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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第162話 カナタの過去と組み手

 ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。


 そろそろイサオのストーリーと、カナタの過去のサブストーリーでも書こうかと考えています。

 でも、書く時間があるのかは不明なんですよね。

 次の日の朝、いつもの時間よりも早めに起きタダシさんやヨシさん、セードルフ達に挨拶をして外に出る。

 この朝の一連の流れは最早ルーティーンとなっている。

 外に出ると、既にベトニアとユリが柔軟をしている・・・ユリ一家も既に俺達が作った家で暮らしている。

 一般区画にあった家は、1月ごとに更新の貸し家だったらしい。

 家を引っ越せば? といったらすぐに引っ越してきた。

 ユリのお母さんはアヤコさんととても仲が良く、皆を纏める役もやってもらっている。

 ユリの弟は、料理の才能があるのか既に「味付けの技」を持っている。

 一方ユリは、余り上手くいっていないらしい・・・元々不器用なんですと言っていた。

 しかし、社交性があり一生懸命なユリは皆から助けられている・・・本人はその事を悩んでいるようだが。


 ベトニアは、元々天才肌で器用だったのか執事の修行をしながら料理、勉強も頑張っている様だ。

 しかも、魔物との戦闘もオークを無傷で倒せるまでになっている。

 しかし、協調性がないと言うか頑張りすぎることが多いので、大きな問題ではないが友達をもっと作って欲しいと思う。

 俺も小さい頃からいじめられてたし、仲間を作れとは良いにくいんだけど。


「ベトニア、ユリ、おはよう。 2人とも早いね」


「「おはようございます。 カナタさん」」

 2人は元気良く挨拶してくれた。


「ベトニア、一緒に冒険するPTメンバーは決まった?」


「いえ、まだ決まっておりません。 しかし私は、カナタ様のおそばを離れたくありません。 私を小間使いとしておそばに置いていただけないでしょうか?」


「前にも言ったけど、俺はいなくなるかも知れないんだよ? だから、全部終わってそれでも気持ちが変わらないのであれば、その時にもう一度言ってね。 それまでは、いろんな人と触れ合うのも勉強になると思うから頑張ってみなね」


