冬の間(1)
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☆カナタと死神
「あぁ! もう、なんか集中出来ないな・・・」
俺はこの時、ナショウの事を聞いて色々やらなければいけないのに全く集中出来なくなっていた。
むしゃくしゃする訳でもないし、なんか考えが纏まらないそんな感じだ。
「よし、こんな時は八つ当たりだ!」
そう考え、鎧を着ないで私服のままで門の外へ出ると人や魔物がいないかギフトと聴覚を使用して確認する。
特に障害になりそうな物がいないことを確認し、髑髏の兜とボロボロのローブに着替え魔鉄で出来た大鎌を持ち誰もいなさそうな方向へ向かう。
近くにオークやゴブリン、トウグ等がいる今の所誰もいない小さい森の前の草原に陣取り花火を打ち上げる。
大きな音と振動が大気に伝わり、魔物がゾロゾロと出てくる。
大鎌で、出来るだけ綺麗に首を落としていく・・・しかし、数匹切った所で切れ味が落ちてきたのが解る。
思ってたよりも切れ味落ちるの早いな・・・振る速度をあげて首を切っていく。
粗方片付くとマジックボックスにしまう。
仕方ないので大鎌をしまい、戦斧を出して次へ・・・数個の魔物の群れを殲滅し、最初の場所よりも少し街道近くの大きめの森へやってきた。
まだ街道から遠いから大丈夫だと思うけど・・・いや、やっちゃおう! なんたってストレス発散になるし。
今度は数匹ゴブリンの魔石を取り、魔法で切り刻みを森と草原の間に撒き風魔法で臭いを送り花火を打ち上げる。
ゾロゾロと森の間から魔物が出てくる・・・あれ? 思ってるより多くない? ギフトで見た時そんなにいなかった気がするんですけど・・・
面倒だからって聴覚での索敵を怠った俺のミスかな・・・まぁ、やるしかないか。
出てくるオーク、ゴブリン、トウグ、エテグラットン、ラムダーマトン、グルングロッコ、ジャイアントアント等々多くの魔物が出てきて俺目掛けて襲ってくる。
魔法も使い出来るだけ素材を傷つけないように1撃で首を落としていく。
勿体無いので、殺した魔物を生きてる魔物に踏み荒らされる前にマジックバッグにしまい戦闘を続ける。
倒してマジックボックスにしまい、倒してマジックボックスにしまい・・・頭の中にはもやもや等存在しなくなり完全に無心での作業と化していた。
そのうち魔物はいなくなり、帰るだけになるはずだった。
あ、まずい・・・冒険者の集団がこっちに来ている。
なんかまずい事が起こるかもって思ったのだが、遠巻きに様子を窺がっているだけのようだ。
良かった・・・サッサと片付けよう。
骸骨の面を被った人が、魔物の命を草のように刈っていた・・・あれは死を振りまく者だ。
死を振りまき、死を司る・・・死の神、死神が現れた。
その様な内容の噂をオモチから報告され、やりすぎたかも・・・と思うのだった。
☆飛行魔法と転移魔法
「なんでなんですか! 箒で空を飛ぶアイディアを下さい! お願いします、カナタさん」
ミズキさんが俺に頭を下げる。
何でこうなったかと言うと、飛行魔法を一緒に考えてほしいと言われ一緒に考える事に・・・
飛行する為には最低でもムササビスーツくらいは必要だと結論ずけ、前面から受ける空気抵抗が大きい事と、浮くのも風を受ける面積が足らないこと等の理由で箒だと無理だと言ったらこうなった。
「だから言ってるでしょ? 箒に乗った形だと風を浮ける面積が無さ過ぎるって。 ミズキさんならジャンプのように飛びあがれるかも知れない。 でも、下手すると亜音速くらいの風を浴び続けなきゃ浮かないんじゃないの?」
「なるほど、亜音速の風を下から浴びるんですか。 なるほど、やって見ますね」
「待って! 待ってって! 俺達は装備や筋力で何とかなるかも知れないけど、周りが壊滅的な被害を被るからやめて。 街どころかここら辺一帯が無くなるよ」
「じゃあ、周りに被害が出ないようにガードしますよ」
「本当に止めて、危険だから・・・頼むよ」
「仕方ないですね。 では、転移魔法はどうですか? 良くあるように紙に点を2つ書き、紙を曲げて点同士を近づけるというのは出来ないようなんですけど、何とかなりませんか?」
「昔どっかで聞いたんだけど、空間を捻じ曲げて転移する時のエネルギーは異常なほどの量らしいよ? そんなエネルギーがあるならロケットの様に飛んだ方が早いんじゃない?」
「それじゃあ、転移は不可能って事ですか? 魔法があるのに?」
「魔法は万能じゃないでしょ? でも、転移は完成させたいよね。 でも、どうすれば良いのか見当もつかないよ」
「カナタさんでも思いつかないなんて・・・どうすればいいんでしょうか・・・」
「ケイタ君に聞いて見た? ケイタ君の方が色々知ってると思うけど」
「もちろん聞きましたよ。 まず箒で空を飛ぶのは、絶対零度の超電磁誘導を使用するか、マントルの移動を使用した地殻の圧縮を利用しハドソ〇湾の様に重力を軽減するのが早いと言われました。 転移魔法は今のところ不可能に近い物だそうです」
「流石ケイタ君、重力を軽減なんて出来るんだね」
「はい、私も始めて聞きました。 でも、重力を軽くすると気候が変わったり地形が変わったりしますよね」
「そうだね、止めておいた方がいいかもね。 とりあえずエルフの里に行ったら聞いてみるから、今は我慢してね」
「解りました」