第163話 刺繍?
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
皆でLvをあげ【Lv86,Lv85】になるが、未だに壁とやらが来ない・・・
13歳以上の子供達はLv25を超え、大人達も軒並みLv20を超えている。
お陰で、畑仕事のペースが速く勉強や食器洗いのお手伝いに来てくれかなり助かっている。
ジャイアントアントに追われて逃げ回っていたナリッシュ君達は、Lv35になりグランドワイバーンを倒しに旅に出てしまった・・・もうすぐ冬なのに大丈夫か聞いたが、迷宮に1度潜り、春になったらまた出発するようだ。
やはり朝に毎日顔を合わせていた人がいなくなるのは少し寂しいもんだな・・・でも、成長する事は良い事だ。
出発する前に一緒に数回狩りに行き、その素材で装備を作った。
ラムダーマトンの上位種テンダーラムダーマトンの羊毛で作ったツナギと下着。
ブラックビーフの上位種のウォーブラックビーフの革の胸当て篭手、脛当て、腿当てなど。
武器は、グレイブ、短槍、バルディッシュを魔鉄で作った。
材料費と少しの手間賃で作ったのでかなり安いが、付加魔法が硬化しかかけられず残念だ・・・
良い付加魔法を付けようとすると消費魔力も増えるし、硬化でちょうど良かったかも・・・
一応、子供達にも渡した棍棒を餞別として渡して置いた。
予備武器として使って欲しい。
一応、麻で作った外套というかポンチョも渡しておいた。
雨が降れば滲みてくるが無いよりはマシだろう・・・
イサオさんも迷宮に居ると言っていたし、様子を見てくれるように頼んだ。
イサオさんが元気なら得に何もしなくていいが、怪我してたりなんかがあった場合には連絡してくれるように頼んどいた。
現在はコンクリートで学校と寮を作っている所で、現在の俺がやらなきゃいけない事は無かったりする。
鍛冶や錬金などを少しづつ学んでいるが、目標がない・・・
やはり、バイクでも作るべきなんだろうか。
作るとしたらエンジン部分をタイヤ部分に一体化させて、ブレーキはワイヤーブレーキとエンジン強制反転とかかな?
それならいっそバギーにしてどこでも走れるようにするか? あと、自動運転があればいいな。
サスはどうしよう、やはりオイルサスか? いや、エアサスも出来るんじゃないか?
いっそ車にする? いや、そうなるとブレーキフルードには何を使う? 下手な物を使えばエアが入ってブレーキが効かなくなるぞ?
でも、未来の車のようにエンジンがタイヤと一体化出来るのはデカイな・・・でも、最初はバイクかバギーだろうな。
でも、タイヤのゴムが足らないから作るのはまた今度かな・・・
さて現実逃避はこれくらいにして、このアホ(ライナ)達をどうするか・・・
「あのさ、ライナ何で付いてくるの?」
「兄さん、もう1度身体強化魔法をたのむ・・・身体強化魔法がありゃ修行が捗るからな」
「だから言ったでしょ、一朝一夕では魔力量は伸びないんだって・・・ライナは1度使いきってるんだから、今かけてもすぐに枯渇して動け無くなるよ?」
「もうちょっとで何かつかめそうなんだ。 頼むよ兄さん、この通り」
「解ったよ。 魔力切れになったら2人が宿まで運んでくれる?」
リカムとソップは頷き、俺はライナに身体強化魔法をかける。
するとライナは学校の建設予定地の方へ叫びながら行ってしまった・・・建設の邪魔にならなきゃいいけど。
さてと、冒険者ギルドに行って何か面白いのがないか聞いてこなくちゃ。
受付嬢のセネラさんに挨拶をして、強い魔物の情報を聞く。
「えっと、ミズクサの街の近くの川にタルタルーガクラッベという、大きな蟹の魔物が現れたそうです」
「そいつって美味しいの?」
「はい、かなりの高級食材ですし狩りやすいので人気がありますよ」
「狩りやすい? 弱いの?」
