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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第169話 街に到着

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 ミズクサの街は、門の外側も畑が広がっている・・・一応木の柵はあるがモンスターに襲われたら一溜まりもなさそうだ。

 そこで作業している者達は、全員犯罪奴隷なんだと説明された。

 襲われたら、収穫用の鎌で戦うのかな? 命の価値が違う異世界なんだと実感するな。 


 ミズクサの街の門前の行列に着き、検問を待っている・・・物凄い混んでいる。

 なんでこの街は入り口の門と出口の門しかないんだ?

 貴族用の門があればこんなに並ばずに、すぐに入れるのに・・・


「なんでこんなに混んでるの? いつもこんな感じ?」

 突撃牙獣のリーダーの方を向き言う。


 リーダーはこちらを向き首を傾げる。


「小麦の収穫が終わり、商人達が買い付けに来ているのですよ」

 商人のエルロッタさんが、リーダーの代わりに答える。


「なるほどね。 俺もその1人だから他の人のことをとやかくは言えないか」


「あの・・・カナタさん、兵士が門から出てきました。」

 ミズキさんが、前を指差して言う。


 おっと、索敵を気にしていなかった・・・意識しないと確認出来ないから、ゲームみたいに右上とかに小さいレーダーを置いておきたいな。

 前から順々に何かを言い後ろに進んでくる。

 俺達の前に兵士が3人立ち止まり、お辞儀ほどの礼をする。


「すまないお前達、門を通った直後で商人の荷馬車の車軸が折れてしまって立ち往生しているんだ少し待ってくれ。 あと・・・そこの奴隷商。 連れてる奴隷は農業が出来るのか? 出来るのなら買い取りたいと思うのだが」

 兵士の1人が、俺の事を指差して言う。


「この檻に入ってるのは移動中に襲ってきた盗賊です。 売るために連れてきました」


「ほう、盗賊だったのか。 いや、助かった・・・本当に良くやってくれたな。 もうすぐ門に着く、着いたら詰め所に寄ってくれ」


「解りました。 すみませんが、用事を頼みたいのですが良いですか?」


「おいおい、変な用事だと檻に入れることになるぞ?」


「大丈夫ですよ。 変なことではありませんよ。 この手紙を詰め所にいる1番偉い隊長に渡して貰えますか?」

 俺がそう言う。


「俺を小間使いにしようってのか? お前は何様だと思ってるんだ!」

 兵士は槍の石突きを俺の方に向け言う。


 あれ? でも、門の詰め所の1番偉い隊長に渡せば全て分かるはずだとヴォルスト様が言っていたんだが・・・

 まさか、ドッキリ? または嵌められた? 仕方ない・・・面倒だし王家から貰った木札を出しますか。


「待って下さい。 身分の証明にこれを渡しますので、詰め所の魔道具で確認してみて下さい。 確認できたら返して下さいね」

 俺はそう言うと木札を兵士に見えるように出す。


 兵士は槍を下げ、木札を受け取り木札のマークを確認する驚愕の表情になる。

 付き従っていた兵士に木札を渡し、詰め所に走らせる。

 数分経ち木札を持って行った兵士と新品のような綺麗な鎧を身に纏った兵士と数名の兵士が走ってくる。

 俺の前につき、綺麗な鎧を着ている兵士が兜を取り片手を胸の前に置き礼をする・・・


「閣下、お待たせしてしまい申し訳ございません。 ただいまビアス子爵様をお呼びしていますので先に詰め所までお越し下さい」


 周りの商人や冒険者がこちらを見ながら、何かをこそこそ言っているようだ。

 あちゃ~・・・思ったよりも目立っちゃってるな・・・兜を着けてるから素性とかは解らないはずだし良いかな。


「この格好みて分かる通りお忍びで来たんで、自ら領主の館に行くから不要です。 ここまで騒ぎになっちゃったんだし先に通らせて貰って良い?」


「はっ、こちらでございます。 入場門は今使えないので、退出門まで先導いたしますので付いて来て頂いてもよろしいでしょうか?」


「うん、お願いします。 じゃあ、皆行きましょうか」


「閣下、盗賊は我等が運んで行きますので、お渡しいただいてもよろしいでしょうか?」


「はい、お願いします」


 盗賊の入った荷車をそのまま渡し、兵士が4人残った。

 俺達は兵士の後ろをついて行く・・・突撃牙獣のメンバーやエルロッタが「貴族じゃないのか?」「なんで衛兵長が出てくるんだ?」とか様々な事を小声で話している。

 全部聞こえてますけど・・・小声での相談ならもう少し小さく!


