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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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王都騒乱(3)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

-ケイタ視点-


「おい、地面が溶けてるぞ・・・やべぇんじゃねぇか?」

 ショウマが体勢を整えいう。


「ウィンドカッター」

「うぉ、あぶねぇ」


 僕は間髪を入れずに男性の首を落とす・・・射線上にショウマがいたが、当たるようなヘマはしなかったようですね、掠る位はすると思ったのですが。

 男性の首が落ち、前につんのめる形で崩れる・・・これでお終いですか、あっけない物です。


「おい! ケイタ、てめぇ喧嘩売ってんのか? もう少しで当たるところだったんだぞ!」

 ショウマが胸当てを掴みながら言う。


「しかし、当たらなかったでしょう? あのまま戦ったら怪我をする恐れがあったんですよ?」


「そう言う問題じゃねぇだろ! だいたいな・・・」

「待って! 後ろ見て!」

 タクミが、驚いた表情で盾を構える。


「おいおいおい・・・首を拾いに行きやがったぜ? どうなってるんだ?」

 ショウマが驚愕の声を上げる。


「ショウマ! 心臓目掛けて、空気の塊を撃って下さい!」


 ショウマは「おう」と言うと男性の背中に向けて、右ストレートを放つ・・・上半身が吹き飛び右手の付け根が辛うじてくっ付いてる状態になった。

 流石にこれで終わったでしょう・・・一応構えを解かずにいると、ズリズリ引きずるような音がして吹き飛ばした肉片が集まって来ている。


「なんだよこりゃ。 粉微塵にしても死なねぇのか?」


「フラン様、申し訳ありません。 証拠を残したかったのですが、燃やしてしまうしかないようです。 よろしいですか?」


「ああ、こんな化け物を野放しにも出来ん。 頼む、燃やしてくれ」

 フラン様がしかめっ面で言う。


「待って下さい! 私が燃やします」

 顔色が悪いユカさんが言う。


「いえ、無理はしないで下さい。 見知った顔の人を攻撃するのは、精神的に追い詰められるでしょうから」


「大丈夫です。 元は私の撒いたタネです・・・私が刈らないと」


「解りました。 しかし、無理はしないで下さい。 きつかったらすぐに代わります。 皆さん、体液を燃やすと有毒かも知れないのでマスクを鼻まで伸ばしエアヴェールをお願いします」


 魔法を使うとユカさんは前に進み、1番大きな肉塊の下半身に向けてファイヤーボールを放つ・・・脚がバタバタと動き燃えていく。

 他の肉片の動きを見るため、ユカさんの隣へと移動する。

 男性の頭の部分も燃え始め、よく観察すると未だに口を動かしていた・・・「殺してくれ」口の形からそう言っているように見えるが詳細は解りません。

 生物は痛みを恐れ死を恐れた、死にたいと考える時点で生物と呼べないのかもしれませんね。


 ならば、魔物は生物ではないのでしょうか? 魔物同士の戦いだと、怪我をしたりすると逃げると聞きましたので、生物といえるかもしれませんが・・・

 しかし、人間だと何故逃げないのでしょうか? 魔物は人間を襲うようにインプットされているのでしょうか? 解りません。

 肉片が燃え尽きるのを待っている間そんな事を考えていた。


 その後、フラン様が外に控えてる兵士を呼びこみ隅々まで捜索が行われ、捜索が行われている最中は王都の出入りは禁止にするように伝令が走った。

 特殊な薬品の臭い位しか残っている物は無く・・・捜索は困難を極めている。

 しかし、外は雨が降り薬品の臭いすら消えて追うことが難しくなり、捜索が中止になるのも時間の問題でしょうね。


 燃え尽きた男性の遺体から、歪なかなり大きい魔石が7個と大きめの魔核が6個見つかった。

 しかも、かなり小さい魔石・魔核も所々にあり、男性の遺体は魔物の群体となっていたみたいですね。

 この群体を作成し軍事利用されれば、かなり大変な事になるんでしょう・・・

 ましてや、遺体に対してこのような仕打ちをする等正気の沙汰とは思えませんね。

 ユカさんが気落ちしているので、ヨシさんを筆頭に女子会が開かれるようだ・・・早く元気になってもらいたいですけど、こればっかりは時間がかかるでしょうね。


 次の日、フラン様から賊と思わしき男を見つけたが逃げられ捜索してる旨を教えられた。

 どうやらエルフの里の方角へ向かったようだ・・・しかし、証拠を綺麗に片付け誰にも見られていないのに何故逃げたのでしょう?

