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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第175話 大漁

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 池に浮いている魔物は全部回収した・・・小さい小魚もいたが、出汁とかに使えたりするんじゃ無いかと思い漏れなく回収した。

 しかし、池の底の魔物はどうしよう・・・水を持ち上げれば魔物も持ち上がるのかな?


「カナタさん、魔物が浮いてこない様ですし水を全部持ち上げますか?」

 ミズキさんから俺と同じ提案を言われる。


「うん、よろしく。 水と一緒に魔物が持ち上がらなかったら水の底に行くから持ち上げたままにしておいて」


「解りました。 では持ち上げます」


 水を持ち上げると底にはエクビス(ザリガニ)やフロッグトード(蛙)やクラッベ(蟹)・リュシール(鯰)などがおり、中心付近には一回り大きいエクビスとリュシールとウツボ? のような魔物がにらみ合っていた形のまま死んでいた。

 レア種だか上位種かは解らないが、食べられる魔物が増えるのはかなり嬉しい。

 ただ湖の底が柔らかくて汚れるんだろうな・・・ヘドロとかじゃないしまだいい気がするけど。

 足が沈まないように足元を凍らせながらモンスターを回収していく。

 ちゃんと水が湧き出ている場所だけは凍らないようにしておいた・・・凍って水が出なくなったら魔物がいなくなりそうだし、食べられる魔物が減ってしまうのは困る。


 クラッベという蟹の魔物の数が少ない・・・食べられてしまったのだろう。

 見た目まんま渡り蟹だし、美味しそうだと思う・・・この世界でもケジャンが食べれそうで嬉しいな。

 ケジャンの作り方はもちろん分からないが、タダシさんだったら知ってるはず。

 池の底には魔物以外にも色んな物があった・・・武器や防具、良く解らない骨、さびた鉄の塊・・・鉄の塊や武器は回収し、壊れた防具や骨は見なかったことにした。


「ミズキさん、縁まで上がったからもう下ろしちゃっていいよ。 その後土の壁も元に戻しておこう」


「はい、解りました。 ここから右回りで直しますので、カナタさんもお願いします」


「うん、了解」


 池に水を戻し、カーボンナノチューブの網を回収し土壁を元に戻していく。

 全て終わると、呆然と見ていた職員や大工の人に終わった旨を伝える。


「終わりました、ありがとうございます」


「い・・・いえ、私達は何も・・・」


「質問なのですが、柵って作っていくんですか?」


「あ、はい。 魔物を倒していただいたのですが、安全の為に柵を作っていきたいと思います」


「それなら、周りにいる魔物を倒して安全確保しますね」


「いえ、待って下さい。 周りの敵は私どもでも何とかなりますので、出来ればワイバーン討伐に行って頂けないでしょうか?」


「はい、もちろんいいですよ。 しかし、ここらへんの土地勘がないので地図を描いてもらって良いですか?」


「はい、それは大丈夫なんですが、現在紙やペン等を持っていませんので・・・」


「それはお渡ししますよ。 あと地図を描いていただいてる間だけですが、柵を作るの手伝いますが大工の人の賃金を下げないようにして下さい」

 俺はマジックボックスから、羊皮紙と鉛筆を出し鉛筆で羊皮紙に小さく丸を描く。


 鉛筆が描く物だと分かると2つとも受け取ってくれた。


「しかし、それでは1級冒険者様にお金をお渡しする事が出来なくなってしまいます」


「それで結構です。 大工の皆さんにちゃんと契約どおりお金を払って下さいね」


「はい、畏まりました。 お約束いたします」


 地図を描いてもらってる間に、大工の1人がやっていた丸太の皮をはがす作業を一瞬で終わらす。

 現在刺さっている柵と同じ物を作るようなので、板への切り出しも手伝ってあげた。

 やはりこの国では、先に材料を切っておき現地で組み立てる事はしていないようだ。

 全部切り終わった所で、地図が描き終わり大工の人に後を任せてワイバーン討伐へ・・・

 大工の頭領っぽい人が、ミズクサの街で何かあったら力になってくれると言っていた・・・まぁなにも無いとは思うが、何かあったら相談するとしよう。


 地図を確認すると、ワイバーンは川の本流のもう少し上流にある森にいるようだ。

 ワイバーンの目撃数は5匹である事、サブギルドマスターと職員数名とランク6級の複合PT(18人)が2つ討伐に向かっていることが裏面に書かれていた。

 地図の上に裏に注意事項を・・・って書いてあったので気がついたんだが、かなり出来る職員だったんじゃないのかと思う。

 後でクッキーでも差し入れてあげよう・・・忘れなければだけど。


 森に近づくたび魔物の数が減る、ワイバーンが出たってのは本当らしい。

 なんで魔物同士だと弱い魔物が逃げるんだろう? 魔物同士だと強さが解るって事なのかな?