「畏まりました。 精一杯努めさせていただきます」


 本当にベトニアは固いな・・・意思も行動も俺達中心に考えちゃってるんだよなぁ。

 色々経験していけば自分の事について見直す時期が来るだろうし、大丈夫だとは思うんだけど・・・


「ユリは、皆と仲良くしてるみたいで嬉しいよ。 失敗について色々聞いてるけど、無理しないでゆっくりやっていけばいいからね」


「はい・・・でも、カナタさんは失敗しないと聞いています。 どうすれば、カナタさんのように失敗しないようになりますか?」


「あっはっはっは。 俺は小さい頃からいっぱい失敗してるよ? 特に失敗していたのは対人関係だね。 俺は、色んな人に嫌われて育ってきたんだよ」


「え? 嘘ですよね? だって、色んな人に頼られて好かれていますし、王様だってカナタさんを頼ってるって・・・」


「汚い、臭い、気持ち悪い。 俺が小さい頃言われていた言葉だよ? まぁ、言われっぱなしは嫌だったから、払拭する為に色んなことを試したんだ。

 感情を捨てて、ただ笑顔で行動したり、人の心について書かれている本を読んだりとかね。

 それだけで結構上手く立ちまわれるようになったんだけど、1年以上付き合って行動する友人が出来ると言動にボロが出始めちゃったんだよね。

 その時1人の友人に『それが素なんだろ? 俺はそっちの方が良いと思う』と言われたんだ。

 衝撃だったよ。 俺は認められたと思ったんだよね・・・その後、自分を認めてくれる友人を増やしてみようと頑張ったら1000人以上の友人が出来たんだ。

 まぁ、それも失敗だったんだけど・・・って、2人とも何で泣いてるの?」


 2人を見るとこっちを見て泣いている・・・出来る限りサラッと流すようにしたのに、子供の感受性は侮れないな。

 落ち着くの待つより話しを進めた方が良いか・・・


「俺の経験から得た答えは、失敗はしても良いがその後の行動で補完するようにすること。 そうすれば、失敗は失敗じゃなくなり自分も色々出来るようになる。

 だから、色々出来るうちに色々やってみた方が良いんだよ。 今出来る事を全力でね・・・失敗したらその時に何故失敗したのかを考え行動してみれば良い。

 何をどうすれば良いのか解らなければ、色んな人に色んな事を聞くのも勉強になるよ」


 2人は涙ながらに「ばい゛」と返事をしてくれた。

 人に話すなら成功談よりも失敗談を話す方が良いと聞いていたんだけど・・・難しいもんだな。

 2人に走ってくる旨を伝え、雑木林3号の場所へ。

 前にやっていた弘法は筆を選ばずは一旦止めて、現在はカーボンナノチューブで剣を持って木が切れないか試して見ようをやっている。


 実際には切るのは結構簡単に出来る・・・が、自分の思い描いたところを切るのが難しい。

 現在の成功率は0%・・・しかし、範囲±2cmには入っている。

 完全に自分の手と同じ位に扱えないとPT戦で使えない・・・少しずれた位でも怪我をさせてしまう可能性が残る。

 ゆっくりとだが確実に、扱い方は上手くなっている気がするから頑張ろう。


 屋敷に戻ると既にライナが倒れていた・・・いきなり挑戦したのか? 【ブレイブソード】の2人は呆れた顔でライナを見ているし・・・


「ショウマ君、ブレイブソードの皆も、おはよう。 ショウマ君は、ライナともう手合わせしたの?」


「「おはよう(ございます)」」

 リカムとソップの2人は、こちらに挨拶する。


「カナタさん、おはよう。 1度手合わせしてみたぞ。 実力分からないと組み手の相手が決められないだろ?」


「まぁ、そうだけど。 実力的にはどんなもん?」


「カルジャスより少し上で、フランよりかなり下ってところだな・・・できればフランと同じ位だったら良かったんだが・・・」


「そっか~。でも、顔が笑ってるって事は結構伸びそう?」


「ああ、筋肉の動きや重心移動は天性の物だな。 本人の努力しだいだが半年もすれば、素手でグランツネッツやグランドワイバーンを倒せるようになるんじゃないか?」


「いや、素手で魔物とタイマンはしない方が良いでしょ。 ショウマ君以外にやらせるのは、危ないし自殺行為だよ」


「そんなもんか? まぁ、最後に物を言うのは己の肉体だ。 何があっても生き残るように指導しなくちゃな」


「うん、そうだね。 ぼちぼち集まってきたし今日もよろしくね」


「おう! まずは柔軟からだ! 集まって来た者から順に始めてくれ!」


 ライナは、全部の攻撃を防がれ、いなされ、回避され何も出来ずに倒された事を悔しがりリベンジに燃えオーバーワーク気味に動いていた。

 リカムは魔法使いで魔法を維持するのは特に苦も無くこなしたが、体力と瞬発力が無さすぎでランニングを倒れるまでやらされていた。

 ソップは、ギルドマスターに教われるという事もあり必死に喰らい付こうとしていたが、魔力切れで教わる前にダウンしてしまった。


 ライナ以外の2人は、後の組み手まで残ることが出来ずに悔しがっていた。

 ライナはオーバーワークで動いていた為、組み手では実戦経験のない子供にまで負ける始末・・・しかし、疲れすぎたのか大の字に寝転んで動かなくなっていた。


 俺は、組み手でショウマ君と対戦した・・・折角だし色々試した。


「カナタさんは虚実の虚が上手すぎる・・・が、それに頼りすぎて攻撃がおざなりだったぞ? 実の為の虚である事を忘れないようにしてくれ」

 ショウマ君は、組み手後俺にアドバイスをしてくれる。


「やっぱりばれちゃったか・・・フェイントに意識が行き過ぎて攻撃に移るのが上手くいかないんだよね」


「それは慣れだな・・・俺も色々学べた良い組み手だった。 また、お願いします」


「こちらこそ、お願いします」


 人を騙すことが得意って、やっぱり俺は主人公キャラじゃないな・・・

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