 シラを切りとおせば何事も無く終わったと思うのですが・・・となると、囮の可能性が高いですね。

 今から捜索の手を広げても無駄足に終わるでしょうが、一応進言だけしておきましょうか。


「叔父上からも同じ事を言われたぞ。 しかし、囮として逃げた者を捕らえれば少なからず情報が得られよう。 いつ逃げたのか解らぬ犯人よりも、目の前の囮を追う選択をしたのだ」


「なるほど、解りました。 しかし、門での検査の強化は続けた方がいいと思います。 せめて5日程は」


「何故だ? 犯人も囮も外に出たのだぞ? 検査の強化を続けても無意味ではないか?」


「そうとも限りません。 この魔物作成が人為的に起こされた物である事は解っていますので、結果を調べる人間が街に残っていても不思議ではないのです」


「なるほど、明日には検査の強化を解除しようと思っていたのだが、見合わせるとしよう。 話が変わるが、もう1つ皆に伝えねばならぬ事がある。 死人ゾンビの発生は、この近隣諸国でも発生している」


「まさか、あのゾンビが量産されていたと?」


「いや、普通のゾンビだ・・・が、発生数が異様だ。 ウェーブで亡くなった人の遺体が半数以上がゾンビになってると思われる。 前にも言ったがゾンビは自然発生する事象が少ない・・・なのに、近隣諸国で大量発生しているなどおかしいと思わんか?」


「まさかそれも今回の犯人、もしくは犯人の仲間の仕業だと?」


「いや、解らん。 しかし、可能性は高いと思うがどう見る?」


「僕もそう思います。 ですが、ゾンビを発生させてどうしたいんでしょうか? 街を混乱させるにしてもゾンビくらいじゃ何も起きませんよね?」

 

「そうなのだ。 ゾンビ等油をかけ燃やしてしまえばどうという事はない・・・そんな事は解っていると思うのだが」


「軍事利用の線はありませんか? 死んでしまったとしても、もう1度戦わせれば少しは・・・」


「ないとは言えぬ・・・だが、どちらを襲うか解らぬ魔物など軍事利用出来るとは思わん。 魔物を軍事利用をするのなら、魔物を手なずける方がよほどリスクが少ない。 もしくは呪われし召喚魔法を使うかだ」


「呪われた? 召喚魔法は禁忌か何かなのですか?」

 

「そうだ。 昔勇者様が使った魔法と似た魔法であるのだが、召喚した魔物に魔物や人を大量に食わせてしまうとこの世界に居付いてしまうのだ。 食わせる前なら主従契約で帰すことが出来るのだがな」


「似た魔法という事は、オリジナルは違ったんですか?」


「詳細は残っていないが、召喚された魔物は魔法を使い勇者様を助け、勇者様を乗せて飛んだとされている」


「なるほど。 違う魔法かどうかは解りませんが、危険だという事は解りました」


「ああ、そうしてくれ。 最近の噂では帝国が召喚魔法の再生を成功させたと聞くのでな」


 再生? という事は、召喚魔法は途絶えていた魔法なんですかね? しかし、物を食べさせなければ荷物運びや何かに使えるので便利だと思うんですが・・・

 後は任せろと言っていましたし、僕達はいつも通り過ごしましょうか・・・

 しかし、この雨はいつやむのでしょうね。


◇◆


-ユカ視点-


「待たせてしまってすまない。 元伯爵婦人の名前をちゃんと調べてきたぞ。 ミルリアム・ドルアンガウンと言う名だ。 息子はアウンガミル・ドルアンガウンだ。 しかし、女子会とやらの時にも言ったが、あれは魔物なのだ・・・気にやむ必要等ないのだ」

 フランちゃんが名前をかいた紙をテーブルに置き言う。


「それは解っています。 しかし、1人ぐらいは名前を覚えてあげててもいいじゃないですか。 血縁者の方は葬儀もしないと言っていましたし」


「ああ、反逆罪か国家転覆罪か・・・庇い立てすればろくな事にならぬから仕方がないのだ」


「それも解っています。 でも、1人くらい祈る人がいても良いと思います。 私は恨まれていたようですから要らないと言われちゃうかもしれないですけどね」


 私は、この出来事の後にLv99の壁を乗り越えていた。

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