第166話 人助け
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「助けてもらってすまない。 俺は、突撃牙獣というPTのリーダーだ・・・見ての通り仲間が怪我をしてしまって、すぐに街に引き返したいと思っている。 ミズクサの街に寄る事があればその時礼をさせて貰いたいがいいだろうか? もちろん盗賊達の装備も渡す」
突撃牙獣のリーダーと名乗ったタヌキの獣人の男が、俺に言う。
おお! かなりまともな応対・・・というか、行商人っぽい人も一緒に怪我の手当てをしている。
行商人と仲良しなのかな? 幼馴染とか? まぁいっか、ちゃんとしているし助けよう。
「少し傷口を見せてもらって良いですか? 回復魔法を使えますので」
「本当か!? 頼む、助けてくれ。 報酬は、金は余りないが何とかする」
リーダーが俺の肩に手を当て、頭を下げる。
「あの傷口見ないと治せないんで、どいて貰えます? あと、盗賊達を1箇所に集めておいて貰って良いですか?」
「え? あ、すまない。 盗賊は殺さないのか?」
「出来れば奴隷に落としたいんです。 今この国は人手が足りていないでしょ? 使える物は何でも使わないとね」
俺はそう言うと、傷口を押さえて呻いてる男の近くに行く。
魔法で痛み止めと筋弛緩をかけ、血を水で流し傷口を確認する・・・良かった、そんなに深くないから臓器も傷ついていないだろう。
一応、浄化をかけ軟膏を塗ると回復魔法をかける・・・すると直に傷口が塞がっていく。
完全に傷口が消えたのを確認すると、ぬるいお湯をかけて血を完全に流し、洋服を乾かしておく。
よし、魔力の流れに違和感もない・・・痛み止めと筋弛緩はそのうち解けるだろう。
俺は立ち上がり周りを確認すると、ミズキさんが既に到着しており酷い怪我をした盗賊を軽く治している。
流血で死んでしまったら、生かして捕らえた意味はないと察してくれたんだろうか。
仲間の無事を先にリーダーさんに伝えた方がいいかな? そう思いリーダーの元へ。
「リーダーさん、怪我は治しましたのでちゃんと栄養を取って休養すれば大丈夫ですよ」
「本当か? すまない本当に助かった。 報酬として何を渡せば良い? 何でも言ってくれ」
リーダーさんは、そう言うと頭を下げた。
普通の反応っていいもんだなぁ・・・おっと、お金は今の所困ってないから探し物でもしてもらおう
「金品とかは要らないので、ミズクサの街の情報と、欲しい作物があるんですが探してもらう事は出来ますか?」
「そんな事で良いのか? いや、それで良いのなら良いが・・・」
「探して欲しい作物は、王都でも少ししか無かった物なので大変かもしれませんよ?」
「ミズクサの街で生まれ育ったんだ。 その位なんとでもなるさ・・・が、作ってない時はすまない」
「それはいいんですよ。 文字は読めますか? 読めるのならメモを渡そうと思うのですが」
「俺は読めないが、エルロッタなら読める。 そこにいる商人のエルロッタに渡してくれ」
「はい、解りました。 エルロッタさんにお渡ししておきます」
俺は商人のエルロッタさんに近づくと木の薄い板に探して欲しい作物の大麦と書いて渡す。
近づいてみるまで解らなかったが、エルロッタさんは女の獣人だった。
髪の毛がベリーショートだったため気がつかなかった・・・ヤッパリ女の人が商人だとなめられたりするのかな?
