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努力の実る世界  作者: 選択機
第1.5章 side story
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side story 好未

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます

 私は、肌荒れが人よりも酷くて、少し人見知りで、人よりも少し漫画やアニメが好きなだけだった。

 ただそれだけでオタクと呼ばれていた・・・

 しかし、幸運なことに仲間たちに囲まれている。


 沙希さきは小学校からの同級生で、腐女子の師匠でもあり、何故かカップリングがほぼ一緒と言う稀有な存在だ。

 響子きょうこは、小学校6年の頃の転校生で、同じ下敷きを使用している事が発覚してから一気に仲良くなった。

 高校は別になると思っていたが、なぜか同じ学校に通っている・・・本当にありがたい。


「冬イベントはどの衣装で参加します? プリンスのキャラをやりたいと思うんですけど・・・」

 私は、2人に提案する。


「そうですね! 良いと思います! 男装は響子が映えますしね! ただ・・・体型的にあたしは厳しいんですよ・・・これが・・・」

 沙希が、自分の胸を見て呟く・・・


「沙希・・・そこで、胸の自慢を言わないで欲しいんですけど・・・」

 響子が、沙希の胸と自分の胸を見比べながら言う。


「全くその通りであります」

 私は、2人にたいして敬礼をする。


「もう! 悩んでるんだよ! 酷いよ2人して~!」


「「あはははは、ごめんごめん」」


「今回は好未も一緒にやらないかい?」


「え・・・いや・・・その・・・」


「そうか・・・まぁいいさ、大学は3人とも違う場所になるだろうし、来年は受験だから最後になるかもって思ったんだよ」


「うん、出来れば一緒がいいな・・・無理にとは言わないけど・・・」


「2人も知っている通り・・・肌が汚いからさ・・・」


「そこは化粧で何とでもなるさ・・・出来れば考えといてくれ・・・」


「うん、今回は最後になるかもしれないし、コスチュームはもちろんアクセサリーにも力を入れたいんだ」


「いつも作ってくれてありがとう。私も手伝うけど、何かあれば言ってね」


「そうだな、いつも悪いな・・今回は、私も手伝うぞ!」


「ありがとう、がんばるよ」


 こんな時間がいつまでも続いて欲しいと思っていた。そんな事は不可能ってわかっているのに・・・


 キャラクターの服は前回の夏に書いた同人(誌)のキャラクターが着ていたものにしようと思う。

 知り合いのサークルの人が出店できたら、前回売れ残った物を置いてくれることになったので、売り子を手伝うためだ。


 材料の買出しがほとんど終わったが、細かいパーツがもっと無いか自身の同人を持ち歩く毎日。

 3人で頑張って作る楽しい日々・・・になるはずだった・・・


 いきなり森にいた・・・材料に気に入らないところがあったから、ちょっと見に行くだけのつもりだったはずだ。

 お金が足らないから、今回は買わずに家に帰る途中だった・・・なんで? どうしたの? 解らない。


 意味が解らなかった・・・ただただ、泣いている事しか出来なかった・・


 1日目の食事後に、皆話していた・・・私は気を使われているのが解っていたが、心ここに非ずって言う感じだった・・・何も考えたくない・・・


 その後、榊原さんからジャージを貸してもらって、少しぽーっとしてると、ちょっと話したいといってきた・・・ジャージを返したほうが良いのかな?

 なんか違う気がする・・・リーダーみたいな人が何のようだろう? 私のことはほっといてくれれば良いのに・・・


「ちょっといい?」


「なんしょう?」

 あ!かんじゃった・・・


「いや、元気がないなって思ってさ」

 スルーしてくれたのかな?・・・


「それは・・・」


「奥で2人で話さない? 皆から見える位置だから安心して」


「いいです」


「悪い話じゃない、趣味の話だよ、行かない?」

 なんだろう? 趣味ってなに? ものすごく嫌な予感がする・・・だから、後を付いていく。

 奥の方に行くと、向かい合って座る。


「犬耳って好き?」


「はいぃぃ? なんですか急に」


「ごめんね、バッグからチラッと見えたんだよね、同人誌っぽいやつ」


「な!・・・」

 なんですと? 見えたとですか? 榊原さんの趣味の話じゃなくて、こっちの趣味の話なの? うわぁ・・・どうしよ、どうしよ・・・


「ここが異世界だった場合、獣人いるんじゃない?」


「え?なん・・・」


「獣人の美少年に会えるかもしれないよ、どう思う?」

  会えるなら会ってみたいけど、会える保障なんて・・・


「もちろん会える保証は無いけど、0%じゃないでしょ? しかも異世界だよ! エルフなんかにも会えるかもだし・・・」


「でも、異世界かどうかも解らないですし」


「ただ、好きでしょ? 犬耳とか」


「それは・・・」


「希望に過ぎないけど、頑張ってみない? 騙されたと思ってさ・・・ね」


「頑張ってみます・・・でも、私じゃ・・・」


「自分なりの努力でいいんだよ、無理すれば歪みが出ちゃうよ・・・というか俺も獣人にあってみたいし。モフモフ系か、耳尻尾だけの系統か、それが問題だ!」


「ぷふっふっふっふ」

 思わず笑ってしまった。いきなり力説するから、真顔で。


「笑ったね! うん、その方がいいよ、あっと・・・時間取らせてごめんね」


「いえ、元気出ました、ありがとうございます」


「うん、出来れば安全なところに行くまで、俺がオタクってことは内緒でね!」

 にっこり笑って、親指をびしっと立ててくる。


 それを見て「ぷふっくっくっく」って笑ってしまった。


 明日から泣かずに出来る事をしようと思う。がんばろう。

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