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努力の実る世界  作者: 選択機
第2.5章 冬の間の出来事(ウルフローナ編)
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冬の間(8)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

☆ 冬の過ごし方


 雪が降り雪合戦やカマクラ・雪ダルマ等で、雪を堪能したが毎日だと流石に飽きる。

 寒くなりすぎると思わぬ怪我をする可能性があるため、筋トレを主に行い勉強の時間を増やしている。

 暖かい部屋での座学だと、ヤッパリ眠くなるようで怒られている・・・頑張って起きてようとしている姿が微笑ましくもある。

 生徒の中には奴隷として買われて来た子が多く、親や兄弟がいない環境で大丈夫かと思ったのだが、先輩として農奴の子や元奴隷の子が優しく教えている。


 努力すれば夢が叶うし、お手伝いすればお腹いっぱいご飯も食べれてお小遣いも貰える・・・と言うのが先輩奴隷の皆の感想で、口癖のようになっているらしい。

 俺達からすれば、子供なのに働いているっていうのは異常なんだが・・・

 本人達は、やる気をもって働いているので止め様とは思わない・・・ちゃんと何かあったときのために、給料から天引きして少し色を付けて1人1人貯めといてあげている。

 本人達に全部渡してしまうと、洋服やアクセサリー、武器、防具等に変わってしまうのだ。

 それでも良いのかも知れないが、卒業のときに纏ったお金があれば無茶はしないだろう。


 今日は裁縫を教わっている・・・と言っても、懐かしの家庭科の授業でやるような、ボタン付けと麻袋作成だ。

 チクチクと手縫いし、出来上がりをアヤコさんに確認してもらっている。

 そんな時、フランソワーズ様が玄関を開けた音がした・・・フランソワーズ様の開け方は、人の判別出来るほど音が大きいので間違いないだろう。


「お邪魔する!」

 フランソワーズ様がダイニングの入り口で大声で叫ぶ。


「お帰りなさい、どうしたんですか?」


「ふっふっふ、これを見ろ!」

 フランソワーズ様が、カードのような物を片手に持ち見せてくる。


 不思議そうにカードを見ていると、テーブルに置いて横に広げていく・・・


「ああ、トランプですか」


「な! 知っておるのか?」


「ええ、遊び道具の一つですよね?」


「ああ、そうだ・・・伝承によれば、勇者様が広めた遊び道具に1つと言われている」


「へぇ~そうだったんですか・・・ん? 遊び道具の1つって事は、勇者様によって他にも遊び道具が広めたれたんですか?」


「ああ、そうだ。 リバーシ、チェス、軍行指ぐんこうしがある。 どれも雪が降っている時に室内で遊ぶ道具だ」


「リバーシとチェスは知っていますが、軍行指? ってなんですか? 初めて聞きましたけど」


「う~ん・・・簡単に言うと、チェスを難しくした物だな。 両者、同じポイントを持って開始し、兵や騎馬等の駒や罠等を買い配置し、王をとれば勝ちと言うゲームだ」


「そうなんですか~、面白そうですね。 後で現物を見に行っても良いですか?」


「もちろんだ・・・が、たぶん父上とオルトウスがやっているだろうな。 あの2人が使っていると本当に長いぞ?」


「じゃあ、2人がやっているところを後ろで見ますよ。 それで、トランプで遊びに来たんですか?」


「うむ、大勢でやった方が面白いと思ってな」


 その後、桜食堂の手伝いをしている真田夫婦タダシさん・ヨシさん以外の全員を呼んで大富豪で遊ぶことになった。

 トランプのセット数を3つに増やして大富豪で遊ぶ。

 最初はノーマルルールで遊び慣れてきたら、ローカルルール全開で遊ぶ。

 激が付いたり、11バックだったり懐かしのルールを採用する・・・他にもいっぱいルールがあったが、細かくし過ぎると難しいのである程度でとどめた。

