プロローグ
初めての作品なので、いい出来ではないかもしれませんが
面白い作品になるように努力していきます
6/3改稿、加筆あり、文章追加あり
「・・・様・ティア様、起きてくださいレティア様」
床に胡座で座り、上半身を前に倒した状態のまま、寝てしまっているレティアと呼ばれた女性を揺すりながら言う。
「うぅぅぅぅん、あれ?」
レティアは、コントローラーを持ったまま上半身だけ起こし、顔からVRゴーグルを外し、左右に首を振りながら言う。
「おはようございます、レティア様」
レティアを起こした少女は、恭しく頭を下げる。
「おはよう、レイちゃん、お! メイド服似合ってるよ」
「ありがとうございます、レティア様、それは少し前に、地球で買ってきた新作ですか? 遅くまでゲームしてらっしゃったのですね・・・」
レイは、右手を額に当て「ふぅ」とため息を吐く。
「ははは、キリがいい所までって思うと・・・ついね・・・」
レティアは、バツの悪そうな顔をして笑ってごまかす。
「明日は大事な日なはずです。だいじょうぶなのですか?」
「あれ? 明日? もうそんなになるの?」
レティアは立ち上がりながら言い、壁のカレンダーを見る。
「あ! 本当だ! 明日だったのね~」
「その通りです、ですので、部屋の片付けをしてもよろしいですか?」
「え?」
レティアは、グルリと部屋の中を見回す。
洋服、漫画、ゲームソフト等が散らばっており、かなり汚い・・・足の踏み場が無い。
「うん、お願いするわ」
「はい、かしこまりました。ただ、宝玉だけは御自分でお持ちください」
水晶玉ほどの玉を指差しながら言う。
「あ! ごめんね~レイちゃん、危ないよね~すぐしまうね~」
そう言いながら、宝玉に近づき拾い上げ、数歩歩いた時、積み重なっている漫画でつまずく。
「「あ!」」
二人の声が重なる・・・ガッシャ~~~~ン!
数秒の沈黙・・・
「ふぇ? あれ? ほうぎょ・・・」
レティアは、床を這いずりながら立ち上がろうとする。
「どうしよう! ああぁぁぁぁ! どうしよう! どうしよう!!」
起き上がり、走り出そうとする。
「落ち着いてください! レティア様、怪我をされてしまいます!!」
レイは、そう言いながらレティアの腕をつかむ。
レティアは、宝玉に手を伸ばしながら座り込んでしまった。
「では、片付けをしますので、そこにいてください、レティア様」
レイは箒とちり取りを持ってきて、片付けを開始し。
レティアは、座り込み下を向き呆然としてしまった・・・
この後、悪意が活性化してしまい、本船に呼ばれる事となる。
◇◆◇
神の船のモニタールームで、世界の調査をしているときに、いきなりの警報音が鳴り響いた。
すぐにレイの怒号が飛ぶ。
「何事ですか! すぐに詳しく報告しなさい」
モニターを見ていた羽の生えた天使のような女性達の1人が報告する。
「時空震(時空の裂け目)です! 大きさは不明ですが・・・かなり大きい・・・いえ! ありえないほどの大きさです」
レティア様がいらっしゃらないこんな時に・・・
「時空震を何とか塞ぐ事は可能ですか?」
「何とかやってみます・・・あれ? 何かいる? 出てくる? まさか・・・転移です! 転移だと思われます・・・あれは、地球のバスと言う乗り物のようです!」
レティア様を呼んで・・・いえ、それは駄目! 私達だけでやらなくては!
「転移の始点の特定は私がやります! 皆さんは時空震を抑え込んでください」
「はい! かしこまりました!」
・・・時空震を抑え、自然に消滅する程度にすることには成功したものの、転移した物を送り返す事は出来ませんでしたね・・・厄介です。
「報告です!、バスには乗客13名、生体反応はありません」
「とりあえず、そのまま放置しておいて下さい、亡くなった方より生きている方を優先します、行商隊の準備を」
「畏まりました・・・特定した始点はどうなさいますか?」
「使わないので破棄をしてください・・・また、地球では神隠しだと噂になるんでしょうね」
右手を頭に当て「ふぅ」とため息を吐く。
しかし、13人は転移が完全に終わっていないだけで、生きていた。
しかも、転移の影響で体が壊され、宝玉のエネルギーと未知のエネルギーで回復され、それを何度も繰り返し細胞のみならず魂までも進化してしまった。
そんな事は、本人達も、神であるレティアも、神の遣いであるレイも、誰一人として認識していなかった。