 さっき聞こえて来た会話で衛兵長とか言われていたな。

 じゃあ、この人が1番偉い隊長なのかな? というかこの鎧、グラフェン入りの奴じゃないのかな?

 打刻も詳しく見えなかったけど、似たような形だったし・・・聞いてみるか。


「すみません。 その鎧って、新装備のやつですか?」


「はっ、その通りであります」


 やっぱり新装備だったのか・・・王都の人達は俺らに気を使っているのか「凄い良い装備です」としか言ってくれないし、使い心地を聞いてみるかな。


「新装備になって、良かった点と悪かった点を聞いても良い?」


「はっ、私個人の感想でよろしいでしょうか?」


「うん、どんな感じなのか聞きたくてね」


「鎧の重さも軽くなり、取り外しが1人で出来るように配慮されている素晴らしい鎧だと思います。

 しかし軽く成り過ぎてしまっているので、重装歩兵としての戦闘時に大盾でモンスターの攻撃をうけると少し後退してしまい、周りとあわせるのが難しいですね。

 あとは、いつもより動きが早くなりすぎて攻撃に少し違和感が出てしまっています。

 ですが、両方とも使い慣れれば修正出来ると思います・・・今は私の実力不足です」


「なるほど、重装歩兵として前に出なくちゃ行けない場面については考えて無かった・・・教えてくれて助かったよ」


 防具は軽くて、脱いだり着たりしやすければ良いってもんじゃないのか。

 重装歩兵用の防具なんかを作って見るのも、勉強になったり面白いかも知れないな。

 その後、俺1人で領主の館へ向かう。

 突撃牙獣とエルロッタは、大麦を集めに行ってくれるそうだ。

 ミズキさんとナショウ達は、実家がここにある人と一緒に実家がどうなっているのか調べに行っている。

 領主の館に入ると、


「カナタ殿! ようこそおこし下さいました。 連絡が来てから、いつお越しいただけるのかとワクワクしておりました」

 ビアス子爵が、握手を求めて右手を差し出す。


 え? なんでこんなに歓迎されてるんだ? というか、連絡が行ったのってさっきじゃないのか?


「はい、ありがとうございます。 こちらこそよろしくお願いいたします」

 俺はそう言うと、握手をする。


「タダシ師匠から、カナタ殿の噂を聞いていましたのでお話してみたいと思っていたんですよ」


「そうですか・・・皆俺の事を大げさに言うので、余り信用しない方が良いかと思いますよ」


「師匠が、仰った通りの反応ですな。 カナタ殿、早速ですがご相談があるのです。 鎧姿では窮屈でしょうから、応接室で着替えをなさってください。 終わりましたら、メイドを寄越していただければと思います」


 着替えをする為応接室に移動する。

 するとメイドさんと思わしき人が、一緒にゾロゾロと入ってきた・・・何をしに来たのか聞いてみたら、お着替えをお手伝いすると言うありがちな事を言われる。

 女性の裸を見るのは大好きだが、自分の裸を見せて興奮する事はない。

 この鎧は魔防具だから1人で脱ぎ着出来ると言い、退室して貰った。


 その後、白いシャツと黒ストライプの入ったスーツと黄色いネクタイに着替える・・・全部の服にワンポイントで、ポケットの所等に枝の付いた桜の花の刺繍がしてある。

 デザインはコノミちゃん、作ったのはアヤコさんだ・・・貴族との面会等で失礼にならないように作って貰った。

 応接室の扉をノックし着替え終わった事を告げると、執事とビアス子爵が入って来くる。

 長椅子に座ると、服について聞かれ話す・・・すると、緑色のお茶を出される。

 一口お茶を飲むと、緑茶の味がした・・・無醗酵紅茶と言う物で、お茶の生産地でしか飲んでいない物らしい。

 今度陛下に頼んでみよう。


「相談なんですが、これをもう少し譲っていただきたいんです・・・」

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