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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第157話 詐欺師達の事後

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。


大雪の影響で、いつもの投稿より遅くなりました。

 あと、開発したものは回復軟膏9級だ。

 オークの血液で血清を作り薬草を煎じて濃縮させたもので、ポーションと違い完全に塗り専用の薬だ。

 子供が俺たちに黙って舐めたが、苦いだけで回復はしなかったようだ。

 と言っても本人の主観なのでもしかすると回復していたのかもしれないが・・・


 この軟膏の利点は、ポーションとともに使うと効果が上がるということ、ポーションのように全身一定の効果が表れるのではなく一部分にのみ濃い効果が発動すること、捨ててしまう素材で作っているためコストパフォーマンスがものすごくいいこと。

 しかし、よく分からない事もある・・・それは軟膏の効果だ。

 治療の心得で見たら9級の魔物の軟膏で回復微量、8級の魔物の軟膏でも回復微量となっている。

 もっとランクが上がれば、小、中、大、特などもあったので解りやすいのだが。


 8級と9級の回復軟膏で回復効果が違うのか試して貰えないかユカさんに頼むが最初は断られた。

 人体実験のようなものは了承できないということだったが、冒険者ギルドで無料で配って試して貰おうとしたら渋々治療院で使ってみることになった。

 俺だって新しい傷薬をいきなり人に使うのはどうかと思うが、食べられる魔物の血液だし大丈夫だろう。

 何より傷薬は魔法がほとんど使えない獣人の国では必須だろうしね。


 結果的には効果に違いがあるのは解った。

 そして、軟膏は治療院に通っている人からものすごく評判が良かった。

 肩こり腰痛も緩和されるため売ってほしいという問い合わせが殺到する事態になったわけだ。

 回復微量の効果の違いは、傷や打ち身の治る速度が違っているようだった。

 回復量を数値化できてるわけではないので、今のところ誰かの主観でしかない。

 何となくだが、回復微量で50回復出来るとすると±25は全部が微量なのかもしれない。

 ちゃんと解るまでは全部を売らない方が良いだろう。

 そのため売り出すのはオークの血液で作った回復軟膏9級のみにすることになった。


 最初の販売方法は、治療院においてもらうことだった。

 しかし、それは大失敗だった・・・治療院の前に人だかりができてしまい治療を受けに来た人が中に入れない事態になった。

 お詫びとして、俺とユカさんで回復魔法をかけて事なきを得た。

 結局、販売箇所を決めなくちゃいけなくなり雑貨屋のようなものを立ち上げることに。

 雑貨屋の建設予定地は、食堂の隣となる予定だ。

 そこで、回復軟膏とリネンの服など様々なものを売る予定となっている。

 だが、直ぐに建物が建つわけでもないので、今の所リヤカーで販売を行っている。

 リヤカーを出すと商人たちが群がってくるので売れなくて困ることはない。


 ただ、俺はいまだに忙しく動いている・・・武器と防具は作り終わったのだが、次はみんなが住む家の建設を手伝っている。

 今は3軒ほど完成したが、まだだれも住んでいない。

 全部が完成したとき移住し始める予定となっている・・・不公平をなくすために。

 建築の手伝いをしているときに、城から呼び出しがかかった。

 詐欺師たちの処遇が決まったのだろう・・・そんなことを考えて、陛下の執務室へ。


「カナタよくきた。早速だがちと面倒なことになってな。 どうするべきか悩んでおる」


「詐欺師たちのことですか? それとも男爵ですか?」


「その両方と、ミズクサ伯爵についてもだ」


「どういうことでしょうか? 話が見えてこないのですが・・・」


「カナタはミズクサの街についてはどの程度知っている?」


「川のそばにある、あまり大きくないとかその位ですね」


「そうか・・・ミズクサの街は小麦の1大産地なのだよ。しかし、街自体はそこまで大きくない。街の発展よりも小麦の生産量を増やす政策を敷いた訳だ」


「税収も小麦で支払をして、現金は小麦を買いにくる商人から貰うという考えですね」


「ああ、その通りだ。それでな、今回のウェーブの余波で畑が踏み荒らされ散々な状態となっているんだ」


「まさか、その為に金を欲したという事ですか?」


「いや、ちゃんと補填と税の減額、早く復帰出来るように民達への慰労金、怪我した者を王都への移送も行った。だが、慰労金がちゃんとし払われてなく、畑の面積を測ったら今までの税も虚偽の申告をしている疑いが出てきた」


