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努力の実る世界  作者: 選択機
第2.5章 冬の間の出来事(ウルフローナ編)
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冬の間(7)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

☆雪合戦とハンドサイン


 今日は盛大に雪が降っている・・・と言っても、足首くらいまでしか積もってはいない。

 そんな中でも、走りこみや組み手等は行う。

 足場の悪い中で行うことは、普段の戦闘においてもいい影響を受ける。

 だが、いつもと違う環境だと体力が減っていく・・・大人は、ゼェゼェ息を切らしている・・・

 一方で子供達は喜びながら、駆け回っているのだが・・・


 組み手等まで終わり、いつもは勉強に行くのだが今日は追加で雪合戦を行う。

 しかし、雪合戦の正式なルール等知らないので、壁を作り旗をとるか相手全員に雪だまをぶつければ勝ちと言う事にした。

 たぶん正式なルールでもそんな感じ何じゃないかと思う。

 折角なので、俺達12人をリーダーとして5人の生徒達と一緒に戦う事に・・・


 総当りだと時間がないためトーナメント式にして戦う。

 雪合戦のコートは4面作ってあるので、暇になったら好きに戦ってもらう。

 俺達12人が本気で戦えば無双してしまう為、投げていい雪玉の回数制限と旗をとる事を禁止となった。

 全部で4個・・・4個じゃ生徒全員を倒す事が出来ないのでそうした。


 かなり盛り上がったのだが、俺達が入ると最後は子供達の一騎打ちになってしまう・・・これじゃあ、訓練にもならない。

 それなので、次回からは俺達12人は雪合戦のコーチに回る事に・・・

 ジャンケンでスカウトする順番を決め、総勢6人の13チームで対戦する事となった。

 12チームじゃなく13チームになったのはフランソワーズ様率いる兵士チームも参戦する事となった為だ。

 もちろん兵士達にはハンデとして鎧を着たまま参戦してもらう事になっている。


 俺の作戦は、雪玉製造班と攻撃班を分ける事、攻撃班へ雪玉を転がして渡す事等を重点的に練習している。

 勝負は5日後となっているので、重点的な練習に加え玉の命中率アップ、回避行動のやり方等練習する事が出来るだろう。

 玉の命中アップは的に向けて投げてもらうのと、目を瞑った俺自身を的にして投げてもらう2通りの練習。

 回避行動の練習は3人一組となり、1人が円の中に入りその周りから2人が雪玉で攻撃する・・・狙われる1人は円の中から出ては駄目だし、狙う2人も円に入ってはならない。

 作戦の内容等は詳しく聞いていないが、それぞれが思うように作戦を立てて色々と練習をしているようだ。

 これで、俺達も指揮能力が身につくかも知れない。


 折角なので、雪合戦のフィールドも本格的な物にした・・・かなりフィールドを広くしたので色々な作戦が使用出来るし、壁や壕も作ってあるのでさながら世界大戦中の前線のような感じだ。

