第182話 魔法研究
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『ミズキさん、魔力眼で見てるから日本語で魔法使って見て』
『はい、ウォーターボール!』
ミズキさんは、手を前に出して日本語で魔法を唱えるが水が出ない。
『魔力は外に出ているから魔法を使おうとしたのは解った。 でも発動しないって事は言葉が発動キーなんだね』
『その様ですね。 しかし、魔素がどのように関係しているのかは解りませんよね』
『うん、そうだね。 そこでミズキさん、新しい魔法を作ってもらっていい?』
『どのような魔法ですか? 周辺の魔素を使い切るような魔法とかですか?』
『いや、最初はそう考えてたんだけど危ない気がするから、周辺の魔素を自分の命令にのみ従わせるような魔法がいいな。 漠然としてて申し訳無いけど、出来たりしないかな?』
『出来るとは思いますが、私も漠然としたイメージしかないので上手くいくかは解りません』
その後、魔素の服従の魔法の開発をしたが上手くいかず、ルーリンの家に行く。
家には既に全員が集まっており、食事のリクエストを聞く・・・と言っても、俺とミズキさん以外は料理の名前なんて解らないと思い材料をリクエストして貰った。
予想の通りと言うかなんと言うか「肉料理」だそうだ・・・
マジックボックスの中に入ってるのは、肉まん、焼き鳥、アスパラの肉巻、人参の肉巻、豚の角煮、チャーシュー、ミルフィーユトンカツなんだけどどれがいいかな?
でも、ほとんど真田夫婦が作った物だし出来れば使いたくないんだよな。
そうなると、なんか良い案は・・・そうだ!
「質問なんだけど、この街で生で食べられる野菜ってある?」
「ありますけど、どのような野菜ですか?」
商人に奉公していた子が言う。
「サンチュって解る? お肉を巻いたり、サラダにして食べる奴」
「サンチュですか? サンチュは解りませんが、ナガチシャと言う野菜は生のままでお肉を巻いて食べるという事を聞いたことがあります」
「そっか、そのナガチシャって今も売ってるの?」
「昔は解毒薬の原料として使われていたんですが、今は他の物が使われているので余り流通していないかと・・・」
「はい、ナガチシャならウチの庭に生えてますよ? ちょっと苦味があるんですが家族みんな好きなので育ててるんです」
ルーリンが手を上げて言う。
「1度見せて貰っていい? お肉を巻いて食べれるなら使いたいんだけど」
「いいですよ? ついて来て下さい」
ルーリンを先頭に皆で庭に行く・・・庭には薬草や毒草、薬茸など様々な物があった。
「おお、ナメコがある。 椎茸もあるね、こっちはシメジだ・・・あ、ごめん。 ちゃんとついて行きます」
数箇所から生えているナガチシャをみると、1m位の高さの幹? 茎? からサニーレタスのような葉っぱがびっしり生えている。
下の大きな所から食べるという事なので、1番下の大きな葉を千切って食べてみる。
言われていた通り、少し苦味があるが美味しい。
「ルーリン、これのタネってある?」
「はい、確かありますよ? キノコだけは粉で生えるので無いですが」
「うん、それは解ってる・・・そのタネと今生えてるナガチシャを売ってくれない?」
「いえいえ、差し上げますよ。 もう少ししたら、ナガチシャから花が生えてタネが出来ると思いますから」
「ん~じゃあ、今から皆で食べるオーク肉と交換ってことにするね。 皆はルーリンに感謝しながら食べるように!」
謙遜しているルーリンに外で肉を焼いても大丈夫な場所がないか聞き、ナガチシャの葉っぱを多く摘んでから移動する。
お昼のメニューはサムギョプサルだ。
辛みそが無いから、味噌とニンニク、生姜、砂糖、鶏がらだしを濃くした物を混ぜ簡易的な味噌を作り、玉ねぎを薄くスライスして、人参を細切りにして豆モヤシと一緒に沸騰したお湯をかけておく。