 異世界に来て、皆でトランプをやる事になるとは思わなかったな。


 そして、1番強いのがリョウタロウさんと言うのも驚きだ・・・というか、ジョーカーがリョウタロウさんに集まりすぎなんだよな。

 俺は、カード運が無さ過ぎる・・・革命とかで辛うじて勝負出来るようになるほど・・・

 はぁ・・・運が無いってのはきっついなぁ・・・


☆ 自転車のフリーホイール


 現在作成中の自転車は、フリーホイールが付いておらずずっと回し続ける必要がある。

 フリーホイールの機構なんて知らない・・・自転車を今まで使っていたが、知らない事ってのはあるもんだな。

 色々考えたが、自分の知っている物で1番近いのが工具のラチェットだろう。

 ラチェットの構造は、昔壊れたときに分解した事があるので知っている・・・だが、どうやってラチェットの構造を組み込むんだ?

 ノートに工具のラチェットの絵を描いて、ウンウン唸っているとケイタ君が声をかけてきた。


「カナタさん、それって何ですか? 何かのギアですか?」


「ああ、ケイタ君。 これは工具のラチェットを描いた物なんだけど・・・この機構を自転車に組み込んで、後ろに回したときに空回りするように改良したいんだよね」


「なるほど、フリーホイールを作っているんですか。 しかし、どうやって組み込むんですか?」


「それを考えてるところなんだけど、全然進まなくって・・・原チャ(50ccバイク)に使われてるワンウェイクラッチが使えればいいんだけど、重いし構造が難しいからメンテナンスなんかで支障をきたすかも知れないから使えないんだよね。 フリーホイールの作り方で、良いアイディアない?」


「流石に自転車は専門外ですね。 その描いてあるラチェットを1度作ってみたらどうですか? 現物を見ると何かアイディアが出てくるかもしれませんよ?」


「そっか、そうだね。 じゃあ、作ってみるかな・・・それならもっと機構を簡単にして・・・」


 ラチェット機構を作ってみた・・・と言っても、直角三角形の様な形の出っ張りのあるギアとただの棒を作っただけなのだが・・・

 ギアの上に棒を置き、一定の方向に回すときだけ棒がギアに当たる・・・それを見ながら考えていたが、全く組み込むアイディアが出ない。

 とりあえず、自転車作りに従事しているラッコングと鍛冶師のコンビにラチェットの機構と、機構を組み込んだ後の様子を言う。

 使えるかどうか解らないが、ワンウェイクラッチの構造も絵を描き説明しておいた。


 開発は一任して欲しいと言われたため、後は2人に任せよう・・・あれ? 自転車の作成って大丈夫なのか? 疑問に思い聞いてみた。


「弟子達が自転車の部品作成も組立作業も、一通り出来るようになったんです。 未だにスポークホイールの調整は全然ですけどね」


「そっか、ならいいんだ。 自転車にラチェット機構が組み込まれたら、馬車のように街中を走るようにしたいんだよね。 設計図を描いてくるから、組み込み作業が終わったら試作して貰って良い?」


「はい、任せて下さい! ソメイヨシノの皆様の頼みなら最優先でやらせてもらいます」


「うん、ありがとう。 でも、無理はしないようにね。 奥さんと不仲になっても俺は何も出来ないし・・・」


「はい、解ってます。 でも、必要とされてるんだったら頑張って来なって言われてますから、大丈夫ですよ」


 良い奥さんだ事・・・というか、俺も彼女欲しい・・・・

 約1ヵ月後に自転車に付けられるラチェット機構が完成し、試運転の後に販売をし始めた。

 ラチェット機構付きの自転車は今までの自転車の値段より3割高くし、ラチェット機構が付いていない自転車は今までの7割の値段で販売する。

 ボッタクリも良いとこの値段なのだが、発注が来ているらしい。

 やはり、新しい物好きの人間ってのはどこにでもいるようだ。

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