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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第172話 ミズクサの街での夕食

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 夕食は、恙無つつがなく終わった。

 全部の料理に大豆を入れてあると言ったら、子爵一家が物凄い驚いていた。

 これからこの街の名物が小麦と大豆の2つになると喜んでもいた。

 あっという間に、大量に作った料理の数々を食べて、秘蔵の酒を飲んで満足してくれたようだった。

 秘蔵の酒は、どぶろくに近い味だった・・・聞くと、余り高い酒ではないが他国へ赴いたときに味が気に入って買ったようだ。

 ウェーブでどのような被害が出ているかの確認の為に他国へ赴いている者が今でも少なからずいるらしい。


 王都の兵士不足や人材不足は他国との共存を望む陛下の深い愛だ・・・と熱く語られた。

 俺の中で陛下は策略家と言う位置にいるので、思いやりがあり自国のみならず他国まで・・・と言われても余り響いてこない。

 まぁ、尊敬や好かれると言うのは嫌われるより難しいからいいんじゃない? とは思う。

 執事やメイド、料理人達にも今回作った料理を出してあげた・・・レシピを渡してもいいが、醤油や味噌は王都で買って貰うしかないので今回は渡さなかった。

 俺が持っている醤油や味噌の大半が真田タダシ・ヨシ夫婦お手製の物だからだ。


 現在桜食堂では、子供達が手伝ってくれている醤油・味噌を売っているが、醗酵位しか手伝っていないといっていた。

 これでは、作り手が同じなのに調味料の良し悪しでかなり味が変わってしまうだろう。

 つまり、真田タダシ・ヨシ夫婦が作った物しか知らずに、子供達が作った物を食べると味が落ちたような気がしてしまうのだ。 

 これから先、俺達が全く手伝わない物が主流になるはずなので、出来る限り売り出す物には手を出そうと思っていない。

 ただ、陛下より各国の王等から親書が届き食事の感想が書かれていたと聞いたので、ボッタクリ甚だしい値段で貴族・王族専用で料理を出すのもいいかもしれない。

 その為には、場所にこだわり人材にも拘らないといけないだろう。

 料理自体は、マジックボックスに入れておけばタダシさん・ヨシさんが居る必要もないしね。


 料理の片付けが終わり、部屋に帰ろうとするとミズキさんから呼びとめられる。

 出来れば声をかけてほしかった・・・・そうすれば、片付けから逃げ出せたかもしれないのに・・・


「カナタさん、宿の人のご飯はどうするんですか? お金は少し渡しましたが大丈夫でしょうか?」


「それもそうだね、俺が確認しに行って来るよ。 ミズキさんは休んでおいて良いからね」


「はい、解りました。 何かあれば通信機で呼んで下さい」


「うん、ありがとう。 じゃあ、いってきます」


 執事の人に出る事を伝え、宿へ向かう。

 まだ21時前くらいなのに外は真っ暗だ・・・星明りでも周りが見えるので困った事はないが、夜でも昼のように見えるギフトとかありそうなもんだけどないのかな?

