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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第174話 ザリガニ獲り

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 その後、俺とミズキさんは宿を訪れていた。


「それじゃあ、これ回復軟膏9級の試供品ね。 何かあったときのために、製品も20個ほど渡して置くね。 販売価格は1個銅貨1枚だから」


「は、はい、畏まりました。 がっ・・・頑張って宣伝してきます」

 ナショウは、目線を合わさずにアワアワしながら言う。


 昨日あんな事になったのだし、アワアワするのは仕方ない気がするんだけど・・・慌てすぎじゃない?

 でも、頑張って騎士風の喋り方をしてるのも可愛いと思う・・・まぁ、やる事が多いから話すのは後でにしよう。


「うん、よろしくお願いします。 と言っても、その格好じゃなんだから子供達が使っているオークの皮を使った簡易鎧を渡すね。 それと、得意武器ってなに?」


 オークの皮の簡易鎧は、ソフトレザーアーマーであるが薄くなめし多層にする事で斬撃耐性を高めた物だ、しかし、打撃耐性はある程度しかないので剣出来られれば鉄の塊で殴られてるのと余り変わらない。

 斬撃耐性を高めたと言っても、剣で真っ直ぐつけば刺さるくらいなので高めたと言えるのか解らないが。


「え? 私ですか? えっと、一応剣の技を持っていますよ。 槍も使っていましたので、使えないこともないのですが・・・」


「じゃあ、俺の使いやすいようにカスタマイズしてる物で悪いんだけど、槍と剣の両方渡しておくね。 他の皆にも護身用の短剣を渡すね」


 渡した服のサイズを確認して皆に簡易鎧を渡し、魔鉄製のロングソードと槍、短剣を人数分を出していく。

 短剣は投擲用に用意した刃渡り20cm位のダガータイプの物で、りんごっぽい物を的にしてタクミ君やケイタ君と遊んだ事を思い出す。

 武器は全部魔鉄製だと言ったら一瞬驚きの表情を浮かべたが、すぐに元に戻った。

 皆にお金を銅貨1枚ずつ渡し、宿の宿泊延長をお願いし冒険者ギルドへ向かった。


 冒険者ギルドに入ると、閑散としていた・・・受付の人すらいない。

 何かあったのかな? とりあえず聞いてみるか・・・大きな声で呼ぶと、いかにも強そうな虎の獣人が階段を下りてきた。


「すまねぇな。 今は職員が調査に向かっていていないんだ、登録なら明日にでも来てみてくれ」


「いえ、登録ではないんです。 なんかいいクエストがあったら受けようと思って寄っただけです」


「そうだったのか。 悪りぃな、クエスト発行も明日からだ。 魔物を狩って来れば、事後でもクエストとして受理してやるから今度な」

 虎の獣人は、そう言うなり階段を上がって行ってしまった。


「仕方ない、ミズキさん。 門の近くの詰め所で何があったか聞いてみよう・・・あと、出来るなら簡単な地図も書いて貰おう」


 出口の門の近くの詰め所に行き、立っている兵士に声をかける・・・身分証明書のギルドカードと子爵のサインと印が入った羊皮紙を見せる。


「失礼いたしました。 冒険者ギルドの職員は池の方に向かっていました。 急いでいるという事で内容は確認しておりません」

 兵士はビシッと直立不動で言う。


「簡単な地図でいいから池までの地図描けない? もしくは、地図を描ける人呼んでもらってもいいけど」


「はい、畏まりました。 同僚に絵が上手い奴がいますので、呼んでまいります。 少々お待ち下さい」


 絵が上手いと言われた兵士に地図を描いて貰ったが、結構解りやすく描けていた。

 街の入口出口が描いてあり、どの方向に行けば良いかすぐに分かる・・・地図というギフトって無いのかな? 欲しいな・・・

 そんな事を考えながら、街の周りの森等を一周し遺品や死体等がないか確認する。

 特に死体や遺品等は無かった・・・何かあればまだ良かったのかも知れないのだが、帰ったら何も無かったと伝えよう。

 何もないという事は、生きてるか死んでるかも分からない・・・シュレーディンガーの猫を思い出すな。


 気を取り直し、川の方向へと走って行く・・・池の方向ってこれであってるのか? 川まで行ったら誰かいるかな? いたら聞いてみよう。

 川の近くに到着した・・・結構綺麗な川だ。 となると栄養も少ないのかな? そんな事を考えたが振り払い周りを確認する。

 周りにいるのは子供だけで、川の近くで40cmもありそうな蛙を追いかけまわしていた。

