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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第181話 ギルドへ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 宿に向かうと、いつでも出発出来るように準備がされていた。


「皆にお知らせがあります。 今日の出発は延期になりました。 準備してもらったけど申し訳無い」


「いえ、大丈夫です。 ですが、何かあったのですか?」


「まぁ、ちょっとビアス子爵と話すことが出来ちゃってね」


「はぁ・・・いえ、いつも良くしてもらってますので大丈夫です」


「そう? それならいいんだけど・・・あ! そうだ。 皆にお詫びってことでお金渡すね。 これは借金じゃ無くて気持ちだから貰っておいて」


 皆に銅貨5枚づつ渡していくと、ルーリンの手が上がる。


「あの、これで借金を返せたりしませんか?」


「あ、そんな事もあったね・・・じゃあ、借金も全員完済ってことにしておくね。 はい、他に質問は?」


「こんなにポンポンお金渡して大丈夫なんですか? 合計すると3週間分くらいの食費に相当すると思うのですが・・・」


 ん? そんなになるのか? この街は物価が安いのかな?


「そっか・・・そうだね。 うん、皆で冒険者ギルドに行ってみない? お金をポンポン渡せるのがなんでか解ると思うよ?」


 宿屋のオヤジに追加の料金を払い部屋を確保し、冒険者ギルドに向かう。

 朝早いこともあり、カウンターと掲示板に人だかりが出来ていた・・・これに並びたいと思わないな。

 皆と共に外に出て時間を潰すことに・・・と言っても得にやる事がない。

 いや、あった! ルーリンの家に行き両親のことを聞いてみよう。


「あのさ、ルーリンの家に行ってみたいんだけどいい? 周りの森は軽く見たけど、どんな人なのか解れば捜し出せるかもしれないし」


「はい、解りました・・・と言っても綺麗じゃないですし狭いですよ?」


「それは構わないよ。 俺も昔住んでいた家が物凄く小さいしね」


 ルーリンの家に着き皆で中に入る・・・家は、土間・リビング・納戸があり2階に寝室があるようだ。

 俺が設計した家にどこと無く似ているな・・・大きさはこの家の方が大きいけど。


「リビングに全員はいると狭そうだから、土間にテーブルとか出していい?」


「なんかすみません・・・狭い家で」


「気にしないで。 前住んでた俺の家なんて、この土間にすっぽり収まるくらいだったから」


 椅子に全員座ってもらうと、話題を変えるため朝食を何食べたか聞く。

 すると、黒パンとスープしか食べていないようなのでロールパンとコーンポタージュをテーブルに出す。

 皆美味しそうに食べ飲み、一息ついた所で親の話を聞く。

 ルーリン一家は、全員薬師の家系とのことだった・・・薬草を採りに行った時に、盗賊に捕まったとの事。


 両親も薬師だったので、外に出る事が多くモンスター等に気を付けていたし、魔避けの薬も持っていたはずなのでゴブリンとかに襲われて殺されている事はないと事。

 そう考えると盗賊に捕まったとみるべきか? でも捕まってる人はいなかったよな?


「他に特長とかないの? たとえば珍しい物が好きだったとか、山に登るのが好きだったとか、魚釣りの趣味があるとかさ」


「そうですね・・・2人とも珍しい薬草や毒草を捜すのが趣味でした。 あとは薬作りくらいですかね」


「そっか・・・それじゃあ捜すのは難しいかもね。 薬か・・・ん? 薬!? もしかして、新薬が開発されたとか聞いたら飛んで行っちゃったりする?」


「え? はい、そんな事があれば現地に行くと思います」


「あぁ・・・もしかしたら、王都に居るかも知れない。 結構前に死病の新薬が出来たって御触れが出されたからさ」


「死病の薬!? なんですかそれ!? どんな奴なんですか? 持ってたりしませんか?」


 なるほど、この食いつきよう凄いな・・・てことは、生きている可能性もあるってことか。


「あれ? そういえば回復軟膏渡したとき余り反応無かったけど何で?」


「それはですね。 ポーションを原料として使った回復薬が年に数回発表されるからというのと、試供品を渡していただいていたので、あとで触れると思ったので・・・」


「ああ、なるほど。 それで、回復軟膏触ってみてどうだった?」


「凄いですね。 ポーションのように全体を癒すのではなく、塗布した部分にのみ効果を凝縮させるなんて考えつきませんでした。 しかも、魔法との親和性は目を見張る物があります。 獣人の治療師は意味が無いなんて言われてましたが、軟膏とポーションを同時に使い魔法で癒すと光が得意属性の人族の回復魔法と同等以上の効果があるのではないでしょうか」