 そんな事を考えながら宿へと急ぐ・・・宿に着くと受付のおじさんに皆いるか聞くともう戻ってると返事が返ってきた。

 部屋の前に行き、ノックをして様子を見に来た事を告げると扉を開けられる。


「どうなさったんですか? カナタ様」


「いや、ミズキさんに皆の食事はどうしたの? って聞かれちゃってさ。 今食事中だったみたいだね」


 丸テーブルの上にスープと黒パンが乗っているだけの質素な食事と混ぜ物をしたワインだった。


「はい、いただかせて貰っています」


「そっか、じゃあ好き嫌いを言ってって。 ナショウから」

 俺は、皆に好き嫌いを聞いて見た。


 しかし、嫌いな食べ物は全然知らない名前の物を言われるか、嫌いな物はないとの事だった。

 好きな物は、皆一様にお肉だという事だった。

 俺はマジックボックスから、豚の味噌漬けを焼いた物とサラダと人参ドレッシングをだしテーブルの上におく。


「朝ご飯は宿が用意してくれるから、これだけね。 まぁ料理の説明をしないと解らないと思うから説明します」

 俺は、料理の説明をする。


 肉がオークの肉と言うのに物凄い驚いていた・・・オークってブランド豚くらいの価値があるんだろうな。

 折角なので、安ワインじゃなくカクテルでも作ってあげることにした。

 まず最初に、カクテルグラスを出すと驚かれた・・・石英ガラスで作った物だがかなり歪んでいるし厚みも一定ではないし良い出来とは言えない。

 それでも、ガラスのような物を食器として使うのが珍しいらしく、元商家で奉公していた子が唸り声を上げながら見ていた。

 ボソッと大銀貨1枚? という声が聞こえ、皆が動かなくなってしまった。

 俺達が作った物で、割っても直せるからといっても余り効果がないようだ・・・お酒が入れば変わってくるだろう。


 ウォッカをベースにして、小玉スイカほどもあるオレンジっぽい果物の果汁で簡易スクリュードライバーを作り味見をする。

 思ったよりも飲みやすいが、女性用に少しシロップを足して作った・・・無理やりカクテルグラスを渡し飲むように促す。

 ビクビクしながら一口飲むとキンキンに冷えている事にまず驚いて、「美味しい」「甘い」と呟いている。

 いっきにカクテルを飲み干たので、食事も冷めないうちに食べる事を促した・・・もちろん、カクテルのお替りも注ぎ足した。


 食事も皆に大好評だった・・・ナショウが俺をバシバシと叩きな料理を指差し「ん~ん~」言っているのだから・・・

 というか、貴族だ王族だと言っていたのに、お酒の力ってのは本当に凄いもんだ。

 折角だし、皆と交流を深めると言う意味でバーテンの真似事をずっとしている・・・1人沈み2人沈み、そろそろ戻ろうかと思ったが、ナショウから愚痴を延々と言われている・・・腕を組まれ隣で言っているので逃げられない。

 逃げられないと言うか逃げたくない・・・腕にしがみ付かれてるから、柔らかい感触が伝わってくるのだ。

 うむ、サラシ等もとってるようでいい感じだ・・・こうなったら暑いと言って腕を捲くるか? いや、不自然かもしれないな。

 そのうち寝ちゃうだろうし、その時までのお楽しみってことだな。

 片手でシェイカーを振って出来上がったお酒を、ナショウのグラスに注ぐ。


「ありがとうございます。 立派な兵士になるって村を出たのにどうすれば良いんでしょう。 このお酒ってカクテルって言うんですよね? 今更お嫁さんになるなんて出来ないですよ! このフライドポテトって美味しいですね。 一緒に飲んでくださいよ」


 ナショウは、酔っ払って話がどんどん飛んでいる・・・喋り上戸って奴なのか?

 俺も、日本酒もどきをだしちびちびと飲んではいるんだけど・・・話かける隙がないので、相槌だけしておく。


「それもお酒なんですか? それともお水ですか?」


「日本酒って言うお酒に近い物だよ。 まだ完成してないって言われたけど、味が好きだったから少し持ってきたんだよね。 え、待って、日本酒はアルコールが強いから・・・」

 俺は、飲んでるお酒を説明すると、ナショウが俺のコップを奪い取りいっきに飲み干してしまった。


 あれ? 一気飲みでも大丈夫だったのかな? そう思ったが、駄目だった様だ・・・こちらを向くと、枝垂れかかるというよりも抱き付いてきた。

 しかも「うふふふ」と言いながら物凄い笑顔で俺の顔を覗きこんでくる。

 椅子から俺の膝の上に座りなおし、首に手を回し体をピッタリつける様に抱き付いてくる・・・彼女がいるわけじゃないから拒否をせず流されるままにしておいた。

 頬を当ててスリスリしたりキスしたり、首筋を舐めてくる・・・完全に酔っ払ってるようだ。

 まさかキス魔だとは思わなかった・・・好きにさせてたけど、我慢が出来なくなってきたな。


 膝の上のナショウをそのまま持ち上げ、誰も使っていないベットに連れて行く。

 いきなりベットに押し倒される格好になったナショウは、驚いているようだった。

 しかも、驚きで酔いが覚めたのかオドオドし始めた。

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