まぁいいか、俺には関係のない話しだし・・・そう言うと盗賊を治しているミズキさんに近づき声をかける。
「ミズキさんお疲れ様。 盗賊達の怪我を治しておいてくれて、ありがとう」
「いえ・・・無闇に殺してしまうより、労働力として使うと言うカナタさんの考えに私も賛成してますから」
「うん、ありがとう。 じゃあ盗賊達の傷を完全に治して貰って良い? 今檻付きの荷車を出すからちょっと待ってね」
檻付きの荷車をマジックボックスから出し、盗賊達の武器や防具を回収し腕を治すとカーボンナノチューブで縛って行く・・・突撃牙獣のメンバーも手伝ってくれすぐに終わった。
その次に足を治し檻の中に入れていく・・・明らかに装備している武器や防具が良かった1人を除いて全員入れ終わった。
その1人に対して俺が話しかける。
「盗賊の首領で合ってるよね? 明らかに装備も良かったしさ」
「しらねぇな・・・寝言は寝て言うもんだ」
「そう? じゃあ質問を変えるけど、君が今あの馬車の中で寝ている彼を刺したんだよね? 剣に血がたっぷり付いていたし」
「だったら何だってんだ? さっき労働力にするとか言ってただろう? 大人しく奴隷になってやるよ。 さっさと連れてけ」
「あのさ、俺達2人が回復魔法使えるのは解ってるよね? という事で、突撃牙獣のメンバーの皆さん好きなだけこいつの事を殴っても良いですよ。 ただし、殺したら治せませんので、半殺しまででお願いしますね」
「待て! 待って下さいよ、旦那。 別に逆らおうって訳じゃなかったんでさ・・・勘弁して下さい」
「そっか、じゃあ塒ってどこにあるの? 残っている人数は? 素直に言ってもらえるんだよね?」
「へい、もちろんでさ。 あっちの方向に20分ほど行った所に家があります。 残っているのは7人で、戦闘出来るのは5人でさ」
「そっか、ありがとう。 じゃあ、ミズキさん。 殴られた頭領が死なないように回復してあげてね。 突撃牙獣の皆さんは、殺さないようにして下さいお願いします」
「話が違うじゃないか! 素直に話したんだ・・・止めてくれ!」
「俺は素直に話せと言っただけだよ。 別に助けるとか殴らないなんて約束してないんだし、報いうけるのは当然でしょ?
あと、女の人とか塒にいるんじゃないの? その子も助けを求めたと思うんだよね・・・て事で、手足切断くらいなら治す事も可能なので、突撃牙獣の皆さん、どうぞ」
後はミズキさんに任せて1人で索敵に出掛ける。
教えてもらった方向に進むと、そこには高床式のような住居が何軒か立った小さな村のような物が出来ていた。
うん、言っていた通りだ・・・でも、良く魔物に襲われないな。
索敵の反応でも魔物は遠くにいるだけになっている・・・やっぱり周りに生えてるミントのおかげなのかな?
考え事を振り払い、塒を索敵する・・・敵対が5人と動いている人が2人、これが盗賊だろう。
索敵は便利なのだが、賞罰が付いていない人は盗賊か解らないのが面倒だよなぁ・・・魔物のようにずっと敵対になってれば良いのに・・・おっと、そんな事を考えてる場合じゃないな。
奥の方の家に集められている人が5人いる・・・動いてないって事は、攫われた子なんだろう。
さっさと助けないと体調が心配だ。
敵対マークのある場所に出来るだけこそっと侵入し、麻痺の魔法をかけ縛っておいておく。
一応、敵対じゃない2人を確認したがナイフが腰から見え、盗賊と断定し麻痺させた。
全員を外に出し全員をくっ付けた状態で縛っておき、捕らえられている5人がいる家に急ぐ。
中は、牢屋で一応一部屋ずつ区切られていたが、酷い状態だ。
全員手と首を板で拘束された状態で、全裸・・・しかも、2人は仰向けに倒れている。
死んでいる訳ではなく、気絶してしまっている様だ・・・糞尿が体と床を汚してしまっている。
他の3人は、肌に怪我も無く床に垂れ流しているわけでもないようだ。
しかし、奥の壷から漏れ出した物が見える・・・見なかったことにしておこう。
しっかし盗賊って言うのは、なんでこう殺意を沸かせてくれるのかな?
ミズキさんに殺さないでなんて言うんじゃ無かったよ。
「皆さん、助けに来ました。 1度この牢から出ましょう」
そう言うと3人は、こちらを見て泣き出してしまい・・・倒れている2人は反応がない。
糞尿にまみれている人の助け方ってどうすれば良いの? 教えてエロイ人!