第188話 雑務
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「なるほどね。 出来れば捕まえたかったけど、雨が降ってたのなら追うのが難しいだろうね。 無理をしてもいい結果が出るとは限らないし、任せろっていってるんだからフランソワーズ様に任せよう」
「はい・・・それと、その貴族が使っていた屋敷を買うことになりましたので何に使いましょうか?」
ケイタ君がメガネを直しながら言う。
「貴族用の料理店兼販売店にすればいいんじゃない? 子供達に後進を譲れば、タダシさんとか手持ち無沙汰になるって言ってたし」
「良かった。同じ考えですね。 屋敷は大々的に作り変えようと思います。 計画で出ているのは和風な屋敷ですね」
「それは任せるけど、和風な屋敷って何? 武家屋敷とかそんな風な奴?」
「そうです。 と言っても、見た目が違うだけで現代日本の家のようにする予定です。 そこで質問なのですが、床暖房の詳細は知っていますか?」
「いや、お湯を循環させるとか位しか解らないかな」
「そうですか。 やはりマジックハウスにするのがいいようですね。 それまでは今の屋敷を改修して使うことにしましょうか」
「あ、その改修なんだけど冒険者とか現地の人を使えないかな? お金が俺達の手元に残りすぎちゃってるからさ」
「はい、リョウタロウさんも同意見だった様で、冒険者ギルド等に依頼を手配済みのようです」
「そっか、仕事が早いね。 他には何かある? なければ、冒険者ギルドに依頼の完了を報告して来ていいかな?」
「急を要する物はないですね。 その他は、書類室に全部運んであるので目を通して置いて下さい。 それと、承認用の判子が出来たので渡しておきますね」
そう言われ、判子とインクを貰いマジックボックスにしまうと冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドの中はそれなりに賑わっていた。
全く見た事もないような冒険者も何人かいるが、遠目から見るだけで何かしようとする気はないようだ。
セネラさんの列に並んでいた冒険者達がこちらを見て横にずれると、「お先にどうぞ」と言ってくる。
なんだろう? まぁいいけど・・・前に1歩出るとどんどん前が開いていく。
1番前に行くと、ごねていた冒険者も横にずれて「お先にどうぞ」と言ってくれた・・・本当になんなんだろう?
「おかえりなさい、カナタさん。 今日は、どういった用件ですか?」
セネラさんが笑顔で言う。
「クエストの報告とギルドマスターへの報告ですね。 混んでいるようなのでギルドマスターへの報告を先にします」
「そうですか。 ソメイヨシノの方はそのまま通してもいいと言われてるので、2階へ上がって下さい」
そう言われたので、ギルドマスターの執務室へ行きノックをして中に入る。
「あら、ミズクサの街から帰ったのね。 何かあったのかしら?」
「もう聞いていると思いますが、間者と思われる者を捕らえて運びました。 あと囮の護送にミズクサの街の冒険者ギルドマスターが来ます」
「全部聞いてるわ・・・でもまさか、あの子まであっさり負けるなんて・・・戦いの様子を教えてくれないかしら?」
「あの子? って誰ですか? どの戦いを聞きたいのか解らないんですが・・・」
「ああ、ごめんなさい。 ミズクサの冒険者ギルドマスターとの戦いを聞かせてもらえる?」
あの子って言ってるって事は、弟子とかそんな感じなのかな? まさか息子? まさかな・・・
戦いの詳細を話すと、頭を抱えため息を吐く。
「聞いていたのとだいぶ違うわね。 まさか、お遊びで相手をされていたなんて」
「いえ、訓練に付き合ってもらっただけですよ」
「同じ事よ! 訓練していたなんて言わないで頂戴ね。 でも、足が治る可能性があるのは行幸ね」
