side story 瑞稀
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私は、子供の頃から魔法使いになりたかった。
変身する魔法少女も好きだったし、尖がり帽子の魔女も大好きだった。
杖一つで炎や風を操ったり出来ることに、強く憧れている。
今もそうだけど、子供の頃からアニメ・映画でファンタジーがやっていると食い入るように見ていたみたい・・・両親からそう言われた。
超能力も好きなんだけど、やっぱり魔法使いになりたい・・・
小学校の文集でも、将来の夢は魔法使いとなっているのは・・・消したい過去・・・黒歴史なんだけどね・・・
小学校に上がる頃には魔法使いは物語の中だけということはわかっていた・・・んだけど・・・やっぱり憧れは消せなかったな・・・
中学生の頃、おしゃれとかに気を使っていなくて、アニメをものすごく見てたから・・オタクと言って馬鹿にされてた。
学校であって話をするくらいの友人は居たんだけど、終わったら家に帰ってTV見たかったから、付き合い悪いと思われていただろうな・・・
高校に上がってもそこまで変わらなかった・・・だけど・・・いじめの標的にされた・・・
オタクで気持ちが悪いといって、陰湿な陰口を言われたり、机に落書きされたり、靴を隠されたり。
やっぱりいい気はしなかったけど、同じような友人がいたし、特に不便は感じなかった。
魔法使いになれないけど、声優になりたいと思ったから相談した。
親の反対がすごく、親にいつも迷惑をかけていたから、そこまで反発出来なかった・・・
ちゃんと家族で話し合った結果、大学を卒業して資格を取り、それからなら自分で決めていいと言われた。
頑張ろう、声だけでも魔法使いに!
高校3年の受験が終わってから友人がイメージチェンジをした・・・可愛くなった・・・魔法みたいだった。
大学に行ったら私も友人のようになれるのかな?・・・いや、なってみたい!
大学に入るまでかなり努力した・・・ファッション雑誌を読み、メイクを学び、美容院に行って伸びっぱなしだった髪をショートにして、体型に気を使い・・・
もちろん、アニメとかは見る時間が減ってしまった・・・
イメチェンは大成功したが・・・面白くない・・・アニメや映画・漫画を見ていた方が面白かった・・・
大学に入って、いきなり告白された・・・告白して来た人は、高校の頃に散々馬鹿にして来た男・・・何なの? 見た目が変わっただけで、気持ち悪いって言ってた私に告白って・・・気持ち悪い。
告白断ったら、高校の事をばらすと言ってくる・・・本当に、気持ち悪い・・・二度と近づかないで欲しい・・・ちゃんと、お好きにどうぞって言っておいた。
その後も何故か、1日に何度も告白された・・・でも、なんとなく自分じゃない人へ告白されている感じがしたんだよね・・・なんでなんだろう?
今まで『オタク』だの『気持ち悪い』だの散々馬鹿にされ、挙句に『菌が発生』する事もあったから、こんだけの人に告白されるのって、嬉しいと言うより、他人事のような感じになっちゃうのかな?
サークルに入るか迷ったが、漫画は描けないし、好きなアニメは偏っているし・・・どうしようか悩んだけど・・・結局一人が楽かなって思って・・・
そんな時、バスが異世界に転移した!
内心ワクワクが止まらない・・・魔法がある世界だったらいいな~私も使えるかな?
ううん、魔法を使うんだ! どれだけ努力しても使う! そう決めた!
好未ちゃんは、ずっと泣いていた。不安なんだろうな~って思う。
私みたいに、魔法使いに! とか考えてないだろうし、普通は不安になるよね。
夜に、リーダーやっていた榊原さんが、話したいって好未ちゃんを呼び出し話していた。
そこから好未ちゃんは、泣かなくなった・・・どんなに慰めても泣いていた好未ちゃんが・・・・
すごい! 物語の勇者とか賢者に見える。
「皆さんに心配をおかけしました、もう大丈夫です」
好未ちゃんが、私達に頭を下げてくる。
「大丈夫! 元気になって良かったね」
有華さんは、背中に手を当てて声を掛ける。
「好未ちゃん、何を話したの?」
私は思わず、話してたことを聞いてしまった。
「えっとですね、趣味の話とかですね」
「趣味の話? 何かやってるの?」
有華さんは、首をかしげて言う・・・私もおんなじ疑問がわいている。
「榊原さんと私の共通の趣味の話です」
「え? 前からの知り合いだったんですか? そんな感じには見えなかったんですが」
私はまたも思わず聞いてしまう。
「違いますよ、このバスで初めて会いましたよ。ただ・・・話してるうち趣味の話になって・・・って感じですよ」
要領を得ないけど、まぁ元気になったんだからいいとしよう・・・でも、趣味の話ってなんだろう?
◇◆◇
居なくなったカナタさんが帰ってきた!
真夜中の帰還でも嬉しい。やっぱり主人公キャラ? は死なないのかな?
でも、渉真くん、敬太くんのほうが、主人公っぽいかな?
いっか、嬉しいし。
ただ、魔法があるって言ってた! あるって! 呪文は? あるの? ないの?
あぁ・・・聞きたい・・・聞きたいです!
「カナタさん、おかえりなさい」
いても立ってもいられずに、話しかけてしまった。
「ただいま」
「あの、魔法ってどんな物でした?」
「魔法? えっとね、見たのは小さい火を指先に出す魔法と歌で回復する魔法だったね」
やった、ほんとに本当にあった、喜びで踊りだしそう・・・おさえておさえて・・・
「他にもありそうなんですか? 魔法」
「うん、あると思うよ、魔法の属性表見せて貰ったんだけど、全部で10種類と無属性ってのがあったよ」
「魔法は学院とかで学ぶんですか? それとも弟子入り?」
「そこまでは聞いてないけど・・・」
「何で聞かなかったんですか!」
あ! やっちゃった・・・
「すみません、気が動転して・・」
間髪いれずに謝る・・・
「いや、いいよ。魔法好きなんだね」
「は・・・はい・・・すみません」
「謝る必要は無いよ。ただ、魔法使いになるためには自分で調べる事も大切なんじゃないかな?」
「そうですね・・・そうですよね! 魔法が使えると分かったんです! どんな事をしても、魔法使いの道は自分で切り開いて見せます」
「うん、その時は俺にも魔法教えてね」
「はい、頑張ります」
魔法使いがいることが解ったんだから、後は努力で何とでもなる! 頑張ろう!