「それならば、簡単ではないのですか?」


「今は人材不足でな、後継者がおらんのだ。 しかし、放って置けば侮られるだろう・・・どうした物かと」


「なるほど、人材に心当たりはありませんね。 しかし、家臣達の中にも咎めていた者達がいたのではないですか? 捕らえられているか街から追い出されていたかは解りませんが、そのような者が居ないかを探してみるのが良いと思いますが」


「それもそうだな。うむ、そやつらを探し補佐をさせれば何とかなるかもしれんな。 それで、罪人達は死罪にするのが良いと思うか?」


「侮られると仰られるなら死罪でも良いと思いますが、塩の迷宮の岩塩発掘の人材に使った方が良いのでは無いでしょうか?」


「私もそう思っておった。 罪を認め反省するなら岩塩発掘に従事する奴隷としよう・・・遅くなってすまない」


「それにしても、なぜそんなに金を欲したんでしょう?」


「それはな、精力増強丸薬を欲しておったようだ」


「精力? という事は女に溺れていたという事ですか?」


「そうも言えるんだが・・・」


「歯切れが悪いですね。奴隷とかにも手を出していたとか、愛人を何人もかこっているとかではないんですか?」


「伯爵はな・・・私よりもだいぶ年上で、しかも、妻が34人もおるのだ・・・34人も妻がいれば、精力増強丸薬が必要なのだろう」


「それって、完全に色に溺れてるんじゃないですか! まさか、子供も多くいるとかですか?」


「その通りだ。 全員にちゃんと子を儲けておる。 伯爵は押しに弱く、婚姻を迫れば結構な確率で婚姻を結んでいたようだ」


「それで首が回らなくなったというのならバカとしか言いようがないですね」


「その通りだ。 だが、金が足らなくなる原因はそれ以外考えられんな・・・方針も決まったし、汚れ仕事は私に任せておけ」


「ありがとうございます。 お心遣いに感謝します」


 その後、一族全員捕らえられ全員奴隷となった・・・

 子供もいたので、子供と話してみたのだが自分は偉いと勘違いしている発言が多く助けようとも思えなかった。

 一応温情として、15歳以下の子供は借金奴隷となるようにした。

 それに伴って、親戚が助けてくれるだろうと言う考えだったのだが、助けられた子供は1割にも満たない。

 3年間奴隷として働いたら頭も冷えるだろう、その時に反省していれば俺が助けても良い。


 捕らえられてからすぐに、ミズクサの街にはタダシさんから輪作の方法を教授された新しい子爵が派遣された。

 輪作の方法まで教えなくても良かったのだが、勉強熱心な子爵で教えたらしい。

 その人もタダシさんの事を師匠と呼んでいるそうだ。


 全てがきっかり終わるまでに約1ヶ月もかかってしまった。

 Lvも【Lv85.Lv84】にあがり、建築も後は学校だけとなった。

 俺とケイタ君のシーフ訓練が終わり、後は自分1人で鍛えられるものと実地でなければ鍛えられないものとなり、実地は迷宮都市に行くときに紹介状を書いてくれるそうだ。

 ギルドマスターの元教え子で今も現役でシーフをしている人らしいが、お爺ちゃんとかじゃないのか? まぁ腕が確かならば良いんですけど・・・


 食堂も順調だし、回復軟膏のストックも溢れるほどあるし麻の洋服を着ている人もちらほら現れるくらいになっている。

 これで何の憂いも無く春になったら俺達はエルフの国へ、タダシさん達はラスーリ王国へ出発出来る。


 トラブルってのは何事も無い日常から始まる。

 俺は冒険者ギルドを1人で訪れ、ギルドマスターに会おうと思ったが接客中とのことで出直すことにし冒険者ギルドを後にした・・・そこで、背後から声が掛かった。


「ちょっとあなた、黒い髪のあなた! 待ちなさい!」

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