 たぶんあれがフロッグトードなのだろう・・・でも牛蛙だったのか、デカイと気持ち悪いな。

 少し上流の方に移動してみると、焚き火で蛙を丸焼きにして食べている中堅冒険者っぽい男が1人でいたので声をかける。


「すみません。 池があるって聞いてきたんですけど、どこにあるか解りませんか?」


「あっちにあるが、今は入れないぜ?」


「え? 何かあったんですか?」


「グラントエクビスが見つかったんだとよ・・・しかも、近隣の森でワイバーンがいたって言うのもある。今行っても何もできねぇぞ」


「なるほど、それで冒険者ギルドが空だったんですね」


「そうだな・・・幼龍が現れたって噂もあったし、モンスターが多くなった気がするし嫌だね全く」


「モンスターを簡単に狩れるようになれば、逆に嬉しい事件なんでしょうけどね」


「はっはっは、冒険者ギルドランク特級に憧れたときが俺にもあったぜ。 見に行くのなら気を付けて行ってきな」


「ご忠告感謝します。 では、あなたもお気をつけて」


 指差された方角に向かって走ると、数分で池に辿り着いた・・・池って湧き水の池だったんだ、かなり綺麗だな。

 池の周りでは、大工と思わしき人達が木の柵を作っている所だった・・・柵を作っている大工と思われるの人に声をかける。


「すみません、冒険者ギルドの職員の方っていますか?」


「おいおい、こっから先は立ち入り禁止だぞ。 作業の邪魔になるから、さっさと帰った帰った」


「いえ、ギルド職員の方を捜してるんですけど・・・」


「お前達何をしている。 ここより先は立ち入り禁止だ。 さっさと立ち退け」

 奥の方から小奇麗な格好の冒険者のような男がこちらに言う。


「その池の魔物に用があるんですけど、譲ってくれませんか?」


「何を言ってるんだ? グラントエクビスがどんな魔物か解っていないのか?」


「でっかいザリガニじゃないんですか?」


「解ってないようだな・・・仕方ない説明してやる。 グラントエクビスは、水操る魔物だ。 その昔1人の冒険者が手を出し、池の水がとめどなく溢れ街も穀倉地帯も水浸しになり駄目になった事がある。 現在は、水魔法が得意なエルフの方を呼ばないと手を出してはならない魔物なのだ」


「なるほど、そうだったんですか。 だから、冒険者を近寄らせたくなかったんですね」


「解ったらさっさと帰れ! 作業の邪魔だ」

 小奇麗な冒険者風の男が、そう言うなり手をシッシとしている。


「ミズキさん、池のから流れでている支流以外を土で囲みたいんだけどいい? 一瞬で終わらせれば被害は出ないと思うけど念のためね」


「解りました。3m位の高さで良いですか?」


「うん、そんなもんでいいと思う。 じゃあ、職員の人に説明してOK貰えたら合図するから、目の前の所からやってっちゃってね」


「はい、解りました」

 そう言うとミズキさんは柵を越え池の近くまで進んでいく。


 俺は先ほどの小奇麗な冒険者風の男に、ギルド職員どこにいるのか聞くと本人だったようで眉間にしわを寄せている。


「本当に、すみません。 先に、これを確認して下さい」

 俺はギルド職員に、冒険者ギルドカードを渡す。


 ギルド職員は面倒くさそうにこちらを見て文句を言おうとしたが、金に光る冒険者カードを出され本物か確認する。


「金色! 先ほどは失礼いたしました。 1級冒険者様だったのですか!」


「そうなんですよ、失礼な事行っちゃって・・・あの、いまから池の周りを1度封鎖して魔物と戦っていいですか? 水魔法は池の水を全部持ち上げられる位は使えるんで」


「はぁ? 池の水全部を持ち上げる? いえ、そこまで使えるのでしたら、ご存分に戦って下さい」


「はい、ありがとうございます。 ミズキさん囲い作って良いってさ、お願いします」

 俺は、通信機でミズキさんに言う。


 いっきに高い壁が盛り上がると作業の人と職員など見ている全員が唖然としていた・・・俺は支流として流れる場所にカーボンナノチューブの網を取り付け、死んだ魔物が流れ出さないようにする。

 さて準備も終わったことだし魔物を倒しますか・・・俺とミズキさんはちょうど池の反対に陣取り、魔力で雷を呼び掛け声をかけほぼ同時にサンダーを放つ。

 俺は索敵でモンスターが全部死んでいるのを確認し、浮かんでいる魚の魔物を風魔法で近づけマジックバッグに回収し始める。


 というか、でかい魔物は浮かんで来ないのか・・・どうしようかな。

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