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努力の実る世界  作者: 選択機
第2.5章 冬の間の出来事(ウルフローナ編)
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冬の間(3)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

☆クリスマス~年末と競技会(2)


 競技会3日目、もう2日もやってるので皆慣れてきてお祭りムードが最高潮に達している。

 折角なので、いつも量を調整して販売しているお酒も際限なく販売している。

 ただし、値段はいつもより高いしコップも持参してもらっての販売だ。

 雇っている農奴の人達や平民、奴隷達も、冒険者ギルドの貯金を下ろして楽しそうに遊んでいる。

 あれ? でも、自分達が渡したお金が戻って来てる? 深く考えるのは止そう。


 でも、あれだな・・・疲れや不満が溜まる前に、こんな風にガス抜きするのも良いかも知れないな。

 貴族が主導して売り上げを税金として徴収すれば国庫が潤い一石二鳥なんじゃない?

 あとで陛下に進言し、継続して行うかどうか聞いてみよう。


 3日目は、グロスさんが手伝ってくれることになりリョウタロウさんと俺は交代でお祭りを楽しむ事にした。

 先に色々見て回るのはリョウタロウさんだ。

 3日目で文官や兵士達も慣れているため、滞りなく進んでいく。

 交代の時間になり、俺はリョウタロウさんと交代して街中を見て歩く。

 もう新年に指しかかる所で寒いのだが、麻のコートを来て皆歩いている。

 麻の肌触りは最初はゴワゴワしていると言われていたが、洗う度に柔らかくなり今では下着にまで使用されている。


 木綿はあるのだが、かなり高く一般の職では手が出ない。

 ラムダーマトンの羊毛の方が今のところ少し安かったりする位だ。

 天下一〇道会の会場に着き、選手の入場口の傍にあるスタッフ専用入り口から中に入る。

 そこには、イベント等に使われるテントが張ってありフランソワーズ様や陛下、大将軍、奥方様と子供達、冒険者ギルドマスター2人、ソメイヨシノのメンバーがいた。

 というか、いつのまにテントなんて作ったんだ? 支柱はアルミのようだし、タクミ君製かな?


「おお、カナタ。 ようやく来たか。 この椅子に座れ」

 陛下が、長椅子の隣に手を出して言う。


「はい、陛下。 というか見に来てたんですね。 公務は大丈夫なんですか?」


「ああ、2日目以降は絶対見ておかなければと思って、全て終わらせてある。 しかし、昨日の八重桜学院の生徒の戦闘の方が凄かったな」


「それは、そうでしょうね。 冒険者達の技術と正規の兵士の技術の両方があり、斥候の技術もたたき込んでありますし、何よりもショウマ君の体捌きを基本として覚えてますから」


「しっかし、あの歳で技の読み合い、間合いの把握、なによりも負けたくないと言う気概・・・すぐに兵士になって欲しいもんだな」

 大将軍のヴォルスト様が、腕を組んで頷きながら言う。


「自分で望んで兵士になるのなら良いですが、無理やりやらせるのは止めて下さいね」


「そりゃ解ってるさ。 でもな、今戦ってる奴らを見てみろ・・・悲しくなって来るぜ?」


 そう言われ、戦ってる2人を見るとそれなりに戦っている様に見えるが、両方とも技なんて無く力でねじ伏せ様とした戦い方だ。

 正面から木刀で打ち合うことしかしない何とも言えない戦いだった。


「はい、初めてちゃんと戦っているところを見ましたが、こんなにLvが低かったんですね。 魔物との対決で良く生きていたものですね」


 大人しく見ていたが、本当にしまらない戦いだ・・・見てる人も飽き始めてるし・・・

 お菓子を摘みながら、お酒を飲み準決勝まで進む・・・1人は元騎士なのかレイピアを使った時のような動きで戦う冒険者、もう1人はライナ。

 しかし、面白みも無く勝ったのはライナ・・・突きを放った動きに合わせて懐に飛び込み横なぎの1撃を当て相手を場外にだした。

 もう1つの準決勝は、悲しくなるくらい力押しの対決・・・熊の獣人の人が上背を生かして1撃を当てて決勝へ。

 決勝での対決は、相手の力を受け流して気絶させてライナの勝ち。


 何ともしまらない対決になってしまった・・・そう思った時に、ライナから面白い一言が・・・


「1位になった! しかし、1度もショウマ師匠に勝っていない! 手合わせでは無く、本気で勝負してくれ!」


「おう! ならば、自分の得物を持って来い!」


 この2人の対決が始まるとあって、会場全体が大盛り上がりになった。

 時間も余っていたし、ちょうど良い余興だな・・・頑張って盛り上げてくれ! 2人とも。

 防具を調えてるショウマ君に話し掛ける。


「ショウマ君、出来ればライナのために回避と受け流しを見せてあげられないかな?」


「ん? 何でだ? 全力で相手してやった方がいいんじゃないか?」


「全力でやるのはいいんだけど、ライナって疲れてくるといつも攻撃が単調になるでしょ? 武器を使った鍛錬で体を鍛えてるみたいだけど、持久力アップの為の単純なマラソンは苦手みたいで、少しサボり癖があってさ。 弱点を指摘しつつ勝って欲しいんだけど、出来る?」


「なるほど、環境を変えての指導って事か。 その話乗ったぜ。 でもよ、カナタさんって良く他の人の事見てるよなぁ・・・感心するぜ」


「そう? 褒め言葉として受け取っておくよ。 じゃ、いってらっしゃい」


「おう! 任せておけ」


 よし、これで少しは時間が稼げるな。 もう少しだけ、のんびりした雰囲気を味わいたいんだライナ頑張れ。

 結果、開始1分ほどでショウマ君がライナの持ってる剣の横腹を裏拳で殴って、剣が場外まで飛びライナが降参して終了となった。

 おいおい、根回しの意味すらないじゃないか・・・


「ケイタ君! 折角陛下や王家の皆さんが見に来てるんだから、ショウマ君とデモンストレーションで対決できないかな?」


「ええ、最近は魔道具ばかり作っていて、自主鍛錬が出来ていていなかったのでいい鍛錬になりそうですね。 いってきます」


 ショウマ君とケイタ君の対決は30分ほど続き、ショウマ君が地面を殴って割ってしまったので引き分けという事で終わった。


「話には聞いていたが、これ程とは・・・カナタよ、鍛錬に行っている兵達の人数を増やしていいだろうか?」


「教えるの自体は構いませんが、現在で300人越えですので敷地が足らないですね」


「うむ・・・確か隣は建設がまだであったはず。 即場所を確保し連絡を入れる」


「はい、了解しました。 整地などは私どもがやっておきますので」


「ああ、出来る限り大きな場所を提供しよう」


 場所ゲット! 出来れば全寮制にしたかったから大きな場所が貰えるのは嬉しいな。

 寮を建てれば、両親のいない子供も奴隷出身の子供も生活出来るし、集団生活に少しは慣れるだろう。

 集団生活に慣れておけば、初めてのPTに入ってもそれなりに出来るだろう。


 さて、後は片付けをして冬支度をするとしよう。

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