 ルーリンは、考えるようなポーズで歩き周り俺を指差して言う。


「え・・・あ、うん。 そうだね。 じゃあ、回復軟膏を作ってもらうようにしようか?」


「え!? 良いんですか!? やったー! 舌に乗せて味も確かめたんですが全く材料が解らなくて・・・本当に嬉しいです」


 なんで調べるときに皆口に入れたがるんだ? 少しは危ないとか・・・


「まぁいいや、皆食べ終わってるし冒険者ギルドに行こうか」


 冒険者ギルドに行くと朝の混雑が嘘のように誰もいない。

 カウンターにいた犬の獣人の女性に話しかける。


「すみません、クエストの報酬を受け取りたいんですけど」


「クエストの受理票と冒険者ギルドカードを出して下さい」


「受理票? ですか? なんですかそれ?」


「受理票はクエスト受けた際に渡される木製の半券です。 もしかして、常時依頼でしょうか? それでしたらそのままでも構いませんよ」


「じゃあ、サブマスター呼んでもらって良いですか?」


「サブマスターは本日午後から出てきます」


「そうなんですか・・・じゃあ、皆さんお昼まで休憩! お昼になったらルーリンの家に集合で良い?」


 特に誰からも異論は出なかったのでお昼まで自由時間となった。

 昨日のギルド職員の名前も知らないし、朝に受け取りに行くと言ってお昼に近い時間だし仕方ないだろう。


「ミズキさん、魔法の実験手伝って貰って良い?」


「はい、もちろんです! 浮遊魔法ですか? それとも転移魔法? それとも大量抹殺魔法とかですか?」


「いや、魔法についての実験だよ。 どうやって魔法が発動しているのかとかね」


「え? ピンクさん・・・いえ、リカムさんが体内にある魔力で魔法を放つと言ってませんでしたっけ?」


 やっぱり魔法のことになると饒舌だな・・・魔法の講義の内容もしっかり覚えてるみたいだし。

 そういえば、ワードマジックを教えてもらったけど、威力が低すぎて使い物にならず覚えようとも思わなかったな・・・って、危ない! また考え事に没頭するところだった。


「うん、それはあってると思うんだけど矛盾点があるんだよ。 魔素が濃いところでは魔法の威力が上がるって言ってたでしょ?」


「ええ、言ってましたね。 でも、それの何処が矛盾してるんですか?」


「そうだね。 誰が唱えてもワードマジックは一定の威力にしかならない筈でしょ? でもさ、魔素が濃いって言うだけで威力変わってるっておかしくない?」


「どういう事ですか? 簡単に言って下さい」


「魔法が魔素の影響を受ける。 という事は、魔力と魔素は同じような物で魔法を発動させると両方使ってしまうんじゃないかと思う。

 そうすると威力の違いも説明出来るでしょ? 魔力の元の状態が魔素で体内に過剰摂取したため威力が変わったとか、魔法の燃料が魔素で魔力が着火のような役目をしているとかさ」


「なるほど、魔法の根本の部分の実験という事ですか」


「そうそう、まずはね・・・日本語で魔法が発動出来るのかってことの実験をして見ようと思う」


「解りました。 では、急いで門を出て草原に行きましょう」


 俺とミズキさんは、出口の門に向かって歩き始めた・・・魔力が自分自身から湧き出ている物じゃないとすれば、相手の付近にある魔素を全部使ってしまえばより安全に倒すことが出来るのではないだろうか?

 それが出来れば魔法での戦闘が格段に楽になるだろう。

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