 今回は、旗自体があるわけではない。

 戦う6人の誰かがフラッグとなる・・・リーダーがフラッグになっているのか他のメンバーなのかは作戦で決める。

 リーダーを倒しても、フラッグとなる人が倒されて無ければ勝敗は決まらない。


 勝負がどんどん進む・・・ここで1番驚いたのはタクミ君のチームだ。

 1番安定して対戦している、なんと言っても玉を当てられての離脱率が物凄い低い。

 タクミ君チームは、喋りではなくハンドサインで意思疎通をしているので隠密性が高く、殆どの戦闘で奇襲を成功させている。

 隠密部隊でも作るつもりなのか・・・

 結局1位になったのはタクミ君のチーム、勝因は隠密性だろう。


 これを踏まえ、ハンドサインを作り皆に教えることになった。

 これにより、隠密性の高いシーフの真似事を出来るようになった。

 真似事と言って入るが、ギルドマスターのエミエミさん曰く、1流とまでは行かないが2流クラス上位くらいになっているようだ。

 素質が高くやる気もある生徒にシーフの特別授業をエミエミさん直々に教えてくれる事となった。

 その中にベトニアの姿もあった・・・殆ど1人で行動しているにもかかわらず、高い戦闘センスで上位に食い込む実力の持ち主。

 隠密が肌にあっているようだ・・・前に働いていたときも、余り前に出る職じゃなかったと言ってたしね。


 今後の為に色んな人と仲がいいユリと組ませて、コミュニケーションを学ばせていたが杞憂に終わりそうだ。

 逆にユリは、色々と吸収し色々と挑戦している様だ。

 俺が王都へ帰ってきたとき、ベトニアと結託して色々とやっていたようだが、今ではそれもなりを潜めているし良い方向に動いてるようだし言う事はない。

 セードルフとベトニアは、陰でこそこそやって入るがオモチから新しい神様を崇めていると言うのは聞いている。

 新興宗教の類ではないかとヒヤヒヤしたが、ただ祈り皆に優しくすると言うのが教えらしく今の所は放置でいいだろう。


 ハンドサインの基本形はタクミ君が作り、コノミちゃんに描いてもらって教本するようだ。

 俺達もハンドサインを覚えるが、教本の最終確認とかが俺じゃなくって良かった。

 事務作業はもうこりごりだしな・・・


真田夫婦タダシさん・ヨシさんと携帯食料 -タダシ視点-


 冬の間に、冒険者を目指す子供らの携帯食料を作成してやらんとな。

 この国の保存食は塩漬けの肉と乾燥させたパンのような物だ。

 人族の国では、醗酵パンが主流となり始めた辺りだという事を行商人から聞いた。

 食文化の進みが地球よりも断然遅い・・・魔物がはびこってるからなのか? 良くわからねぇな。


 どうも、建物に詳しいリョウタロウの見解では、この国の建築物のレベルは中世よりも前の建築様式に近く。

 武器に詳しいタクミの見解では、武器は中世の初期ごろの物が多い・・・

 しかし、食料と医療知識に限っては紀元前と大差ないのではないか? 何でこんなに差が開いたんだ?

 文化ってのは同じように育つもんじゃないのか?

 その事を、カナタに聞いてみた。


「地球でも戦争等必要に迫られた分野が急激に伸びるのは不思議じゃないですよね?・・・そう考えると、食事の進化は後でも大丈夫だと思われてしまったのでは?」


 そう言われた時は納得したが、食ってのは人間の3大欲求の1つだ・・・それをないがしろにするとはどういう事だ? と後で疑問が出た。


「魔物の食材等があり食料に困ったことが無く、調味料の値段が高すぎて困ってる。 こんな世界では味を求めるのは難しく、腹を満たせればいいと言う考えから調理が進歩したのではないでしょうか」


 カナタの言っている事は解る・・・納得してしまったが、食事が蔑ろにされるというのは悲しい事だ。

 食事というのは、心を豊かにし体を癒す・・・相手と仲良くなれるツールとしても使える素晴らしい物なのだがな・・・

 まぁいい、これから徐々に食事の重要性を広めていけば良いだけの事だ。


「あなた、クネッケブロード(クリスプブレッド)が、焼き上がったわよ」


「ああ、悪い、考え事していてな。 早速味見してみよう」


 今回作ったクネッケブロードはライ麦100%で醗酵させていない。

 保存を目的として作ったが、どの位まで保存出来るか観察をした方がいいだろう。


 クネッケブロードは、桜食堂の端に出したとたんに冒険者の間で有名になり、既に長期保存出来るパンとして重宝されている。

 味もさることながら、栄養価もかなり高い・・・現代でも見直され健康食として広く愛されている。

 こうして、冒険者の食事の改善・・・とまではいかないが、少しずつ良くしていかないとな。

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