 人だと見つかったら有無を言わさず襲ってくるのは何でだろう? まぁ、視覚のみで敵を判別してる奴が多いっぽいから逃げる事も可能な所が救いか。

 森の真ん中に敵対反応があり、そこから森に入った直後の所に冒険者の集団、ワイバーンの周りに6人がいる。

 ワイバーンの周りの6人は2人一組で行動しているようだ・・・何かあったときの連絡役とかなのかな?

 俺とミズキさんは冒険者の集団へ向かった。


 冒険者の集団に2人で近づくと、槍を持った2人が立ち塞がった。

 近づいていくと、石突をこちらに向けて構え威嚇してくる・・・たぶん、先に進むなと言いたいのだろう。

 大声出すとワイバーンに気づかれる可能性があるから喋らないのかな?

 普通の声が届くところまで近づくと、冒険者に声をかける。


「すみません。 ここにサブギルドマスターがいるって聞いたんですけど、呼んでもらえませんか?」


「お前は馬鹿なのか? こっちはワイバーン討伐にきているんだ。 さっさと消えろ」


「私もワイバーン討伐に参加しようと思いまして来たんですよ」


「チッ・・・俺達だけじゃ不満だってのかよ! クソ! ついて来い」


「ありがとうございます」


 俺は、冒険者の後をついていく・・・すると、ゾワッとした感覚が前の冒険者から発せられる。

 冒険者は顔をこちらに少し向けると、勢い良く槍を突いて来た・・・しかし、体勢が悪いので突きに威力が全くない・・・その穂先を指で掴み木で出来た柄の部分を殴り槍を折る。

 折ってからすぐにミズキさんの方を確認するが、特に興味がなさそうにしている。

 後ろの冒険者も唖然としているようだ・・・てことは、前で歩いてた冒険者の独断か?


「何故こんなことをしたのか聞いてもいいかな?」


「チッ、金持ちのボンボンかと思ったら結構やるじゃねぇか。 なら、こいつはどうだ!」

 先頭を歩いていた冒険者は小さい玉をこちらに投げ、剣を抜いて走ってくる。


 煙幕か目潰しのようなので風で逸らしながら避け、既に剣を上段に構えている先頭の冒険者の鎧を押すような形で蹴る。

 剣だけが地面に落ち、男が数mほど飛び転がって動かなくなった。


「さて、後ろの君もやるのかな?」

 俺は後ろを振り返ると笑顔でそう言う。


「いや、俺は違うPTなんだ。 手を出そうと思っていない」


「そっか、なら案内してくれるのかな?」


「ああ、案内と言ってもすぐそこだけどな・・・あいつは放置するのか?」


「いや、一応持ってくよ。 勝手に死ぬのはいいけど、このままだと俺が殺したみたいになっちゃうし」


 そう言うと、剣を遠くに投げ捨て気絶している男に近づく・・・魔力眼で見ると肋骨が数本折れた様に見えるが放置する。

 気絶している男の兜を取り兜も遠くに投げ、髪の毛を片手で掴んで引きずって行く。

 後ろを進んでいた冒険者が先行して、森に入る。


 拠点のような場所は少し広く真ん中にテーブルが1つだけあり、人が集まってる上には木と木をロープで結び緑の布が張ってあった・・・まるでタープのようだな、これなら上空から見られても解りにくいのだろう。

 先行していた男が「着きました」と俺達に言う・・・俺は感謝を伝えてそこにいる人に話し掛ける。


「サブギルドマスターはいますか? ギルド職員の人に言われてきたんですけど・・・」


 相手はポカンとしていたが、俺が引きずって来た気絶した冒険者に気づき武器を抜き警戒してきた。

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