「いえ、力が強いんですが動きが遅いですし、何より落とし穴に簡単に引っかかるので怪我することなく倒せるんですよ」
「じゃあ、もう倒されてるんじゃない?」
「そうかもしれませんね・・・じゃあ、ホワイトキャベッジの採取はどうですか? 森の奥に生えた木の花なんですが、甘くて美味しいそうですよ」
「おお、野菜系はありがたいな。 どこらへんになってるの?」
「塩の迷宮の北東ですね。 一応他国になるんですがソメイヨシノの皆さんなら問題ないと思いますし」
「うわぁ・・・若干遠いね。 今回はやめといた方が無難かな・・・オークの目撃情報お願いします。 あと、ポテトチップいります? 子供達が練習に作った物なんですけど」
「え? いいんですか!? いただきます。 皆で仲良く食べたいと思います」
お土産を渡し冒険者ギルドを後にする・・・仕方がない、何かあったとき用に裏リーダーの装備でも作るか。
そう思い屋敷の工房へ行く。
とりあえず見た目は、黒いローブを着た死神が良いかな。
折角だし面当て兜を一体化させて骸骨の形にして、黒いローブをボロボロにして、武器は鎌・・・
鎌か、俺には扱いが難しいか、武器はどうしよう・・・まぁ、防具を先に作って後で武器を作れば良いか。
サイズは俺のを作れば良いんだし、試着もその場で出来るしすぐに出来上がるだろう。
何故俺の防具を作るのか、それは俺が分身を覚えて裏リーダーのフリをすればいいと思っているからだ。
装備の完成は3日経ってからだった。
Lvが【Lv89,Lv88】になったが、未だに壁に当たった事がない・・・子供達や大人達はLv上がったり上がらなかったりしているのに・・・
結局武器は戦斧にした・・・意匠をこらし黒くでかい斧に頭蓋骨や骸骨を取り付けた。
全部の装備を付けると見た目が思った以上でリアルで怖くなった・・・コノミちゃんに描いてもらった設計図で見るよりも良くできてる気がする。
後は、ギフトの影を分身まで育てれば13番目のメンバーの完成だ。
折角なので、皆がいる所でお披露目した。
「良いですね! 良いですね! 折角なら鎌にしたら良かったのに」
タクミ君が装備をぐるっと一週見るとそう言う。
「鎌って使い勝手が悪いから、戦斧にしたんだよ。 これで俺だと解らないでしょ?」
「ええ、全く解りません! 僕の分も作ってくれませんか?」
「それはいいけど、聖騎士の方が剣と盾に合うんじゃない?」
「そうかもしれませんが、2重生活とかって憧れるじゃないですか。 普通の自分と正義の味方の自分みたいな」
「まぁ後で作るよ。 武器は鎌が良いなら試作品か設計図で頂戴ね」
「はい、了解しました。 明日にでも用意します」
タクミ君が嬉しそうに言う。
「あの、カナタさん。 言いにくいんですが、魔物に間違われません? リッチとかってこんな感じじゃないですか?」
コノミちゃんが小さく手を上げるとそう言う。
「あ・・・そうかも、どうしよう・・・折角作ったのに」
「上着のポンチョの背中に刺繍をするのはどうでしょうか?」
「人間です見たいな? でもさ、動いたら読めなくない?」
「いえ文字でも良いんですが桜の刺繍とかにして、刺繍自体に人間ですと言う信号を見た人に送る・・・みたいな付加魔法をかけるとか、そんな風に出来るんじゃないですかね?」
「魔法陣の刺繍化って事? そんな事出来るのアカネちゃん」
「出来なくはないと思うけど~、素材はどうするの~?」
アカネさんは、首を傾げて言う。
「魔シルクか、カーボンナノチューブだけど色を付けるなら魔シルクだね」
「ん~、やってみなきゃ解らないから~、試作品作るのコノミン手伝って~」
「もちろんですよ! 上手くいけば服全部に浄化、消臭とか付加出来るかもしれませんしね」
なるほど、朝練の時に自分が汗臭くて嫌だとずっと言っていたっけ。
そんなアイディアがあるんだったら、試しに作ってみてくれてれば良かったのに・・・