あ・・・キムチないじゃん。 まぁいっか、ここまできてからメニューの変更なんてしたくないし。
バーベキューセットを出し、備長炭を火の魔法で熱して着火し上に鉄板を置く。
網でも良かったのだが、網だと火が急激に強くなる可能性があるので止めた・・・鉄板の上に塩コショウ等でした味をしっかり付けたオークのバラ肉を置いて焼く。
良い匂いさせながら焼けた厚めに切ったバラ肉を、一口大に切る。
ナガチシャに味噌を塗りモヤシ等の野菜を置いて、切ったお肉を数個置いて無理やり巻いてルーリンに最初にあげた。
「ルーリンが1番最初、ナガチシャのお礼ね。 皆は、作り方みてたから解るでしょ? 自分で作ってみて良いよ」
1つ自分でも巻いて食べてみた・・・オークに下味をガッツリ付けたけど、焼いた時に出た油で流れちゃってる。
そのまま食べても美味しいが、野菜があるから味噌を塗ってちょうどいい感じだな、上出来。
ナガチシャに溢れるほどの肉を乗せ、悪戦苦闘しながら食べているナショウを見てちょっと笑ってしまった。
口に頑張って詰め込んで食べているので、文句も言えないようだ。
手も汚れていたので水を出して手を洗ってあげて拭くと、恥ずかしそうに下を向いていた。
他の子も汚れていたので同じようにやってあげ、俺も食事に戻る。
何となくだが、視線が痛い気がする・・・これが噂に聞くハーレム状態って奴か? そんな事はありえないのは知ってますとも。
昔良く言われていた様に、遊んでいたとか慣れてるとかそんな事だろう。
皆で楽しく食事をして、冒険者ギルドへ移動する。
受付に行き、サブギルドマスターを呼んでもらう。
サブギルドマスターが来る間に、先にクエストの達成報告をして欲しいといわれ冒険者ギルドカードを渡し読み込みが終わるとすぐに返される。
そんな事をしていると、サブギルドマスターがやってきた。
「お待たせしました、カナタ様。 ワイバーンの討伐、グラントエクビスの討伐、その他の魔物の討伐等、本当にありがとうございます」
ん? 先に帰ったのに何でワイバーンを狩ったことが解ったんだ? 斥候に調査でもさせたのかな?
「いえいえ、利害の一致ですのでおきになさらず。 じゃあ、報酬をお願いします」
「それなのですが・・・乱気流の石はお渡し出来ません。 現在ギルドには2個しか無いのです。 もちろん発注をかけているんですが、1年ほど入って来ていないのです」
「そんなに待っているんですか? それなら自分で作った方が良いと思うのですが・・・」
「作れる人はそれなりにいるのですが、材料が問題なのです」
乱気流石をカウンターに置き言う。
「材料と言うと・・・周りの銀の部分がミスリルとかですか?」
「いえ、石の部分が重要なのです」
「綺麗な石ですけど、そんなに重要な物なんですか?」
「これはダンジョン産の石で発魔石という物で、魔力を蓄え一気に放出する石なのです」
「ん? 魔晶石と何が違うんですか? 魔力を溜めて発動させるというのは一緒な様な気がしますが」
「魔晶石は、使用者本人の魔力を蓄えて使用するとゆっくり魔力が出て行きます。 発魔石は、使用者本人の魔力を入れる事は出来ません。 ですが、置いておけば自然に魔力が回復する石で、使用すると一気に魔力を使い果たします」
「自然に魔力を回復ですか・・・それを応用出来れば魔力を使わない魔道具が開発できそうですね」
「そう上手くはいかないのです。 発魔石は使用回数があり、回数を重ねるごとに威力が弱くなってしまいます」
しかし、上手く使えれば太陽光発電のように使えるんじゃないのか? ぜひ手に入れて調べたいな。
陛下に頼んだらすぐに頼んでくれたりしないかな? 王都に行ったら聞いてみるか
「そうなんですか。 手に入れた場所はどこですか?」
「入手箇所は、ダンジョンの宝箱・・・」
その時、ギルドの扉が大きな音を立てて開き若い冒険者の6人が入ってきて、隣の受付に行き大声で言う。
「ギルドのサブマスターに聞きたい事がある! 取り次いでくれ!」