「そうですね。 ギルドマスターの膝が治れば、一般人への魔物の脅威も少しは減ると思いますし」
その後、倒した魔物の話もして冒険者ギルドの受付に行く。
「セレネさん、クエストの完了をお願いします」
「はい、クエスト受領証を出して頂いて良いですか?」
クエスト受領証を渡し確認してもらう。
「え~と・・・報酬はカードにお預かりで良いですか?」
「え? 現金で渡せないって、そんなに高いの?」
「報酬を見ないで受けたんですか? 金額は、ここに書いてありますよ」
受領証の金額の所を指差され、金額を確認する金貨3枚となっていた。
なんだ、金貨3枚か・・・もっと凄い金額なのかと思っちゃったよ。
いや、十分凄い金額か・・・今手持ちに金貨20枚近くあるし、預けちゃって良いかな。
しかし、お金がどんどん溜まっていくな・・・・こうなると、お金を使うのは急務と言えるよね。
急いで皆に相談しなきゃだな。
お金をカードに預けてもらい、ポテトチップスとポップコーンを渡して屋敷へ帰る。
屋敷に着くと、コノミちゃんがコスプレで出迎えてくれた。
赤いコートでアホ毛が立ちゆるい三つ編み、右手と左足がメタリックになっていた。
「お帰りなさい、カナタさん。 賢者の石は見つかりました?」
「いや、せめて物真似まではやろうよ。 折角そこまで作りこんだんだから・・・でも、体格的に俺がコノミちゃんを兄さんって呼ぶ感じになるのか?」
「駄目ですよ。 可愛く無いですし、何よりフルプレートを着てないじゃないですか」
「それもそうだね。 でもさ、女の子キャラのコスプレの方が良いかな。 今までやったのって全部男キャラでしょ?」
「え~、何のキャラをやればいいんですか・・・私に似合うキャラってありますか?」
「黒髪ストレートなんだから何でもいける気がするんだけど・・・何か好きなキャラってないの?」
その後、玄関先でどのキャラが似合うかと言うとってもどうでも良い話し合いを経て、晩御飯に呼ばれる。
晩御飯を食べ終わると、冒険者に依頼する魔物のことを相談しセードルフが明日にも依頼を出してくれることになった。
その依頼は、解体と血抜きは冒険者ギルドでやるという条件も付け加えることにした。
せめて一定のライン以上の食材が欲しいしね。
俺は、学校の教材でもある教科書が変じゃないかどうか最終確認をするのと、桜食堂・桜商店の収支報告、子供達の討伐報酬の内訳や支払い、農奴の人への報酬分配と雇っている人達への給料の計算、他にも道路の建設計画表の確認や貴族街の屋敷の改修計画書等々を確認しないといけないらしい。
追加で、ミミリさんの木材店への発注確認・収支確認、ヒリスさんの骨細工所の収支報告、ニムロフさんの革細工の発注確認と収支報告等も送られて来るとのこと、アイディア料は要らないと言っているのだが払ってくれるようだ。
錬金や治療院、鍛冶場からの収支報告は全く関わっていないのと同じなのでやってくれたらしい。
それだったら食堂もやってくれればいいのに・・・と思って聞いたのだが、食材は農奴から買っているという事にしてあるので俺が確認した方が良いという流れに。
折角、ナショウがもうすぐ来るって言うのに、こんなに仕事してたらデートも出来ないな・・・
アヤコさんからも、話があり聞いて見た・・・なんと家で使っている石鹸を売り出したいという事だった。
花を搾りエキスを取り出し入れているので、良い匂いがしてかなり高級感があり欲しがる人がかなり多いんだとか。
あとは、それに伴い浴場の建設をしたいとのこと。
なんでも、新品の服なのに触られると汚れてしまい大変なことになっているらしい。
ヨシさんも浴場建設して欲しいらしい・・・手が汚れたままなのに手づかみで食事をとる人が未だに絶えないそうだ。
俺って屋敷にいる時の方が大変なんじゃない? 出来れば逃げ出したいんですが・・・
良し! 今日は疲れてるから、明日から頑張ろう! ダイエッ〇は明日からって言うしね。