 ありがとうございます。
PCが、壊れました_(:3 」∠)_
次の話から章が変わるはずだったのですが…
次の休みに修理に出すので次話投稿がいつになるか解りません。
☆ タクミとエルディア -タクミ視点-
僕は、皆の武器や防具の原案と鍛冶全般を任されています。
でも、最近は包丁のメンテナンスや調理器具の作成が主な仕事ですね。
暇な時間に色んな武器や防具を作れて過ごせるのは、理想の仕事と言ってもいいと思います。
しかもですよ! 可愛いエルディアさんと言う女の子も鍛冶に興味があって、一緒に開発をしているんですよ!
エルディアさんは武器よりも防具の方が詳しい様で、僕の知識の足りないところを補ってもらっています。
エルディアさんはソメイヨシノのメンバーではないので、ずっと一緒に開発できないのが最近の悩みになりつつあります。
僕は、たぶんエルディアさんの事が好きです・・・いや、たぶんじゃないですね。
僕は、エルディアさんが好き・・・・たぶん、エルディアさんも僕の事が・・・
いえ、希望的観測は駄目ですね・・・好きだって言われる位にならないと・・・
そのために努力していかなくては・・・
「タクミさん? どうかしたんですか? ぽーとしてましたけど?」
「あ、すいませんエルディアさん。 少し考え事をしていたので」
「そうですか? 体調悪いなら休んだ方がいいと思いますよ?」
「大丈夫です、大丈夫です。 えっと、武器の素材についてでしたっけ?」
「違いますよ。 武器の付加魔法についてですよ。 付加魔法ってそもそも何ですか?」
「そうでした、そうでした。 えっとですね、付加魔法と言うのは出来上がった物に魔法の効果を付属させる物です。 話に聞いているクリエイションエンチャントとの違いは、運や技術・素材で掛かる付加が変わらないという事ですね」
「え? じゃあ、クリエイションエンチャントより優れているんじゃないですか!」
うわ、顔が近くなった! シャツの隙間から見えそうだよ・・・いや、見たいわけじゃ・・・えっと、目に付くだけなんです。
じっと見られている事に気が付き目を逸らす・・・バレたかな? いや、大丈夫だと思うんだけど・・・
「あ、すいません。 付加魔法が優れているかと言われると、そうでもないんです。 クリエイションエンチャントで付けた効果は、殆ど魔力消費無しに効果が現れます。 でも、付加魔法は魔法なので魔力の消費が大きいんです。 威力を高くしたり、複雑な効果になればなるほど魔力消費が大きくなっていきます」
「そうなんですか・・・付加魔法は、威力が高くて好きな物を付けられるけど使用時の魔力消費が大きい。 クリエイションエンチャントは、運や技術によってランダムで効果がついてしまうが使用時の魔力消費が少ないという事ですか」
「概ねそれであっています。 ここで疑問になるのが、クリエイションエンチャントと付加魔法が同時に付けられるかどうかという事です」
「え? 同時に付けられるんですか!?」
ごめん、ケイタ・・・手柄を奪うような事しちゃって・・・でも、かっこいい所を見せたかったから仕方ないよね。
「付けられる事は付けられます。 ですが、同時に効果を発動する事は出来ませんでした。 これは皆で考えた予想なんですが、クリエイションエンチャントと付加魔法は見えない魔法回路が形成される物ではないかという事です」
「見えない魔法回路ですか? でもそれなら、同時に使う事も可能だと思うんですが、何で出来なかったんですか?」
「えっと、八重桜学院での勉強は、兵士の方も学んでいるんですよね?」
「はい、授業と言う形で教えてもらっている訳ではありませんが、教科書を貰って自分で勉強をしていますよ?」
「それなら、魔法効果の連続性の考察と言うところに、魔法陣の直列配置型、並列配置型ってあったのは解りますか?」
「はい、昨日それを読んだので解ります。 ですが、完璧に理解している訳ではないですが・・・」
「完璧じゃなくてもいいと思います。 そこに書いてある事ですが、直列配置型にはタイムラグがあり、並列配置型にはスイッチ機能があるというのがありましたよね?」
「はい、2人で違う魔法陣を同じ回路に組み込もうとすると、片方ずつしか使えないって言う奴ですよね?」
「そうです。複数の回路を同時に複数人で作った場合は直列配置型になり、1人ずつ作った場合は並列配置型になる・・・それが付加魔法とエンチャントクリエイションでも、それがおこってしまっている様なのです」
「なるほど、そうなんですか~」
このように、2人は一緒に勉強をしたり武器を作ったり防具を作ったりしながら過ごしている。
カナタが見つけたときには、爆発魔法を本気で使うかどうか悩んだと言うのは別の話・・・
☆ベトニアとセードルフと布教活動 -ベトニア視点-
僕は、死に掛けた所をカナタ様に助けてもらいました。
今までのご主人様は、べたべたと触ってきたり畑仕事を手伝ったり、布の殆どない服装で寝室に連れて行かれたりしていました。
それでも、僕は運がいい方だと思っています・・・他の子は、暴力を振るわれたり食事もさせて貰えず働かされたりしていたのを知っているからです。
出来る限り気にいられるため知識を覚え、計算と馬車の操車を学んで役に立つところもアピールする毎日でした。
カナタ様は、そんな僕に自分で考え自分の利益になる事を学び、他の職人さんの技を盗みなさい。 それが後で自分を助けてくれます。 と言ってくれます。(ベトニアの脳内で美化されています)
こんなに思慮深く思い遣りに溢れている方は、他にいません!
そう思っているのは、僕だけではありませんでした。
そう、セードルフ教しゅ・・・いえ、セードルフ先輩や他の信じゃ・・・いえ、友人達がいました。
先輩や友人達もカナタ様の慈悲で死病の薬を貰ったり、犯罪奴隷なのにメイドや執事の仕事をしたりしています。
少年少女や成人したての人が多かったので、そう言う趣味なのかと思っていたのですが違ったみたいです。
犯罪奴隷の人達を育て上げ、色々作り販売する計画を立てているようですね。
しかもそれが、自分のためではなく僕達のためだと言うことは言わなくても解っています・・・
小さい犯罪とは言え犯罪奴隷・・・いえ、全ての人に慈悲をお与え下さるとは・・・やはり、神の化身・・・
「・・・ニア君、ベトニア君。 お祈りの最中に申し訳無い。 しかし、すぐにでも報告すべき事が出来てしまったんだ」
「え? まさか、カナタ様にバレてしまったとかですか?」
「いや、カナタ様の事だ。 このお祈りの事など、既にご存知だろう・・・いや、報告すべき事はそれではない。 見てくれ、この神像達を!」
セードルフ先輩はそう言うと、フロシキから12体の神像を取り出した。
「す・・・素晴らしい! 細部まで作りこまれているではないですか! これをどうやって!?」
「八重桜学院に像を飾るのはお話しましたよね? コノミ様に作っていただいた12体を複製しただけですよ。 創始者の像は小さい物がいいと皆さん仰っていましたから、持ち運べるサイズになったわけです」
「素晴らしいですね! 僕も早く欲しいです」
「大丈夫です。 型を取ってありますので、すぐにでも完成するはずです。」
「そうですか。 僕だけのカナタ様・・・早く欲しいなぁ・・・ふふふふふ」
ベトニアの危ない思いに気がつくのは、まだ先のことになる・・・